発売中の『Quick Japan』vol.179のSPECIAL EDITION版表紙&約20ページの特集に、YouTubeチャンネル『ニートと居候とたかさき』が登場。本稿では、QJWeb特別版としてアザーver.のインタビューを公開する。
動画配信を開始した2021年から現在に至るまで、定職にはつかずいわゆる“ニート”として生きている野尻。30代に突入し、昨年にはしもちゃんと結婚もしたが、その肩書は変わらない。自身の現状について、野尻は「無理なものは無理と割り切ってきた結果」だという。そんな結果よりも内容や過程を大事に生きてきた、ニート・野尻の人生観を聞く。
野尻
(のじり)1993年4月6日生まれ、千葉県出身。ニート。2024年12月に「ニートの彼女」こと、しもちゃんと結婚した
生粋のゲーマーではない
──よくゲームをしている印象がありますが、昔からゲーム好きだったんですか?
野尻 もともと兄の影響で小中高とずっとゲームに触れてきて、高校生のころは『Call of Duty®』にハマってました。でも19歳でルームシェアを始めてからは、家にゲーム機がなくなったのでぱったりやらなくなっちゃったんですよ。たぶん5年ぐらいはずっとゲームやってなかったです。だから生粋のゲーマーとかってわけでは全然ないんですよ。
──それは意外でした。再びゲームに戻ったきっかけは?
野尻 コロナ禍でステイホームになって、ルームシェアしてた友達がまたゲームを始めたんです。それを見て、なんか楽しそうだな、と思ってやらせてもらったのが『Apex Legends』でした。そしたら「今って無料でこんなおもしろいゲームできるの?」ってどんどんハマっていって。一時期は昼ごろ起きて夜ご飯までひとりでゲーム、夜になると社会人のフレンドたちが集まってくるので深夜から朝までずっとゲームっていう生活でした。
──『Apex』はどれくらいやり込んでいたんですか?
野尻 3年くらい本気でやってましたね。ランクマッチの最高ランクが世界上位500人(現在は750人)の「プレデター」なんですけど、そのひとつ下の「マスター」まで行きました。
──マスターって上位1%未満と聞きましたが……相当努力したんですか?
野尻 いやいや、自分なりにやってたらなんか行けちゃったという感覚です。もっと強い人たちはたくさんいるし、自分が強いとも思ってないですし。
──それってかなりゲームセンスがあるということでは。
野尻 そうなんですかね? でも「ゲームの本質を突く」のが好きなタイプではあると思います。スポーツでもなんでもそうですが、「ここを大事にすればいいんだな」みたいなポイントをつかむ感覚はあるほうかもしれません。
──最近はあまりゲームはしてないんですか?
野尻 たまに友達に誘われて『Apex』をやるくらい。一時期はゲーム配信とかもしてたんですけど、PS5の通信部分が壊れちゃって今無線しかつながらないんです。別に直せば配信もできるんですけど、それすらやってないっていうのが今のゲームに対する温度感ですね。友達とたまに遊べてちょっと暇つぶしができればいいかという。
大事なのは、結果よりもそこまでの内容や過程
──もともと野尻さんっていわゆる「ニート」のイメージとは違ってけっこうアクティブですよね。
野尻 そうですね。「ニート=一日中ゲームしてる」みたいなイメージの人もいるかもしれないですけど、自分は全然逆です。友達も多くて社交的だし、むしろ家にあんまりいたくなくてムダに1時間散歩してるときとかあります(笑)。
──ゲーム好きというよりはハマったものをとことん楽しむと。麻雀もお好きなんですよね。
野尻 大好きです。ABEMAで『Mリーグ』もめちゃくちゃ観ていて、その前身の『RTDリーグ』から追ってます。2018年ごろからなのでゲームより長いですね。
──麻雀も「ゲーム」の一種かと思いますが、どんなところが魅力ですか?
野尻 「運と実力のバランス」が絶妙なんです。完全情報ゲーム──たとえばチェスや将棋みたいなものって、実力差があるとまず勝てないんですよね。でも麻雀って、どれだけ実力があっても、ツキがなければ勝てない瞬間もある。そこがいいんです。逆に「チンチロ」みたいな完全に運だけのゲームもあまり好きじゃなくて、何も工夫できないから飽きちゃう。麻雀って、実力を突き詰めることもできるけど、「ワンチャン」があって素人でもプロに勝てる可能性がゼロじゃない、というのがゲームとしてすごく魅力的だと思います。
──たしかに、だからこそ劇的なドラマも多く生まれてますよね。
野尻 そうなんですよ。こないだのファイナルも最終局まですごく熱い展開があって……そういうところがすごく好きですね。
──そういう価値観って野尻さんの人生観にもつながってますか?
