ソロデビューした零こと川村壱馬、ラップで勝負すると決めた原点「ここまで言っていいんだ!って勇気をもらった」

2025.2.6
川村壱馬

文=斉藤 碧 撮影=ARISAK 編集=梅山織愛


1月29日(水)に『Delete/Enter』でソロデビューした「零」こと川村壱馬。THE RAMPAGEのボーカルであり、グループの楽曲でもラップパートを担当することが多かった零は、ソロデビュー曲でもHIP-HOPを選択。作詞も自ら行い、ラップで聴いている人にメッセージを届けていく。

「歌ではなく、ラップでメッセージを届けたい」という想いの裏には、アーティストとして尊敬するラッパーたちから受けた衝撃が影響していた。零のHIP-HOPのルーツを紐解く。

2月17日(月)発売の『Quick Japan』vol.176では、約30Pにわたって零を特集。6,000字超えのロングインタビューでは、「自分が素直に好きなものを肯定することで、誰かの自信につながったら」という想いを持つ零が好きなもの=「HIP-HOP」「アニメ」「ゲーム」への想い、そしてそれらへのリスペクトを発信し続ける理由に迫る。本稿は、その一部を抜粋してお届けする。

川村壱馬『Quick Japan』SPECIAL EDITION表紙
『Quick Japan』vol.176 SPECIAL EDITION表紙
【『零』SPECIAL EDITIONカバー】『Quick Japan』vol.176

本音を伝える、HIP-HOPのルーツ

零 今作は「Delete」と「Enter」の両A面で、どちらも自ら作詞をさせていただいたんですが、テレビアニメ『Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。』のオープニング主題歌としてトラックを集め、世界観に沿ってリリックを書き下ろした「Enter」に対して、「Delete」は作曲にもイチから携わらせていただきました。そういう違いがあったので、「Enter」はラップパートもありつつ、アニソン色の強いメロディアスな頭サビで始まるんですが、「Delete」は曲調もすべて、自分の好きなことや今やりたいことを素直にかたちにしようと。長年僕の中にあった、「歌ではなく、ラップでメッセージを届けたい」という想いに従い、ラップを前面に出した楽曲に仕上げました。

 僕がリリックを書くときは、日常で感じた憤りが原動力になることが多いんですけど、その憤りを聴いてくれている人に訴えかける手法として、すごく相性がいいなと思ったのがラップやHIP-HOPで。自分がソロとして曲を発表するなら、ラップしかないなと思っていました。ただ、僕がアーティストを目指そうと思ったのは、中学生のころにEXILE TAKAHIROさんに憧れたことがきっかけですし、幼いころからゴリゴリのHIP-HOPを聴いて育ったかというと、そうではなくて。それこそTHE RAMPAGEはもともとHIP-HOPテイストに強いグループとして結成されましたが、僕はTHE RAMPAGEのボーカルに選ばれるまで、HIP-HOPがどういうものか、あまり知らなかったんです。

 HIP-HOPに関しては、2014年に『VOCAL BATTLE AUDITION 4』に合格してTHE RAMPAGEのボーカル候補になり、正式メンバーを目指して「武者修行」を行うなかで、改めて「HIP-HOPとはなんだろう?」と深掘りしていったのが最初でした。そう考えると少し遅めのスタートですが、そこからは一気にハマりましたね。メンバーにもHIP-HOPに詳しい人がたくさんいますから。みんなにオススメのアーティストを教えてもらいながら、USのラッパーを聴いてみたり、日本語ラップも聴き始めて、「こんなすごい人がいるんや!?」って思ったりして。いろんなアーティストから刺激を受けつつ、徐々に自分のラップスタイルを確立していきました。THE RAMPAGEの結成時のコンセプトが「HIP-HOPテイストの強いグループ」でなければ、ここまでラップを極めることはなかったと思うので、グループに感謝ですね。

