人気芸人を多数輩出してきた大阪のよしもと漫才劇場の11周年、そして森ノ宮よしもと漫才劇場の5周年を記念して、12月1日(月)に記者会見が開催された。
会場には、ツートライブ、ラビットラ、マイスイートメモリーズ、豪快キャプテン、ドーナツ・ピーナツ、フースーヤ、ジョックロック、例えば炎、電気ジュースといった劇場に所属する芸人たちが集合。さらに渋谷・神保町よしもと漫才劇場からニッポンの社長、からし蓮根、エバースも駆けつけ、総勢12組で11周年を祝った。
賞レース常連組による“ひとくちサイズ”ネタラッシュ!
よしもと漫才劇場がオープンしたのは2014年。「大阪のお笑い芸能文化を継承する若手芸人を育成し、人気芸人を発掘強化する劇場」というスローガンのもと、多数の人気芸人を輩出してきた。2020年にはCOOL JAPAN PARK OSAKA SSホールでのレギュラー公演「森ノ宮よしもと漫才劇場」もオープンし、連日盛況。両劇場とも、大阪の若手芸人が芸を磨く登竜門としての役割を果たしている。
そのおかげもあり、関西各局の賞レースでは、マンゲキメンバーが新人賞を総ナメ。お笑い界の4大タイトルといわれる『M-1グランプリ』『キングオブコント』『R-1グランプリ』『女芸人No.1決定戦 THE W』のすべてで王者を輩出するなど、両劇場の勢いは止まることを知らない。さらに今年4月には東京に「渋谷よしもと漫才劇場」もオープンし、これからますます“マンゲキブランド”の芸人たちの勢いは増すばかりだ。
今回の記者会見のMCを務めたのは、真輝志とNMB48・平山真衣。まずはこの1年で賞レースや各メディアで活躍したメンバーのネタを“ひとくちサイズ”で披露した。
・ジョックロック(福本ユウショウ、ゆうじろー)『第十回上方漫才協会大賞』新人賞、『M-1グランプリ2024』ファイナリスト
・ラビットラ(渡邊瞬、松本直也)=『第14回関西演芸しゃべくり話芸大賞』グランプリ
・例えば炎(タキノルイ、田上)=『第43回今宮戎マンザイ新人コンクール』福笑い大賞
・マイスイートメモリーズ(トランスフォーム福田、花谷豊)=『令和7年度 NHK新人お笑い大賞』大賞
・エバース(佐々木隆史、町田和樹)=『第46回ABCお笑いグランプリ2025』優勝、『M-1グランプリ2024』ファイナリスト
・ツートライブ(周平魂、たかのり)=『THE SECOND~漫才トーナメント~2025』優勝
・フースーヤ(田中ショータイム、谷口理)=『第14回ytv漫才新人賞決定戦』優勝
・電気ジュース(藤本もふ、福沢葉)=『女芸No.1決定戦 THE W2025』ファイナリスト
・豪快キャプテン(山下ギャンブルゴリラ、べーやん)=『第60回上方漫才大賞』新人賞
・からし蓮根(伊織ラッキー、青空)=『オールザッツ漫才2024』優勝
・ニッポンの社長(辻皓平、ケツ)=『ダブルインパクト〜漫才&コント 二刀流No.1決定戦~』優勝
・ドーナツ・ピーナツ(ドーナツ、ピーナツ)=『第十回 上方漫才協会大賞』大『女芸No.1決定戦 THE W 2025』賞
ジョックロックゆうじろー「けっこうおもしろくなってます!」
続いて、この1年の若手芸人の総括として、吉本興業代表取締役副社長及び上方漫才協会事務局長の奥谷達夫があいさつ。まずは2025年4月に渋谷よしもと漫才劇場が誕生したことで、よしもと漫才劇場が4館体制となったことに触れ、中でもよしもと漫才劇場が今日をもって11年、森ノ宮よしもと漫才劇場が5年という節目を迎えられたことに対して、「劇場で日々芸を鍛錬して競っていただいている芸人さんたちの情熱、それを温かく支えていただいているお客様のお気持ち。本当に感無量でございます」と感謝の言葉を。今では劇場で育った芸人たちが全国で、そしてあらゆるフィールドで活躍していることを「私たちの誇り」と期待を寄せ、続けて「なんばグランド花月が、完成した芸を楽しんでいただくエンタテインメントとするならば、若手の劇場である『よしもと漫才劇場』は育成段階、途上段階。そのステップも含めて応援していただける、そんなエンタテインメントではないかと考えています」と語った。
さらに、12月31日(水)には、よしもと漫才劇場と、森ノ宮よしもと漫才劇場のメンバーによる『大晦日大祭典2025』がCOOL JAPAN PARK WWホールで開催されることが決定。東京では、渋谷・神保町マンゲキ2館合同で開催する初の大晦日フェス『渋神大晦日2025 紅白カウントダウンパーティー』を開催。そして2026年1月12日(月・祝)には、『第十一回 上方漫才協会大賞』の開催が発表された。
続いて先ほどネタを披露したメンバーへの“1分インタビュー”が始まるかと思いきや、フースーヤが小道具のライトセーバーを持ち込んで寸劇を披露。ライトセーバーを立てて並べて“11”を作り、「見てー! 11周年、おめでとう!」とサプライズでお祝いを届けてMCの真輝志まで驚かせた。

