I Don’t Like Mondays.『Black Humor』:PR

I Don’t Like Mondays.、通称「アイドラ」。コロナ禍を経て4人が気づいた「もっと心に寄り添える言葉」について

2021.8.16
I Don’t Like Mondays.

文=堀越 愛 撮影=鈴木 渉 編集=福田 駿


I Donʻt Like Mondays.。通称「アイドラ」。

憂鬱な月曜日にこそ聴きたい心地いいサウンドで、業界にもファンが多いアーティストだ。精力的に楽曲を発表してきたアイドラだが、2020年はコロナ禍によりアルバムリリースが延期に。満を持して、2021年8月18日にフルアルバム『Black Humor』がリリースされる。コロナ禍による環境の変化が「アイドラ」にもたらしたものとは……。

アイドラの“新境地”に迫る。

以前だったら生まれてない曲ができた

YU(Vocal)

──『Black Humor』というアルバムタイトルには、どんな意味が込められているんでしょうか?

YU コロナ禍はミュージシャンとして笑えない状況ですけど受け入れなきゃいけないことなので、ひとつの「ジョーク」として受け止めようというのが大きな要素ですね。アルバムの発売延期だけじゃなく去年はツアーもなくなってしまったんで……そういうのも「全部笑ってすませばいいじゃん」みたいな。

──コロナ禍で環境が大きく変化したので、リリース時期を延期したことでアルバムの中身にも変化がありそうです。

YU デビュー前からいろんな曲を作ってきましたけど、これまではある程度固まったやり方で突っ走ってきたんです。でも時間に余裕ができたこともあって、いろんな作曲方法を試してみようということになって。スケジュールが詰まってたらできなかったやり方にトライできたので、おもしろいアルバムになったと思います。

KENJI コロナ禍になってから音楽の聴き方がすごく変わって、ひとりでじっくり聴くような機会が圧倒的に増えたと思うんです。そういう意味で、今回は時代にマッチする曲を作ろう、というのが頭にありました。今まではパーティーチューンみたいな曲も入れてましたけど、今回は「家で何度もリピートして聴けるようなアルバムにしよう」と心がけましたね。

CHOJI アゲアゲなナンバーは作らなくてもいいのかな、というのはありましたね。実際、自分自身が激しいロックをそんなに聴かなくなったこともあって。ただ核はロックなんで、バラードをやったとしても自分というフィルターを通せば勝手に滲み出ていくのかな、と。あと、音の作り方が変わりました。スタジオではなく家で録った音を使うとか、フレキシブルに採用していくことが多かったですね。

CHOJI(Guitar)

SHUKI コロナ禍だからこそできた曲もあるし、ここまで延期したからこその曲もあるし……。最後の最後まで粘って作ったんで、いろんなものが入ってるアルバムです。

KENJI YUの歌詞もだいぶ変わったと思います。これまで以上に内面を抉るというか。考える時間ができて試行錯誤した結果、ぎゅっと濃いものが詰まったアルバムにできたと思いますね。

──歌詞にはどんな変化があったんですか?

YU 今までは、サウンドを引き立てるような言葉選びをしてたんですよ。でもひとりで過ごすことが増えたと思うんで「もっと心に寄り添える言葉で作品を作りたい」という創作意欲が湧いて。今までだったら「アイドラっぽくない」という理由で使わなかったワードを使ったりしました。たとえば「地上を夢見る魚」っていう曲があるんですけど、今までだったら絶対「魚」なんて使わない。みんなに提出するときは、けっこう勇気いりました(笑)。

KENJI 正直、戸惑いもありました。

一同 (笑)。

KENJI けど言わんとしてることはわかるし、信じてやってみようと。YUの歌詞をどれだけかっこよくするかが僕たちの仕事なので、アレンジはけっこう考えましたね。

YU 今回のアルバムに入ってるほとんどの曲が、以前だったら生まれてないかもしれないですね。コロナ禍を経てある意味「僕っぽいものを書いていいんだ」とすごく楽になりました。吹っ切れたというか。今まではいかにサウンドを引き立てるか、と変に凝り固まってたけど、いかにパーソナルな部分を出すか、っていう方向に。なので、今回のアルバムは「人間臭さ」みたいなものもイメージして作りました。

ロジカルに、必死に、オシャレな気分になれるサウンドを

KENJI(Bass)

──「アイドラっぽくない」という言葉が出ましたが、そもそも「アイドラ」ってどんなバンドですか?

SHUKI けっこう二面性を持ってるかもしれないですね。表面的に見たら“浅い”くらいの感じを出しつつ、実は難しいことをやってたり。音楽がわからない方でも楽しめるように、というのは念頭に置きつつ、そうじゃない方も納得できるものというか。

YU ロジカルなバンドだと思いますよ。

KENJI 朝起きたら曲が降ってきた……みたいなことはまったくなく。

YU 1ミリもない(笑)。

KENJI めちゃくちゃ考えて作ってますね。表面的にはすごく薄くても、裏でめっちゃ考えて(笑)。そういう大人が一番かっこいいんじゃないかと思ってて。

YU 裏は必死です(笑)。

KENJI ……って言うのも恥ずかしいですけど(笑)。

SHUKI(Drums)

──表面に出ない難しさというのは、テクニカルな?

SHUKI そうですね。たとえば、YUは歌詞を書くとき超哲学的なことを考えてるけど言葉には表さない、みたいなところもあると思います。わざわざ言わない。

YU でも、言わな過ぎて誰にも気づかれないジレンマもあります(笑)。

SHUKI たまにメンバー同士でも気づかないことあるよね。

KENJI ひとりで完結させるのも突き詰めたおもしろさがあると思うんですけど、「あぁこういうことか」って気づき出してからのおもしろさもありますね。

YU バンドだからこその化学反応みたいなものがあるので、そういうところも楽しんでいただければ。

CHOJI アイドラは聴くだけでオシャレな気分になれるサウンドを作ってると思うんで、初めての方も、何かやりながら聴いてもらいたいですね。ドライブにもぴったりだと思います。


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