野尻 めちゃくちゃつながってると思います。それこそ麻雀でも「結果がすべて」っていうところがあるじゃないですか。麻雀って基本は待ち牌が多いところにリーチを打つゲームですけど、待ち牌が山に8枚あっても1枚もツモれなかったら勝てない。そうすると内容は100点なのに結果が0点っていう残酷な結果になりえます。でも、だからこそ自分は結果よりも内容や過程を大事にするタイプです。
──おもしろいですね。結果がすべてだからこそ内容を大事にする。
野尻 結果なんてやってみないとわかんない。だからこそ結果論でどうこう言うのではなく、そこを目指すためのプロセスとか過程の考え方がめちゃくちゃ大事だなと思って。それはほかのいろんなゲームにもいえることなのかなって。
無理なものは無理。それを受け入れる
──人生も運の要素があるからこそ「人事を尽くして天命を待つ」という考え方がありますね。
野尻 まさにそれです。「努力すれば報われる」ってよくいうけど、実際にはそうじゃないこともあるじゃないですか。でも本当にできることを100%やってて結果が出ないんだったら、しょうがないなと受け入れられます。
──自分の中での納得につながると。「努力したんだから報われてくれよ」とは思わないですか?
野尻 それは思わないですね。もしかしたら自分で努力と思って努力したことがあまりないからかもですが。受験くらいですかね、人生でがんばったこと。
──中3の夏に適当に決めた進学先が実は高難易度の高校だったけど、短期集中でがんばって合格したんですよね。立派な努力だと思います。
野尻 でも、それもあんまり努力したって感じじゃないんです。自分は家で一切勉強しないで塾でだけ勉強してたんですけど、塾に行くと友達に会えるからそれを楽しみに塾に行っていて。そうするうちに自分の成績が目に見えて上がっていって、そうしたら最初は嫌いだった勉強も楽しくなって……という感じだったんです。
──なるほど、じゃあ自分が楽しめる環境をセルフプロデュースするのがうまい、と。
野尻 めちゃくちゃいいように言ったらそうですね。だから受験も自分なりにやれることはやったんで、落ちたとしてもしょうがないか、ってなってたんです。それで自分にイラついたり誰かのせいにすることもない。「結果とか目の前の現実を受け入れる」ってことに関しては昔からめちゃくちゃやってきたと思います。
──その「過程を楽しんで結果を受け入れる力」があるからニートという現状も受け入れられていると……(笑)。
野尻 そうですね、はい(笑)。もちろん苦しくても絶対したほうがいい努力とかもあると思うんです。自分も大学受験しときゃよかったなとか、就活しときゃよかったなとかいろいろ思うことはあるんですけど、それをしてこなかったから今の自分があるともいえて。そのへんは「無理なものは無理」と割り切ってます。
──子供のころに「ちゃんとしなさい」って怒られたりはしなかったですか?
野尻 正直あんまり覚えてないんですよね。怒られても自分の中で「なぜ怒られたのか」とかを考えて、「こういうことだった。なるほど。オッケー」ってなったらそこで終わるんです。自分で変えたくても変えられない部分って絶対あるしそういうものに抗っても意味ない、気にしてもしょうがないと思ってて。
──すごく自己解決力がありますね。
野尻 それもめちゃくちゃいいように言ってますね(笑)。まあでも自分的に納得感というか、腑に落ちないと行動はできないタイプだと思います。
インタビューのアザーver.は『Quick Japan』vol.179に掲載
YouTubeチャンネル『ニートと居候とたかさき』が、8月8日(金)より発売中の『Quick Japan』vol.179のSPECIAL EDITION版表紙&特集に登場する。
今回の特集では、「成長」ばかりが求められる社会の中でのひとつの選択肢として、「変わらない生き方」を提示。さらに、特集には時々動画に出演するラッパー・SKRYUも登場。常に変化し続けてきたSKRYUが、メンバーの魅力を語る。
さらに、QJストアでは限定大判アクリルキーホルダーも販売中。

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