女性写真集は脱いで当たり前?レビュー評価から見えた“写真集業界のセオリー”【夕方5時の会議室 #11】

編集=高橋千里


少女写真家・飯田エリカと、QJ編集部・高橋の音声番組『夕方5時の会議室』。メディア業界で働く同世代ふたりが、日常で感じているモヤモヤを、ゆる〜くカジュアルにお話しします。

第11回は、飯田と高橋のふたりトーク。AmazonレビューがSNSで話題になった、長濱ねるさんの2nd写真集『長濱ねる』を読みながら、女性写真集の在り方について話します。

※音声収録は2025年8月1日に行いました

この記事では、音声の前半部分だけをテキストで公開。後半はYouTubeまたはPodcastよりお聴きください。

見え隠れする「グラビア写真集」としての意識

飯田 この音声が配信されてるときには全然落ち着いてると思うんですけど、(この番組で)次何話しましょうね〜って相談したのが、ちょうど長濱ねるさんの写真集が発売してすぐくらいのときで。私たまたま発売日に本屋行って、普通に(写真集を)買ってたんです。

高橋 今騒がれてるAmazonレビューの件が話題になる前に?

飯田 そうですね。なんか言われそうだなぁと思ってはいて、今日もAmazonレビュー見たんですけど、(評価は)変わらない感じでしたね。

高橋 話題になってたので私もレビューを見たんですけど、写真集にアダルト色を求めているファンの方がすごく多いんだなっていうのが、まずびっくりでしたね。

飯田 本当にびっくり。今日8月1日時点で平均評価が「2.5」。そんなわけがないだろうって!(笑)

高橋 「5」をつけてる人と「1」をつけてる人がけっこう両極端だったような気がします。

飯田 わぁ、本当ですね……。

高橋 実際に飯田さんは写真集を手に取ってみて、中面も全部見られて、どう思いました?

飯田 カメラマンの高橋ヨーコさんが撮っていて、長濱さんが行きたいところで撮ったというコンセプトもいいし、風景も綺麗だし……。いろいろ言われてますけど、私的には全然「露出のカット多いな」と思いました。水着のカットやセミヌードに近いカットもあって、トップが見えてないだけで、足の見せ方も含めて「グラビア写真集」としての意識も強い。

でも、現状の日本の写真集業界で大手出版社から女性の写真集を出すなら、絶対に水着なりランジェリーなりが必要になるので、そうだよね〜そうなるよね〜と思いつつ……(写真集を見ながら)。でも、こういうかわいいニットとか、普段とちょっと違う大人っぽい髪型とか、旅してるときのふとした表情の写真のほうが、私はすごくいいなと思ってしまって。

高橋 わかります。そういう「女性写真集は脱ぐ」みたいなセオリーって、ずっと前からありましたけど、やっぱりターゲットに男性が多いからなのかな。

飯田 そうだと思いますね。買う人は男性が多くて、「脱げば売れる」みたいなのは今セオリーとしては強く残っているし、脱がない写真集ができないのも「売れないから」っていう理由だと思うんですよね。

レビューで低評価をつけてる人たちは、風景の中に長濱さんがポツンといるだけの引きの写真をすごいディスってる人が多いんですよね。現役アイドルさんや元アイドルさんの写真集って、特にコロナ禍前は海外ロケに行くことが多かったと思うんですけど、そういう写真集を見て私がモヤモヤしてたのは、せっかく海外に行ってめっちゃいいロケーションなのに、結局露出を撮りたいからホテルとかで撮ってるんですよ。日本で撮れるじゃん!みたいな(笑)。

高橋 確かに。とりあえず海外行きましたよってこと?

飯田 行きましたよっていう要素がありつつ、本当に撮りたいのはたぶんホテルの朝の光の中で、ランジェリーで佇んでる寝起きのカットだったりする。けっこうパターン化されてて、なんかどれも同じだな〜って。でもそういう中で、この写真集はすごく北欧のよさも写っているし、素敵でした。

【続きはこちらから】女性のセミヌードに感じる“不自然さ”とは

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次回も飯田&高橋のふたりトークをお届けします!

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