酒井が考える、平子のロレックスの意味

──「誰に対しても気を張らせない」というのは、酒井さんの素敵な魅力ですよね。なんとなく、平子さんと対照的な部分にも感じました。

酒井　確かにそうですね。でも、平子さんがこうだから対照的にこうしようってわけではなくて、昔からそうです。部活の後輩とかも、俺にだけ敬語使わなかったり。生まれてきた環境とかが積み重なってこうなってる気がするんで、このへんはコンビでうまくバランス取れてると思います。

──まさに「生まれ持っての安心感」ですよね。スタッフさんとの関わりなども、酒井さんのほうが多いですか？

酒井　どっちかって言ったら、そういう飲み会は僕のほうが行きますかね。アルピーのフロントマンじゃないですけど、そういうのはやらなきゃなって意識もちょっとあるし。平子さんって、スタッフさんからすると誘いづらさもあるじゃないですか。結婚してるのもあるし、難しい方なのかな？って。

──でも、平子さんご自身はおそらく、お声がけを嫌がるタイプではないような気がします。

酒井　絶対そうなんすよ。絶っっっ対。そういうの大好きなんですから。福島の田舎から出てきて東京にすごい憧れがあるから、たぶん、西麻布とか六本木で飲むこともカッコいいと思ってるし、喜んで行きますよ、絶っっっ対。ロレックスとかだって買うじゃん……。

──それは、大人としての嗜みではないでしょうか？

酒井　みんなそうやって上手に解釈してくれてるけど、俺は違うと思うね……。あそこまでギラギラさせる必要ないでしょ（笑）。お金あってもさぁ。車とかもさぁ……。平子さんは「大人の嗜みで」とか「息子にあげる」とか、いいこと言ってるけど、絶対好きなだけだと思うんですよね……（笑）。

“本当の平子”は、誰も知らない？

──平子さんは素直にはお褒めになっていなかったですが、個人的にアルピーさんのネタは、どちらにも「演技力」がないと成立しないものだと思っています。まず、自身の演技力についてどう思いますか？

酒井　えぇ～、考えたことないですけど、苦手だなって感覚はないかな。

──映画などにも出演されているので、けっこうお好きなのかと思っていました。

酒井　仕事なんでやりますよ。

──意外とビジネス（笑）。

酒井　ここドライかいっていうね（笑）。でも、自分の演技についてなんて考えたことないっていうのは本当です。

──では、平子さんの演技力はどうでしょう？

酒井　平子さんはありますよ。演技力っていうか、「キャラに入る力」。あれはやっぱできないもんなぁ。

──平子さんの代表キャラ・瀬良社長を見ていると「これが本来の平子さんだっけ？」と思うほどです。

酒井　うんうん。それもそうだし、平子さんって、こういうインタビューでも“インタビューのコント”に入るんですよ。素の平子さんを真由美さん（平子さんの奥様）が知ってるのかってなったら、真由美の前でも平子を“演ってる”んじゃないかなって思ってますね。

──“夫の平子”を……。お子様の前では？

酒井　“父の平子”。自室のドアをカチャって閉めたときに、ようやく平子の開放ですよ。本当の平子。アウディも買ってよかったよ、自分の部屋以外でも素に戻れる空間ができてさ。家族が大好きって言ったって、嫌なときだってあるじゃんか。

──本当の平子さんは、どんな人間なんでしょう？

酒井　おっかない男だと思いますよ。……なんか、邪心とかすごそう（笑）。平子さんってなんか、いいもんっぽくないんだよな。正義のヒーローじゃなくて、ヒールっぽさを漂わせるような。「俺はヒーローだ！　正義なんだ！」って自分ではめちゃくちゃ言うんです。でも、本当のヒーローってそんなこと言わないじゃないですか。そういうのを自分で言う奴って絶対悪い奴だから。……わかんないけどね？（笑）。自分の部屋入った瞬間どうなってんだろって、ちょっと気になりますね。

──プライベートが気になってきましたね。……なんだか、平子さんという人間がわからなくなってきました。

酒井　僕もわかってないです（笑）。

平子の「憑依力」は天下一品。性格面での魅力は……

──平子さんは、酒井さんは「ありのままでいい」とのことでしたが、これは酒井さんにとってうれしいことなのでは？

酒井　う～ん。そう……ですね。冒頭で話したとおり、あんまり話し合いとかもないし……。3年に1回くらい、スタッフさんも含めてアルピー会議をしてたこともあったんですよ。でも、それも「お互いどうなってほしい」とかではなくて、今度仕事をどうしていくかっていう話し合い。そこまで深い話にはならないですね。僕も、平子さんにもっとこうなってほしいとかはないです。

──酒井さんが感じる、平子さんの秀でた魅力はなんでしょう？

酒井　いろんなチャンネルがあるっていうのはすごいなって思いますね。コントも漫才も、瀬良社長も、“インタビューを受ける平子”も、全部ぽく見えちゃう。「憑依力」がすごい。

──では、性格面で魅力的なところはありますか？

酒井　うわ、ムズイなそれ……性格……？　なんだろうな……ちょっと時間もらっていいっすか？　たぶん、平子さんってドライで知的って見られてるかもしれないけど、実は情熱的でアツい奴なんですよ。これ、絶対嫌がりますけど。

──嫌がりますかね？

酒井　そういうの一番嫌がりますよ。知的でクール、青いオーラで包まれていたい人だから。反骨精神とかからきてるのかもしれないけど、実はメラメラしてます。

──そのアツい部分が魅力？

酒井　いや、魅力じゃないんだよな……。

（うまく言葉にできない時間が、5分以上流れる）

──このあとの写真撮影の間に引きつづき考えていただけますか？

酒井　それでもいいっすか……？　ちょっと、考えておきます。

──最後、平子さんにひと言お願いします。この記事、もしかしたら平子さんも読まれるかと。

酒井　絶対読みますよね。今日、ほかでは言ったことのない、僕に映る平子さんを語ったんです。だから、「平子さん、見てるぅ～？」って言いたいです。「読んでるぅ～？」って（笑）。

──むしろ、読んでいただきたいですか？

酒井　どうせ読むだろうけど、あんま見てほしくないかもしんない（笑）。