山本彰吾が語る零のラップの魅力「侍のように、深いところにある毒や闇を斬り倒していく」

2025.2.25
山本彰吾

2月17日(月)に発売した『Quick Japan』vol.176では、約30Pにわたって零こと川村壱馬を特集。自身の言動・音楽を通して世の中を変える挑戦をする零の影響力を、関係者の証言から紐解く。

「THE RAMPAGEの頭脳」と呼ばれ、グループのライブ演出を中心となって担当している山本彰吾。HIP-HOPユニット・MA55IVE THE RAMPAGEとしても活動している山本から見た零のラップの魅力やアーティストとして持つパワー、そしてふたりの思い出のリリックについて語ってもらった。

【『零』SPECIAL EDITIONカバー】『Quick Japan』vol.176

山本彰吾
(やまもと・しょうご)1995年10月6日生まれ、岡山県出身。THE RAMPAGEのパフォーマーで、HIP-HOPユニット・MA55IVE THE RAMPAGEとしても活動している

壱馬のHIP-HOPに惚れ込んでいる

山本彰吾(以下、山本) たぶん、初めて会ったのはEXPG STUDIOかダンススタジオだったと思うんですけど、そのときの印象は「ちょっとやんちゃな人なんだろうな」。ちょっとトゲがあるというか……でも、男が好きな男前だな、って思いましたね。ビジュアルの変化もありますけど、最初はトゲのようなものだったのが、今はシルバーで包まれたメタリックな重厚感のあるシャープなトガり方というか。一見、美しいアーティスティックな作品だと思って触れると、スパッと斬られる。目に見えないところでのオーラ的なトゲは今もあるかな、と思います。

山本 東京ドームの公演では、各メンバーのセクションがあったんですけど、僕のソロでは音だけじゃなくて、やっぱり誰かの歌で踊りたいと思って同じHIP-HOPが好きな壱馬にお願いしました。ただ、時間がなかったので、最初は『16』ツアー(『THE RAMPAGE LIVE TOUR 2023“16”』)での「STRAIGHT UP」のバースをそのまま持ってきてもらおうと思ったんです。でも、時間がないなか、壱馬が新しいリリックを作ってくれていて。『16』ツアーのときはグループについて歌っていたんですけど、東京ドームのときは完全に僕の、オンリーワンのものを書いてくれたんです。「これは大事にしよう」と思いました。中でも「諸葛孔明」っていうワードで僕を表現してくれたのが、壱馬っぽくてそこがすごく好きです。3月に発売するライブDVDでは、すべてのリリックをちゃんと見られるようにしているので、楽しみにしてほしいです。

山本 4万人の前で、自己紹介ラップでソロを踊るなんて、そんな幸せなことありませんよね。本当にうれしかったです。後にも先にもこういうことってないような気がします。

山本 デビューしたときから、THE RAMPAGEはHIP-HOP色が強いグループといわれていたんです。HIP-HOPが好きなメンバーも何人かいたので、そのメンバーが率先して新しい曲だとかを共有していました。今でもライブ前のアップルームでも流れていますし、メンバーで集まって家でお酒を飲むときに流れるのもやっぱりHIP-HOPですし。興味を持って聴いているのが日常です。

山本 リリックのパワーですね。僕もそうなんですけど、普通にラップをする人ってどちらかというと耳障りのいいものだったり、聴かせたいところを小節の最後に持ってきて、そこまでの準備みたいなところを自分の語り口調みたいなところで、とにかく気持ちがいいようにリリックを当てはめていくんですけど、壱馬の場合は言葉にあるパワーを詰め込んでいるイメージなんですよ。これを普通の人がやるとリズムキープができなかったり、小節から漏れちゃったり、うまく歌えないような言葉の数だと思うんです。でも、これまでTHE RAMPAGEとして活動してきたものと、ラップを愛してきた壱馬だからこそ、それがバチッとハマって、オリジナルの壱馬のラップにつながっているんですよね。深いところにある毒や闇をラップという刀にして斬り倒していくような……。ちょっと侍っぽいんですよね。壱馬は英語の発音もいいし、英語のリリックも絶対に書けるんですけど、ラップになると日本語が多いんですよ。僕はそこも好きですね。

山本 「Enter」は壱馬を好きな人はもちろん、いろんな人に浸透しやすい曲だと思います。キャッチ―な中にもやりたいことがいろいろと組み込まれているのであの一曲があれば、零というアーティストがやりたいこと、できることが一気に見える曲かな、と。

山本 ファッションだったり、アーティストの人生だったり、アートが好きだったり、ということがあると思うんですけど、壱馬に関してはHIP-HOPを概念として捉えているな、と思っているんです。自分自身に対して嘘偽りなくストイックに突き詰めていって、世の中に発信するときは自分のリアルだけを届けることをHIP-HOPだと思っている。「俺のやることなすことすべてがHIP-HOP」であり、伝えること、リリック、すべてがHIP-HOP。どこまで掘ってもそこに絶対に嘘はない、というのがたぶん、壱馬のHIP-HOPなんだと僕は思っています。

山本 僕としては、とにかく好きなことをやってほしいですね。16人を背負って歌うのと、ひとりで歌うのは絶対に違いますし、「俺らと俺」という入口から違うと思うので。より鋭利にトガりまくって、今の世の中を切り裂いていってほしいですね。何も誰も気にせず、なんなら僕らのことも気にせずにやってほしい。率先して斬り込んでいって、世間もそうですけど、身内すらもギャフンと言わせてほしいですね。それができるのが壱馬ですし、だからこのタイミングでスタートしたソロプロジェクトだと思います。そこは応援しながらも、僕はひとりのファンとして、零から出てくるものを楽しみにするだけです。

THE RAMPAGE DVD・Blu-ray『THE RAMPAGE LIMITED LIVE 2024 *p(R)ojectR® at TOKYO DOME』
2025年3月5日(水)発売
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川村壱馬『Quick Japan』SPECIAL EDITION表紙
【『零』SPECIAL EDITIONカバー】『Quick Japan』vol.176

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ふくだりょうこ

ライター。大阪府出身。大学卒業後、フリーランスとして活動。お酒と小説が好き。

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