正統派スタイルながら、独特な切り口を持った漫才で注目を集めるエバース。そのネタ作りを担当する佐々木隆史は、野球一筋の学生時代を過ごしてきた。現在は漫才一本で強豪たちと戦う佐々木が、あのころの自分と重ねながら日々を綴る連載「ここで1球チェンジアップ」。
4月から初の全国ツアー『それでも、ワインドアップ』を開催するエバース。野球用語を用いたこのタイトルには、野球少年だったエバースならではの想いを込めたという──。
ツアータイトルに込めた想い
どうもエバース佐々木です。
2025年ももう3月ですが皆様はいかがお過ごしでしょうか。大人になるにつれて一年が過ぎるスピードが年々早くなるとよくいいますが、意外に30歳過ぎてからはけっこう長く感じます。
たぶんバイト三昧だった20代より経験したことがない仕事が増えて新鮮なんでしょうね。
2025年は4月から9月までの半年間、全国ツアー『それでも、ワインドアップ』があるので、長く感じるのか早く感じるのかどっちでしょう。仙台、福岡、名古屋、札幌、東京、大阪の順で6カ所でやるのですが、ありがたいことに先行申込で合計2万枚の応募が来ました。ガチでエグいです。
タイトルの『それでも、ワインドアップ』にも一応意味がありまして。野球用語でピッチャーが大きく振りかぶってから投げることを「ワインドアップモーション」というのですが、みなさんなんとなくイメージつきますかね?
小学生のころのヒーロー・松坂大輔の代名詞が「ワインドアップ」だったのですが、いつからかセットポジションから投げるピッチャーが増え、現在ワインドアップは絶滅危惧種扱いです。
20年前の野球少年はみんな、家の近所の壁に向かって「ピッチャー振りかぶって、第1球投げました!」って自分で言いながら、松坂のマネをして投げてたんですけどね。僕もそのひとりです。
今はほとんどのピッチャーがランナーがいるかどうかに関わらず、セットポジションで投げます。
時代が進み、ワインドアップよりセットポジションのほうが投げるときのバランスがいいのでコントロールしやすいとか、スタミナの消耗も少ないとか、いろいろな理由があってワインドアップは減ってるらしいです。
実際、僕も学生時代はノーコンピッチャーでよく試合壊してたんですけど。それでもなぜあのころの僕はワインドアップをやめなかったのか?
理由はひとつ、ワインドアップのほうがかっこいいからです。マジでそれだけの理由で四球を出しまくってました。
松坂大輔、斉藤和巳、野茂英雄。
ワインドアップは男のロマンであり、譲ることができないエースの美学なんです。

お笑いの世界も時代が進むにつれて『M-1グランプリ』はボケ数がどうとか、拍手笑いがどうとか、そのために伏線回収がどうとか、ツカミがどうとか。勝つための漫才が日進月歩で研究されてます。
そんなこと全部無視して、あのころの自分がかっこいいと思える漫才をやる。
そっちのほうがロマンありますからね。
というわけでエバース単独初全国ツアー『それでも、ワインドアップ』。よろしくお願いします。チケット取れなかった人は配信で観てね。

『それでも、ワインドアップ』
■宮城凱旋公演
日時:4月15日(火)開場18:15/開演19:00
会場:仙台電力ホール
■福岡公演
日時:5月10日(土)開場19:45/開演20:00
会場:よしもと福岡大和証券劇場
■名古屋公演
日時:6月6日(金)開場19:00/開演19:30
会場:吹上ホール メインホール
■札幌公演
日時:7月11日(金)開場19:00/開演19:30
会場:札幌市教育文化会館小ホール
■東京公演
日時:8月18日(月)開場18:45/開演19:30
会場:IMM THEATER
■大阪公演 ※配信あり
日時:9月12日(金)開場19:30/開演20:00
会場:なんばグランド花月
関連記事
-
-
「奪われたものは取り返すつもりで生きていく」FINLANDSが4年ぶりのアルバムで伝える、新たな怒りと恥じらい
FINLANDS『HAS』:PR -
牧場バイトからアイドルへ、かてぃが歩んだ多彩な仕事遍歴
求人ボックス:PR