 2017年に番組の企画(『MUSIC ON!TV』の特別番組『今、僕たちがニューヨークでやりたいこと。~3Vocals/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE~』)で、ボーカル3人だけで1週間ニューヨークに行かせてもらって。そのときに僕がリクエストしたのが、“HIP-HOP生誕の地”だというブロンクスのセジウィック通り1520番地でした。そこに足を運んで、生のHIP-HOPカルチャーに触れた経験も、僕にとってのルーツです。

 エミネムの自伝的映画『8Mile』からは、エミネムが育ったHIP-HOPカルチャーを学びましたし、日本の方だったら、ANARCHYさんのラップはマジでぶっ刺さりましたね。生き様や本音がラップにそのまま表れていて、こんなにリアルなアーティストいる!?って(笑)。俺もこれくらいガチで勝負したいなっていう憧れと、ここまで言っちゃっていいんだ!っていう勇気をもらいました。あと、デビュー前だったかな? キングギドラさんのライブに行かせてもらったときも、かなり衝撃を受けました。アーティストの後輩として技術を吸収したいっていう気持ちがあって観に行かせてもらったんですけど、それよりも、カッケェ……!っていう感想が先に出てきたんですよ。アーティストとお客さんの魂が共鳴する感じがあって。僕は2015年ごろからクランプっていうジャンルのダンスをやっているんですが、憧れているクランパーの動画を観ているときも同じ感覚になります。寝る前にクランプの動画を観ると、つられて自分も身体を動かしたくなるから危険なんですよ。眠れなくなっちゃう(笑)。でも、それくらい衝動を突き動かされる存在だからこそ輝いて見えるし、自分もそんなアーティストでありたいなと思っています。

 はい。元をたどると複雑な経緯があるんですけど、わかりやすくいうと、ロサンゼルスの治安の悪いエリアで、ケンカや犯罪に代わってストレスを発散する方法として生まれたダンスですね。そういう誕生の背景も、自分の意見をハッキリ言うタイプというか、何事にも白黒つけたい僕の性格とマッチしていたので、歌とは違う自己表現を求めてクランプを習い始めました。なおかつ、“ボーカルがダンスもやってる”というふうには見られたくなくて。2017年に、「®AG POUND」(EXILE AKIRAや岩田剛典などが所属するクランプチーム)の一員としてパフォーマンスさせていただいたときも、どうせボーカルでしょ?という目線や、さまざまな批判を跳ね返すつもりでステージに立ちました。

川村壱馬
【『零』SPECIAL EDITIONカバー】『Quick Japan』vol.176 【『零』SPECIAL EDITIONカバー】『Quick Japan』vol.176

【書誌情報】
『Quick Japan』vol.176 SPECIAL EDITION(川村壱馬特別カバー版)
2025年2月17日(月)発売 
サイズ:A5/並製/146ページ
価格:1,500円(税込1,650円)
販売:QJストア/Amazon(予定)/一部店舗(予定)
※内容は予告なく変更する場合があります
※誌面内容は通常版と同じものとなりますが、川村壱馬の撮り下ろしビジュアルを使用した特別カバーが付きます

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  • 零 1st Single『Delete/Enter』

    零 1st Single『Delete/Enter』

    発売日:2025年1月29日(水)
    【アーティスト盤】
    商品価格:1,650円(税込)
    【アニメ盤】
    商品価格:1,650円(税込)
    【初回生産限定盤】
    商品価格:6,600円(税込)
    同梱物:リリックカード&フォトアートピース(24Piece)+大判バンダナ+メタルキーホルダー+7インチEPサイズ特装パッケージ
    【店舗特典内容】
    Amazon:メガジャケ(形態別)
    アニメイト:ミニフォト(アニメ版権使用)
    A-on STORE/A-on STORE Powered by A!SMART:名刺サイズカード(アーティストロゴ使用)
    楽天ブックス:ステッカー(アーティスト盤ジャケット使用)
    上記以外のCDショップ:B2告知ポスター

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斉藤 碧

(さいとう・みどり)エンタメ系ライター。音楽・俳優系を中心に、インタビュー・レポート・コラムなどを執筆。主な寄稿先は『GLAY MOBILE』『OUT of MUSIC』『リアルサウンド』など。LDHアーティストの記事多め。

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