『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』(国書刊行会):PR

「がんになって良かった」オナニーマシーン・イノマーが肉筆で遺した“命の記録”『BAKA IS NOT DEAD!!』

2022.12.20
オナニーマシーン・イノマー

編集=高橋千里


2019年12月にこの世を去った、ロックバンド・オナニーマシーンのイノマー。

彼が遺した5冊の闘病日記を手書きの状態のまま書籍化した『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』(国書刊行会)が出版された。発売日は、命日にあたる2022年12月19日。

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』(国書刊行会)

日記はイノマーが口腔底がんを宣告された2018年7月18日に始まり、死のひと月前、2019年11月18日までつづき、病を得た心境、体の痛み、不安、音楽にかける熱意、仲間たちや恋人への率直な思いが綴られている。

日記のほかには、最後まで彼に連れ添った恋人のヒロ、ライターとしての“一番弟子”フジジュン、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)などで知られる上出遼平、そして盟友・峯田和伸(銀杏BOYZ)が寄稿。

QJWebでは、本書の一部を抜粋して紹介する。

歌を失うこと。オナマシがなくなること

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より

日記はがんを宣告された当日、2018年7月18日に始まる。恋人のヒロにつき添われ、病院で「のどのがん」と言い渡されたイノマーは、「誤診であってほしい」と願いながらも、まず誰にこの事実を伝えるべきか考えを巡らせている。

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より

宣告翌日、7月19日。がんを受け入れられない自分に気づくも、オナニーマシーンのメンバーに病気のことを伝える。これが最後の休日になるかもと悟り、バンド・どついたるねんのライブに行こうとしている。

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より

7月20日。ヒロに同行してもらったがんセンターで「口腔底がん」の宣告を受ける。何もしなければ余命3年。

しかし、延命のために舌を切る手術をすることはすなわち「歌を失うこと。オナマシがなくなること」。たとえ命のための手術であっても、音楽に命を懸けていたイノマーにとってそれは「死」だった。

手術直前ライブ。ファンからの募金は100万円超

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より

2018年8月22日。前日と前々日に、オナニーマシーン結成20周年の記念アルバム『オナニー・グラフィティ』のレコーディングを実施。舌を切除する手術を2週間後に控え、これが最後の歌入れとなった。

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より

8月27日。手術の11日前となる8月25日、彼らの主戦場であるライブハウス、渋谷La.mamaにて『=手術直前SPお医者さんには内緒でね=「緊急真昼無料!ティッシュタイム~“イノマー現形態”ラスト・ライブ」』を開催。当日、来場客から入院治療費の募金100万円超が集まった。

「とにかく…歌えるよーになりたい」

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より

2018年9月17日。9月5日に舌切除の手術を終え12日が経過。手術からの5日間を「何回か生きることをあきらめよっか、みたいな瞬間があった」と振り返るも、「とにかく…歌えるよーになりたい」と歌への意欲を赤線つきで強く示している。

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より
『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』より

入退院を繰り返す日々、がんの再発。食べられるものが少なくなり、自分でできることが減っていく。病の過程が、自分を鼓舞する言葉と共に肉筆でノートに書きつけられ、読む者の胸に迫る。

また、まわりで彼を支えつづけた仲間たちの寄稿からは、彼がいかに繊細で優しく、いかにむちゃくちゃで情けなく、いかに愛された人物だったかがわかる。

オナニーマシーン・イノマー

恋人のヒロが書いた「はじめに」には、イノマーが人知れず書いていたこの日記を死後に見つけたときのことを、一番弟子であるフジジュンはイノマーの波瀾万丈な人生の歩みを、闘病の記録をビデオに収め、死後に『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)で放送した元テレビ東京の上出遼平は、これからも生きていくヒロへのメッセージをそれぞれ綴っている。

そして「あとがきにかえて」では、彼の盟友で、日記に何度となく登場する銀杏BOYZの峯田和伸が、イノマーへの思いを彼らしい朴訥とした言葉で残している。

肉筆による生々しい命の記録。イノマーが生きた証を本書から感じてほしい。

『BAKA IS NOT DEAD!! イノマーGAN日記 2018-2019』

発行:国書刊行会
著者:イノマー
定価:2,970円(税込)
初版年月日:2022年12月19日

2018年7月のがん宣告から死の1カ月前まで、5冊にわたるノートに綴られたイノマーの手記を手書き文字のまま書籍化! 人を愛し人に愛され一生性春を駆け抜けた稀代のパンクス、最期の日々の記録。

国書刊行会の本

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