「国民的俳優を夢見たあの日から」木津つばさが“まだ伝えきれていない”胸の内を記す【新連載スタート】

文=木津つばさ 撮影=山口こすも 編集=高橋千里


舞台を中心に活動をスタートし、数々の人気シリーズ作品に出演、現在は映像でも話題作にレギュラー出演するなど多方面で注目を集める俳優・木津つばさ。28歳になった今、「国民的俳優になる」という夢の途中にいる。

広島から上京した日のこと、コロナ禍で舞台に立てなくなった日のこと、“2.5次元俳優”の肩書に悩んだことなど、自身の言葉で赤裸々に綴るエッセイ連載。

※本連載は、2月13日発売予定の『Quick Japan』vol.182にも収録しています

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【第1回】伝えたいのに、伝えられていないこと

初めに、この連載は僕が語るこれまでと今をさまざまな受け取り方をしていただき、役者として生きていく僕の火種となるよう、そして読んでくださった皆様の心を少しだけかもしれないけれど前向きに進めるようにと、願いを込めて書き記していきます。

僕にとって「書く」ということ、「記す」ということは、人生を振り返るタイミングにおいてとても大切で、人生の分岐点を確かめ、さらに邁進していく貴重な瞬間です。それはもちろん皆様においても、この連載で前を向いて進んでみようと思えるかもしれない。そんな切な願いを込めてお届けしてまいります。

そして、今回の連載タイトルになっている「舞台にさよならを言う前に」。一見、なぜ?と吃驚(きっきょう)する字面が並んでいるように感じるかもしれません。ただ僕にとって舞台という場所は宝物のような場所ですし、けっして今すぐさよならを言うわけではありませんので、悪しからず。

私には伝えたいことがたくさんある、場所や状況、いろいろな意味で伝えきれていないことがある、だからいつかさよならを言う前に、まだまだ伝えたいことが板の上からたくさんあるよ、ということです。

いろんな想像や構想の中で、目標に向かって自分の人生を、皆様の人生を、俳優としてより豊かにしていくこと、彩りにあふれた景色をともに見ること、それが僕自身の夢でもあります。

その中で「物語を創る」ということを、目で、心で楽しめるように、幅を広げて壁にぶつかっていく私のことを温かく見守ってくださるとうれしいです。

歳を重ねた“今”の木津つばさの想い

今回の連載に関しては、お声がけしてくださったのが、昔とあるWEBメディアでエッセイを書いていたころにお世話になっていた編集さんでした。打ち合わせで久しぶりにお会いしたときに「大人になりましたね」と言っていただけました。

確かにまだまだ青い若輩者ですが、歳だけはしっかりと重ね経験してきた木津の纏(まと)う責任感と重みが伝わっていたのであれば、5年前から今まで、すごくいい時間を過ごせていたのだなと自信になります。

人生とは不思議なものです。今こうして過去を振り返るタイミングだなと思ったばかりのときでした。私事ながら夢にまで見た初めての経験ばかりの日々を過ごしていたので、これもまた運命とやらを信じてみようと思います。

完璧とはほど遠い人生でした。ただ今は挑戦という意味での楽しさを兼ね備え、さまざまな願い、そして皆様への感謝を込めて、今回は将来に向けた著書を目標とします。

歳を重ねた今の木津つばさの想いを記し、また読み返して、たまに振り返りながら歩を重ねてゆければ幸せです。そしてそれが著書として残る、かたちになるように「書き」「記して」まいります。

連載タイトルに込められた真の意味

話を戻しまして、「舞台にさよならを言う前に」。実はタイトル案をいただいたときに、僕も驚きました。これはファンの皆様も不安になってしまうのではないかと。

ただ、「まだまだたくさん伝えきれていないことがある、そんな想いをこの連載でお話ししていただけるとうれしいです」とのお言葉を聞いて、すぐにタイトルの真の意味が紐解けました。なるほど、僕にはもう時間がないんだと。

それは俳優としての時間だけではなく、皆様と出会い応援していただけている今、この瞬間は限りなく尊く、そして儚い時間であるのだなということです。

伝えたいことはしっかりと目を見て、自分の想いを乗せて届ける、板の上からずっと演(や)っていたことが、連載を通して少し恥ずかしく感じたりもします。

いつか書籍として皆様の元へ届くとき、今この瞬間では誰の手に渡ってどんな人が読んでくれているのかはわかりませんが、より多くの人が手に取って前を向けるような、書籍になればいいな。

カッコつけてなんぼの人生、輝き続けます

タイムカプセルのような感覚です。みんなで掘り起こして埃(ほこり)を被った過去に「さよなら」と。近い未来か遠い未来で埃を被った、閉ざされてしまったかもしれないこの連載に、また手を伸ばしてみる。

そんな人生があなたの中で在ればいい。きっと、国民的な俳優になると夢見たあの日から、青いままの私も含めて、あなたの見る景色の大切なピースになると信じています。

そして、私は覚悟を持ってこの連載を乗り越えます。きっと不安定なときもある、もちろん「人」であるから。書き記すことが困難なときも、感情がうまく伝わらない日も、あきらめずに届けることを誓います。

この先どんな未来が待っているのか、この先どんな人生が待っているのか、手繰り寄せるのは自分。あなたも手繰り寄せられる、私も手繰り寄せます。

ずっと前からひとつ、不思議だったことがある。それはなぜ、感情がある生き物に生まれてきたのか、笑顔で涙を流せるのはなぜだろう、と。

きっとこの連載で気づける気がしています。カッコつけてなんぼの人生、さらなる彩りを求めて、私らしく輝き続けます。

たくさん書きました。次回の連載もすでに楽しみです。私の人生の色色を「書き」「記します」。

最後に、
私には舞台にさよならを言う前に伝えたいことが、ある。

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木津つばさ

(きづ・つばさ)1998年1月7日生まれ、広島県出身。舞台『刀剣乱舞』や舞台『東京リベンジャーズ』主演などを経て、2025年10月期のドラマ『良いこと悪いこと』(日本テレビ)にレギュラー出演