そこで僕から提案がある。5年間、ピザ屋を見続けピザを食べ続け、今もなお1週間食べないと禁断症状が出る僕から素敵な提案。「ピザ挟み」である。ピザ屋に入ったら、まずピザとビールで一杯いく。できればマリナーラかマルゲリータでいってほしい。これは、ブースター。気持ちと内臓のトルクを上げるのだ。
いいピザ屋は生地が軽いから2、3人で一枚食べたいところで腹にはたまらない。むしろ、食欲が増すはずである。それをビールで一気に流し込む。行きたいっすね。いいっすね。なんてね。次に、つまむ。楽しくしゃべりながら飲む。飲み物はワインでもいいし、ビールでもいい。好きにすればいい。
さて、1時間もすればまたピザが食べたくなるはずだ。だって、ピザ屋で飲んでいるのだ。釜からは薪のいい香り。周りのテーブルには次々とピザが運ばれる。君は横目でチェックして、次にどれに行くかもう決まっている。僕は思う。こうなったらもう、きっとピザの無駄死にはない。最初に食べたピザの味を体が覚えているし、途中ピザ断ちをしたことで食べたくて食べたくて仕方なくなっているはずだ。
欲望のままにほうばってほしい。熱いうちに。トマトのマグマで火傷しそうな口内を冷ますように、酒を流し込んでほしい。ぐびぐび。そう、もし君が一度ワインに行っていたとしても、試しに、そう、試しにでいい、ビールに戻ってきてみてほしい。どうだろう。きっと僕の言いたいことが分かるはずなんだ。
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夏目知幸 初個展 『氷河が溶ける部屋』
会期:2020年1月29日(水) ‒ 2月6日(木)
時間:15:00-20:00(金・土は21:00まで)
会場:阿佐ヶ谷 VOID
*月曜定休/入場無料
*オープニング・パーティ – 1月29日(水)19:00~21:00
*サタデーナイトパーティ – 2月1日(土)18:00~21:00関連リンク