『M-1グランプリ2024』で準優勝を果たしたバッテリィズ。漫才のおもしろさはもちろん、「生きるのに意味なんていらんねん！」など、漫才中に飛び出したエースの前向きなフレーズも注目を集めた。

そんなふたりの日めくりカレンダー『まいにち、バッテリィズ！【日めくり】～エース語録 31本直球勝負！～』が8月8日（金）より発売された。本作には“笑えるのに、なんか刺さる”エースのポジティブ語録が、寺家の解説コメントとともに31日分収録されている。そこでカレンダーの注目ポイントとともに、ふたりに“前向きに生きるコツ”を聞いた。

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高校野球でサヨナラ負けしたときも落ち込まなかった

──今回のカレンダーは2024年の『M-1グランプリ』のネタで飛び出したフレーズから始まった企画だそうですね。

エース　びっくりしましたね。まさかカレンダーになるとは。そんなにいいこと言ってたかな？って感じです。

寺家　日めくりカレンダーと聞いたときは、おもろかったですね。漫才劇場の1階に日めくりカレンダーがあるんですけど、毎回そこに書かれた文字を見てたんで、自分たちもあれになんのか！って。系統は全然ちゃうかったんですけどね。

──エースさんのフレーズが「心に響く」「励まされる」といった声が多かったですが、そういった反響はどう感じていますか。

エース　そこまで自覚はないですが、「元気が出ました」とか言ってくれる人がいるのはうれしいです。人を笑かしたい、元気にしたいと思ってバッテリィズをやっているので。結果オーライですね。

寺家　「落ち込んでいたけど前向きになれました」みたいなことを言ってる人がいるのは、一番いいことやなと思います。

──エースさんは基本的に落ち込まない性格とのこと。それは小さいころからですか。

エース　小さいときから特に落ち込んだ記憶はないですね。高校最後の夏、僕の押し出しフォアボールでチームが負けることになってしまったんですけど、それも別に引きずなかった。次の日には遊びに行ってたんじゃないかな。あれで僕のことを落ち込ませれなかったらもう（笑）。

──どうしてそんなに落ち込まないでいられるんでしょうか。

エース　何も考えていないだけですよ（笑）。別にいいか、まあいいかって。

──その性格はまわりの人やマンガなど、何かに影響されたものなんでしょうか。

エース　影響はないですね。（明石家）さんま師匠とか『ONE PIECE』のルフィが好きで、ふたりのような人間になりたいっていう気持ちはありますけど、性格を寄せていったつもりはなくて。落ち込まない人になろうと思ってなっているわけじゃないんですよね（笑）。

──ネガティブなことが起きても、瞬間的に気持ちを切り替えているのでしょうか。

エース　たぶん、そうですね。切り替えようとかも特に考えているわけじゃないんですけどね。

──一方で、寺家さんは落ち込むことが多いタイプだと伺いました。

寺家　最後の高校野球でサヨナラ負けしたら、たぶん僕、試合に出てへんのに落ち込んでたんじゃないですかね（笑）。僕はキャッチャーをやり出してから、「意識的に人よりも反省しよう」みたいな考え方が身についたのはあるかもしれないですね。ほかの人は「よし」としていても、僕は「あかん」としてやる、みたいな。野球でいうとキャッチャーだけみんなと逆方向を向いているから、その影響でそういった細かいことを気にする資質が伸びたかもしれないですね。いい意味でも悪い意味でも。

──キャッチャーをやり始めてから今の性格に。

寺家　そうですね。そういう部分がより引き出されたと思います。思い返すと、無理やり反省してるときもありましたもん。試合帰りのバスで、勝ったとしても「キャッチャーだけは、はしゃいでたらあかん」みたいなところがあって。監督の横に座って、試合を振り返って反省点を出してましたね。

──学生時代、エースさんとバッテリーを組んでいた方も、キャッチャーだから性格的に寺家さんに似てる部分はあったりしますか。

エース　いや、まったくっすね（笑）。僕の中高のキャッチャーも別になんも考えてないです。そいつらは「もっと投げてこい、俺がやったるから」ってタイプだったので。でも別にいいキャッチャーですよ。

