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ママタルト、バイトで得たスキルが役立った意外な仕事「これは革命だ!って喜んでもらえた」

ママタルト

文=安里和哲 撮影=長野竜成 編集=梅山織愛


お笑い芸人、アーティスト、俳優など、話題のタレントに「仕事遍歴」を聞くインタビュー連載「求人ボックスpresents Echoes of Career~人気者の仕事遍歴~」

当時なぜその仕事を選び、それがその後の活躍にどうつながっているのか?をテーマに、現在の職業に至るまでの経歴を聞きながら、そこで得たこと、逆境の乗り越え方を紐解く。

今回はお笑い芸人・ママタルトが登場。『M-1グランプリ2024』でも決勝進出を決め、いつブレイクしてもおかしくないコンビだ。インタビュー前編では、「アルバイトが大好きだった」というふたりに、バイトの思い出や、その経験が芸人活動に役立ったというエピソードを聞いた。

ママタルトがコンビとしてのこれからを語った後編はこちら

遊びのケガは仕事に持ち越さない…?

肥満さんのお顔が腫れていますが……どうしたんですか?

今朝、草野球でケガをしてしまいまして……。明日病院に行きます。

こんな大変なときに取材させてもらって恐縮です。

いやいや、こんなときにケガをした私が悪いんです。しかも草野球リーグの試合は明日で、今日は完全に遊びでした。プライベートですし、これくらいのケガで仕事を休むなんて、あり得ないですから。

バイトをしてた時代なんてお金がないから、どんな状況でも働かなアカンかったしね。うちの肥満がご心配おかけしてすみません!

ママタルト
草野球で顔をケガしてしまった大鶴(右)

おふたりともアルバイトがめちゃめちゃ好きだったそうですね。

そうですね。神戸の大学に行ってたんですけど、そのころからピザとお寿司のデリバリーのアルバイトを10年くらいやってました。上京して最初にやったのは、別のバイトでしたけど。

何をしていたんですか?

居酒屋の夜勤です。面接で「春に大学を卒業して、お笑い芸人を目指して上京しました」って言ったら即採用してくださって。ただ、夜勤が大変で……。

檜原さんには合わなかった?

そうですね。仕事が夜中の11時から4時半までだったんですけど、初日からずっと満席の中、僕ひとりで厨房と座敷をひっきりなしに行き来して。とんでもなく疲れてしまったので、翌日電話で「そろそろお笑いで生活できそうなんで辞めます」と。

たった1日で辞めちゃった(笑)。

大事なのはバックレたわけではないということです。店長も月末に1日分の給料振り込んでくれました。

そんな檜原さんですが、フードデリバリーのアルバイトはなぜ続けられたんでしょうか。

バイクに乗るのが好きだったんですよ。

プライベートで乗ればいいというわけでもない?

普段も乗ってましたけど、なにより宅配バイトならではの、屋根つきのオート三輪が好きだったんですよ。本当に8時間ぶっ続けで乗ってても飽きない。今でもやりたいくらい好きですね。

ママタルト
居酒屋のバイトを再現する檜原(左)と金券ショップのバイトを再現する大鶴(右)

バイト先で起こした革命

肥満さんは金券ショップのバイトについてよく話されていますが、バイト歴はどうですか?

最初のバイトは小中学生向けの塾講師ですね。正社員としても1年くらい働いたんですけど、子供たちの人生に責任を持つのがしんどくなってきちゃって辞めました。

肥満さんの人柄とフォルムだと、人気講師だったのかなと思うんですが。

いや、ナメられっぱなしでしたよ。当時『パズドラ』が流行ってまして、僕が英語の授業を持ってた19時〜21時にちょうどイベントがあったんです。授業開始と同時に4人がトイレに行き、20時になって戻ってきたと思ったら、別の5人がトイレに行く。

生徒たちの行動はお見通しだった。

はい。「キングメタドラは狩れたか?」「はい!」「よかったね」なんてやりとりをしてましたね。

塾を辞めて、すぐ金券ショップに勤めた?

いや、その間にいろいろやりました。でも続かなかったんですねぇ。僕も檜原と同じで、夜勤が向いてなかった。コンビニの夜勤を終えて、午前の講義を受けた帰り道は歩きながら寝てましたもん。

こんなに大きい人の居眠り歩きは、怖い!

でも、金券ショップのアルバイトは5年くらいやりました。金券相場って毎日変わるんです。その数字の変動を見るのが大好きだったんですよね。さらに、その動きに自分も関われる。新幹線の切符の価格を毎日エクセルで打ち込んで、相場を調べながら価格を決められるんで、楽しくてしょうがない。

もともと適正があったんですかね。

コツをつかんでからは、作業ゲーム状態でした。なんかハンバーガー屋を経営するみたいなアプリゲームあるじゃないですか。あんな感じですよ。自分で勉強してエクセルのフォーマットも作って、速攻で金券の単価が出るシステムを構築したら、店長に「これは革命だ!」って喜んでもらえましたね。

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コンビそろってバイトが好きだったママタルト

コンビでバイトを辞めたはずが…

おふたりはバイトをいつごろまで続けていたんですか?

