写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
リトル森田が言うには……
第95回。
雨粒の重さにうつむき、弾く水たまりと目が合った。
適当に割られた原宿が水面に広がっている。
いくつかのレイヤーが重なり、そこを彩るように落ち葉が散った姿は、前を向くよりきれいに感じて歩くのを止めたくなった。
非現実的で幻想的。
さまざまな妄想がふくらむ美しい水鏡。
だがこれも現実では?
現実から逃げるように立ち止まったこの水たまりもまた、現実である。
突然そんな哲学風な戯言が湧き出たということは残すべきだと思いシャッターを切った。
瞬間哲学者のリトル森田が言うには、現実から逃げるように立ち止まったこの水たまりは現実であるため、きっとこのような景色や空気、感情は自身の手で生み出せるらしい。
なので現実から逃げるのではなく、こんな景色が広がる世界を目標に、前を歩くべきなのではないか?と。
そんな言葉を投げかけられ、鬱屈とした私の身体に力が宿るのを感じた。
今、私は目標を見据え歩き出している。
美しい景色を目の前に創るために。
水たまりに負けるな。
NAOYA(ONE N’ ONLY)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。