寺家　僕は、引っ張っていくというより、冷静であることをよしとしているタイプ。1学年上のキャッチャーは似てるけど、1学年下のキャッチャーとはだいぶ違うタイプと言われてましたし、同じポジションでもいろんなタイプがいますからね。

完璧を手放した寺家「考えすぎるということもポジティブに捉えて」

──寺家さんは気持ちが落ち込んだときは、どう切り替えていくのでしょうか。

寺家　「そこ通ってなかった」が嫌なんです。なので、全部ひととおり考えますね。でも考えすぎておかしなることもあるんで、あえて考えないようにすることもありますし、最近は、「あんま考えても意味ないな」と思うようにしています。もうええかって。

──それはエースさんの考え方に影響されたり。

寺家　いや、単純におっさんになっただけだと思いますよ（笑）。完璧主義じゃなくなっていった。20代のころは全部できる自分でいたかった。でもおっさんになって、完璧は無理やって気づいていった。

──いろんな経験を経て、肩の荷が下りていったというか。

寺家　そうかもしれないですね。20代前半では、「いいネタを書く」という目標に対して、「じゃあ人と絶対ちゃうことせなあかん」って考え方がガチガチに固まってた。その結果、変な状態に入って失敗したんです。それでこのやり方は違うんやって。以来、考えすぎることはなくなりましたね。

──ポジティブなエースさんが、ネガティブになった寺家さんを励ますことはあるんですか。

エース　いや、それはないです（笑）。落ち込んでいるところは別にあんまり見ません。どっかで落ち込んでるんでしょうけど。

寺家　前の相方には不安だらけのときに、迷惑をかけたことがあったかもしれないです。舞台袖で緊張して押しつぶされそうになって、「大丈夫、大丈夫」って励ましてもらったり。

エース　バッテリィズがコンビ組み立てのときにも、似たようなことはありましたけど、僕はイラついてただけでした（笑）。

寺家　でもそっちのほうがよかったです。前の相方が優しかっただけで、普通に芸歴4年目でそれだったらキモいですもん。

──そんなおふたりから、考えすぎてポジティブになれない方に向けてアドバイスをお願いします。

エース　これね、マジでむずいんですよ。よく聞かれるんですけど、僕、ほんまなんも考えてないので（笑）。俺はつらいときにこうしている、とかがない。ずっとこの性格なんです。

──ポジティブな考え方が根づいているんですね。寺家さんはいかがですか。

寺家　僕が伝えたいのは、「考えすぎてしまう自分も愛してください」ということですね。考えすぎるということを、ぜひポジティブに捉えてみてください。

カメラマンのジャンプに驚き

──改めてカレンダーについて伺えればと思うのですが、写真撮影で印象に残っていることはありますか？

エース　とにかくカメラマンの是永日和さんがすごかった。それ以外なんも覚えていないくらいです。撮影してもらうのは初めてでしたが、撮影の1週間前、プライベートで先輩の家に行ったときにたまたまお会いして。「来週よろしくお願いします！」ってほんまに低姿勢という印象だったので、カメラマンモードとのギャップにびっくりしました。カメラマンを撮るカメラマンがいるくらいでしたから。

──それもあって引き出された笑顔も。

エース　そうですね。もちろんあります。

──それぞれお気に入りのページを教えてください。

寺家　改めて見ると、11日のページがいいですね。写真とフレーズがよくマッチしている。写真ではファールボールで謝っているけど、別にそんなんで落ち込んではいないというか。それからこの14日のページは、カメラマンの是永さんと会って初めて撮った写真です。実は、是永さんがジャンプし出したのを見て、驚いているという（笑）。

エース　僕は26日のページが好きですね。ホウキにまたがって飛ぶ写真って、みんな撮りたいでしょ。それを一番きれいに撮ってくれたなって。

寺家　そのページの僕の表情、怪訝な感じも是永さんの指示なんですよ。うまく引き出していただきました。

『まいにち、バッテリィズ！【日めくり】～エース語録 31本直球勝負！～』
発売日：2025年8月8日（金） 
定価：1,430円（税込） 
発行：ヨシモトブックス 
発売：株式会社ワニブックス
スピンオフ企画として、日めくり未公開カットを多数収録したデジタル写真集も発売中。