2021年の4月です。檜原に「芸人として売れるためにふたりでバイト辞めよう」と言われて辞めました。

芸人だけの収入でもなんとか生活できるようにもなったんですよね。

僕は金券ショップでのプライスリーダーの仕事を投げ出したくなくて、最初はためらいました。でもまぁしょうがないなと。なのに、檜原はバイトを続けてたんですよ!

もう1カ月バイクに乗ってなかったんで、うずうずしちゃって……。最初は肥満に黙ってやろうかとも思ったんですが、当時流行ってた、お互いの位置情報がわかるアプリをコンビでやってたんで、バレるなと。内緒にしてバレるほうがまずいなと思ったんで、「一回だけやりたいんやけど」と頼みました。そしたら肥満が「時給半分くれたらいいよ」と。

翌月ちゃんと2000円くれたので許しました。

意外なかたちで活きたバイトでの経験

お互いのバイト経験が、芸人活動に活かされたことってありますか?

どうなんやろうか。僕は地図がかなり読めるようにはなりましたね。芸人として役立ってはないかもしれんけど。

それ、むしろムカつきましたよ。こっちは全然道路のことわからないのに、「246」とか「415」とかで説明されて、数字で言われてもわかんねぇんだよ!って思ってましたから。

ごめんって(笑)。でも、肥満の金券ショップはめちゃめちゃ活かされてますね。

たしかに。僕らのラジオ番組(『ママタルトのラジオ母ちゃん』/『GERA』)に、大喜利コーナーがあるんですが、そこでプレゼントする3000円分のクオカードは経費を抑えるために、俺ん家で買ってました。

バイト先のこと「俺ん家」って言ってるやん!

バイト好きすぎて、すみません。

あと、肥満のエクセルはめっちゃ役に立ってるよ。

そうだ。ライブのスケジュールをエクセル……というかこれはGoogleのスプレッドシートに書き出して管理して、公開してました。どんなライブなのか、共演者と値段、あとママタルトとしての重要度も全部記載してました。ライブ名をクリックしたらチケット販売ページに飛べるリンクまでつけて。

ライブの重要度、オススメ具合をファンに伝えるのがめっちゃ重要だったんですよ。「事務所ライブ、盛り上げたい」と書いておいたら、これまで取り置きが1、2枚だったのが、12枚とかになって。共演者も見られるから、「ここはお得だな」って思って来てもらいやすかったりするし。

ひつじねいりのinfoの“中の人”からDMで「肥満さんのライブスケジュールシステムが素晴らしく感銘を受けました。私どものinfoでもこのシステムを利用してもよろしいでしょうか」って問い合わせが来ましたよ。

ママタルトのスケジュールがすごいって知ってもらったおかげで、カレンダーアプリの広告にも出させてもらいましたね。

大学時代にバックヤードで独学で学んだエクセルが仕事につながったわけです。何があるか本当わからないもんですね。

ママタルト
バイトでの思い出を振り返るママタルト

ママタルト
大鶴肥満(おおつる・ひまん/1991年7月20生まれ、東京都出身)と檜原洋平(ひわら・ようへい/1991年7月27日生まれ、大阪府出身)によるコンビ。2016年にコンビ結成、『M-1グランプリ2024』で決勝に進出

【後編はこちら】ママタルトが考えるコンビとしてのこれから「だめだったらハンバーガー屋とうどん屋をやります」

<「求人ボックスpresents Echoes of Career~人気者の仕事遍歴~」>
お笑い芸人、アーティスト、俳優など、話題のタレントに「仕事遍歴」を聞くインタビュー連載。
当時なぜその仕事を選び、それがその後の活躍にどうつながっているのか?をテーマに、現在の職業に至るまでの経歴を聞きながら、そこで得たこと、逆境の乗り越え方を紐解く。

【第1回】ぼる塾、バイトで経験した店長とのバトルや譲れなかった食へのこだわり。「おかげで今の私があります」
【第2回】13回面接に落ちた先で出会った運命の相方。かが屋の今につながるバイトでの経験
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【第5回】7ORDER安井謙太郎、芸能人に会いたいで始まった活動が「自分の仕事」になるまで

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安里和哲

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安里和哲

(あさと・かずあき)ライター。1990年、沖縄県生まれ。ブログ『ひとつ恋でもしてみようか』(https://massarassa.hatenablog.com/)に日記や感想文を書く。趣味範囲は、映画、音楽、寄席演芸、お笑い、ラジオなど。執筆経験『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』『Maybe!』..

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