1分インタビューでは、ジョックロックゆうじろーが、『M-1グランプリ2024』で飛び出した「僕がおもしろくなります!」宣言をアップデートし、「けっこうおもしろくなってます!」と絶賛成長中であることを報告。『第14回関西演芸しゃべくり話芸大賞』でグランプリを受賞したラビットラは、3年目の挑戦でようやく優勝できた喜びを伝えた。
マイスイートメモリーズは1分の前半をそれぞれ一発ギャグを披露し、後半は『令和7年度 NHK新人お笑い大賞』大賞について「新人でございます。芸歴20年目の新人。バケモンが生まれたね!」と花谷。

今年芸歴10年目のエバースは「デビューしたときにはすでに漫才劇場があったので、神保町の漫才劇場にすごく出させていただいて。『第46回ABCお笑いグランプリ2025』が獲れたのも漫才劇場のおかげだって、町田が言ってた……」と佐々木が言うと、すかさず町田が「言ってねーよ!」とツッコむが、真輝志から「言ってええやろ!」とツッコミが入った。
フースーヤは、再びライトセーバーで寸劇を。すると突然、暗転し、明転すると、谷口がおなじみの“炭治郎ビキニ”姿に。「フースーヤの1年を象徴する芸でございます」とアピールした。
『女芸No.1決定戦 THE W2025』の決勝に進出している電気ジュースは「賞金で1.5合炊きの炊飯器からごんご(5合)炊きの炊飯器に買い替えたい」(藤本)、「全身麻酔して親知らずを抜きたい」(福沢)と、“賞金の使い道”を宣言。

「この1年ですごく忙しくさせていただきました」と回想するのは豪快キャプテン・山下ギャンブルゴリラ。「これまでにないいろんな仕事をやらせていただき、なかなか疲れが取れなくなってきて、体の変調も出て、僕も若くないんだなと思った1年でした」とがんばった1年だった様子。

今年4月に東京進出を果たしたからし蓮根は、伊織ラッキーが「東京に行って半年以上経ちましたが、意外と水が合う」と言いながらも、「『M-1』を東京で受けてみて、大阪のほうがやりやすいなって。来年から大阪に帰ろうかな」ともこぼし、舞台上も「どっち!?」と大笑いだった。

例えば炎・タキノは、『M-1グランプリ2025』準決勝進出について、「2年連続で準決勝に行けるということで、去年は緊張したんですけど、今回は2回目ということでリラックスして臨めるのかなと思っています」と語った。

ニッポンの社長・辻は、中学時代に流行ったゲーム『グランド・セフト・オート』の思い出エピソードを語り、真輝志に「なんの話をしてるんですか!?」と制された。
中田カウス「芸の最後に残るのは“品”ですよ」

続いて登壇したのは、上方漫才協会 文芸部部長・大池晶。「11年間、ずっと見てきていますが、ネタの発想がだんだんと変化し、展開もよくなり、ネタが高度化されてきました」と太鼓判。一方で、コンテストで設定されるネタの制限時間について語り、「ムダなセリフがなくなり洗練されているが、遊びの部分がなくなっているようにも思い、もっと遊びの部分があってもいいなとも思って見ている」とも言う。「来年は、チャンスがあれば時間制限のないネタのイベントもあっていいのかなと。そんなことを期待しながら来年も1年間、見ていきたいです」とエールを送った。
最後にあいさつに立った上方漫才協会の中田カウス会長は、大池の言葉をつなぐように「僕らは若手のころは15分から20分。トリを務めていたころは20分から25分。アドリブで盛り上がったらそこを大事にしながら、お客さんの反応を見ながら、ネタが全然違う方向に行ったり。僕らも遊びの部分が楽しかったし、お客さんから見ても『遊んでるな』という、いい意味での“遊び”がなくなってきたのですかね」と話す。さらに「漫才はツッコミとボケで笑わすんじゃなく、“間と呼吸”」と言い、エバースを「ネタ作りもいいし、呼吸もいい。ああいうタイプの漫才がこれから生まれることを期待しています」と高く評価した。

また、よしもと漫才劇場と上方漫才協会が11年目を迎えたことについて、「この劇場が誕生したときは『師匠、大丈夫ですか?』と心配していただきましたが、丸10年。11年目に入ります。ここ(よしもと漫才劇場)から誕生した芸人43組を東京に送り出しています。と勢いを増す様子に目を細め、そしてこれからの若手芸人の成長と発展に向けてこう語った。
「たくさんの売れっ子が育ちまして、10年が経ちました。『漫才のDENDO』は、力をつけた子たちが出演して、NGK(なんばグランド花月)のお客様の前で持ちこたえられる芸の足腰を鍛えるために作りました。全国ツアーも日本を2周しました」。そこでカウス自身もたくさんの気づきがあったとのことで、「この子たちを、さらに世に出したい」という思いで『漫才のDENDO NEXT』をスタート。その第1回が、渋谷よしもと漫才劇場で開催された。「『漫才のDENDO NEXT』をやってよかったですね。楽屋での緊張感もちょっと薄れてきた感じやし、師匠についていない子ばかりで、ちょっと行儀を外したりすることもあるんです。漫才師は“見せる”仕事ですから、ネタだけじゃなく、まず出てきたときの印象が大事。舞台袖からマイクに着くまでが勝負。顔つき、衣装、しゃべり方。漫才のしゃべりとは、もっと品があるものですから、そういうことをみんなに伝えていきたい。芸の最後に残るのは“品”ですよ」。そう話すカウスの言葉に聞き入る若手芸人だった。

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