『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』が開幕。九条ジョー「老若男女が楽しめる、炊き込みご飯のような舞台」

2025.8.5

文・編集=Quick Japan編集部


ブギの女王・笠置シヅ子の一生を、歌と芝居と生バンドで描く舞台『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE〜ハイヒールとつけまつげ〜』が8月1日(金)から東京・IMM THEATERにて上演。開幕に先立って、7月31日(木)にゲネプロと囲み取材が行われ、演出を手がける白井晃、音楽監督の小原孝、主演の神野美伽、共演の福本雄樹、九条ジョー、加藤虎ノ介、鈴木杏樹が登壇した。 

6年の時を経て上演

6年前に大阪で上演され、その後東京での公演も計画されながらも、コロナ禍で実現が叶わなかった本作。ようやく上演の運びとなり、神野は「人生の中でもう一度取り組んでみたいと6年間思い続けてきました」と、感無量の様子。朝のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』の放送で笠置シヅ子に再び注目が集まったということもあり、「多くの方が笠置シヅ子さんを知ってくださったあと、もう一度この作品に取り組むというのは、とても意味のあることのように思います。このお話の中で“使命”という言葉が何遍も出てくるんですけど、やはりこの作品が持っている役割というものがあるんじゃないかなと、6年前には感じなかったことを感じながらやっています」と真摯に語った。

シヅ子を慕う妹分のお雪を演じる鈴木は、「笠置シヅ子さんのお墓参りに神野さんと一緒に行って、『応援してください』ってお願いしてきました。今回、きっと見ていただけていると思うので、心を込めてお芝居させていただけたら」と、エピソードを交えコメント。

シヅ子を見出す服部良一役を演じる加藤は、今回が初参加。「白井さんの演出が楽しくて、いい意味でたくさん火を点けていただいて。この夏、この座組で全力でやれたら」と意気込みを語った。

シヅ子の恋人・吉本穎右と弟・八郎を演じる福本雄樹は、「笠置シヅ子さんのパワフルな曲に負けないように、神野さんを中心にみんなで盛り上げて楽しい舞台になれば」と笑顔。

また、レコード会社のマネージャーを演じる九条ジョーは、「もう本当に老若男女全員が楽しめる、大好きな、炊き込みご飯のような舞台になったなと思います。ミュージシャン、俳優さん、芸人、いろんなアベンジャーズが集まってひとつのものを作り出すという、本当に素晴らしい舞台になっていますので、よろしくお願いいたします!」と元気に語り、神野らから拍手が起こっていた。

そんな出演者たちについて、白井は「おもしろい方々が多くて、いろんな意味で楽しんでおります。演出をつけていて、わかってくれているのかいないのかよくわからない(笑)。一回いいところに行ったと思ったら、次の日にまた元に戻ったり」と、冗談交じりに語る白井に、一同は顔を見合わせながら爆笑! 「こういう楽しい俳優の皆さんがいらっしゃって、そして小原さんを中心としてミュージシャンがそれを支えてくださって。こういうホットな作品に関われているというのは本当にありがたいチャンスだなと思ってます」と語り、キャストたちもニッコリ。座組の雰囲気のよさを窺わせた。

音楽監督を務める小原は、「役者とミュージシャンとセットと、すべてが一体化していて、我々も劇の中に入り込むような気持ちになれる作品で、すごく画期的」と、この新たなかたちの音楽劇の楽しさをアピール。また、服部良一の眠っていた名曲「大空の弟」についても触れ、「『ブギウギ』にも登場しましたが、そのときはテレビサイズで放送されていました。今回はフルサイズでお聞かせしますし、すごく重要なポイントになっているので、ぜひ聞いていただけたらうれしいです」と力を込めた。

また、今回はアフタートークつきの公演も実施されるとのこと。鈴木らキャスト陣や白井のみならず、國村隼、キムラ緑子、藤井隆など豪華メンバーが登場。服部良一の孫にあたる作曲家の服部隆之も参加するということで、白井も「良一先生の書かれた曲をこういうかたちで舞台にしているというのを隆之さんに見ていただいて、どういう印象を持たれるかが楽しみだなと思います」と、期待を寄せていた。

ゲネプロリポート

物語は、昭和23年の有楽町から始まる。日劇のステージで、公演を行う人気絶頂期の笠置シヅ子。ステージで「ブギウギ時代」「ジャングル・ブギー」などをパフォーマンスし、そのエネルギッシュな歌唱で一気に物語の世界に引き込む。そこから、歌の合間にシヅ子が語る身の上話、というかたちでストーリーは展開していく。

宝塚音楽学校の受験失敗、松竹(大阪松竹少女歌劇団)への入団、上京、服部良一との出会い。そして、最愛の人・穎右との幸せな日々、別れ──。バラエティに富んだ服部メロディが、時にウキウキと、時に物悲しく、シヅ子の日々を彩る。

神野は、まるでシヅ子が乗り移ったかのような熱演、熱唱で観客を魅了。「ラッパと娘」「センチメンタル・ダイナ」「東京ブギウギ」など、パワフルなパフォーマンスの数々は、生バンドのダイナミックな演奏も相まって、見ていると思わず一緒に体を揺らしてしまうような楽しさに満ちあふれている。

一方で、弟・八郎への思いを歌う「大空の弟」のシーンは、神野の魂の歌声に八郎が読み上げる戦地からの手紙が合わさり、圧巻。思わず涙を誘う。

最後には、「買い物ブギー」「銀座カンカン娘」と、劇中には登場しなかった楽曲も披露。観客も一緒に手拍子でノリノリに! そしてアンコールではトランペットとのかけ合いも見事な「ラッパと娘」を披露! 心地よい一体感に包まれ、ステージは幕を閉じた。

 舞台『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE〜ハイヒールとつけまつげ〜』は、8月11日(月・祝)まで上演中。

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