「女の子は心配だから男の子がいい」と言い続けていた旦那の心配になるほどの娘への溺愛っぷり

本日は晴天なり

ピン芸人・本日は晴天なりによる連載「バツイチアラフォーの幸せだけじゃない日常」

39歳から始めた不妊治療の末、2024年9月に第一子を出産した本日は晴天なり。夫婦ともに生まれる前から我が子に対して心配は絶えず。女の子なら……男の子なら……とネガティブな妄想ばかりしてしまっていたという。

本日は晴天なり
生まればかりの娘と筆者

性別関係なく、生まれる前から心配は絶えない!

やっとの思いで授かった命。無事に産まれてくれたら御の字で、性別は心底どちらでもよかったから、医師から「性別知りたいですか?」と聞かれるまで、こちらから尋ねることはなかった。

でも、もし女の子が産まれたとしたら、性被害に合わないか、ペドの餌食にならないか、ホス狂いにならないか、ツインテ量産型女子になってトー横で鏡月のチェリー味をビンダ(瓶で一気飲み)しないか、受験の日に痴漢に遭わないか、就活で上司に「採用するからデートしようよ」とつけ込まれないか、道端ですれ違いざまに「ブース!」って言われないか(実母が経験あり)、整形を決意し執刀医選びに失敗してSNSに恨みレポを書き名誉毀損で訴えられたりしないか、それらのすべてから守ってきたのに大切に育てられた反動で露出趣味になりアダルトサイトで自慰動画を販売し出さないか、モラハラ男と結婚して母子ともに虐待されたりしないか、心配で心配で心配で無理かもしれないと思った。

男の子は男の子で別の心配がある。幼児のときから女体に興味を持って友達や先生にセクハラしないか、同級生の女子にしょーもない絡みをしないか、同級生の影響で口悪くならないか、便座を上げたままトイレから出てこないか、彼女のこと「お前」呼びしないか、彼女でもない女子にクソLINEしないか、元カノのインスタを見つけてⅮMでダル絡みしないか、キャバクラに通いクソ客にならないか、風俗で盗撮しないか、サムいタトゥーを入れないか、SNSに女性のことを「まんさん」とか書く“非モテアンフェ野郎”にならないか。

さらには、いい子に育って無事に結婚できたとしても奥さんが「#義母嫌い」でポストしないか、孫に会わせてもらえるのか、マザコンに育ってしまい、奥さんが「旦那マザコンすぎる」とポストしないか、そもそも40歳まで童貞だったら……など、心配で心配で心配でたまらない。

幼児で女体に興味持たないだろ!と思う人もいるかもしれないが、私は保育所の同級生たちが女子トイレをのぞいていたことを覚えているので、そういった感情を持ち合わせている幼児も存在すると認識している。

ちなみに旦那に子供の性別はどっちがいいか尋ねると、「女の子は心配だから男の子がいい」と言っていた。投資で失敗したり、ギャンブル依存症になったりするのは男性のほうが多いらしく、男の子ならそれが唯一の心配だそう。YouTubeでたまたま「勝手に親の家を担保にして借金する」という内容の世にも恐ろしいドキュメンタリー番組を観て、「そんなことされたら縁切る!」とも言っていた。

生まれた子供に教えたいこと

韓国人の旦那は子供のころから親に「女の子には優しくしなさい」と言われてきたらしい。今でも実家に電話するたびに、両親から「奥さんに優しくしてあげてね」と言われるそうだ。実際、旦那はとても優しいので、もし男の子が産まれたら私たちもこれは教えてあげようと決めていた。

一方、私自身は親に何かを教えられたことはほぼなかった。むしろなぜ何も教えてくれなかったんだろう?と疑問に思うほどだ。父に教わったことといえば「ご飯、おかず、ご飯、ご飯、おかず! バランスよく食べろ!」と言われたことくらいである。

あとは、「子供がピスタチオを食べすぎると鼻血が出る」と「子供がしそニンニクを食べすぎると鼻血が出る」の鼻血二大教訓だ。しかしこれはピスタチオを取られないようにと父がついた嘘だと大人になってから知った。

母親に教わったのは、「人様の家の冷蔵庫を勝手に開けるのはマナー違反」ということだけ。そのため、お付き合いした人の家の冷蔵庫を開けるのに抵抗があり、全然料理してくれないんだね!とフラれそうになったこともある。

ほかにもあったかもしれないが、幼少期から高校時代までを思い返してみても、それくらいしか思い出せない。それゆえ私の人生は失敗も多く、けっして褒められるようなものではなかった。

18歳で上京したときには、蕎麦を茹でるときにお湯が沸騰してから麺を入れると知らずに失敗したし、粉末のコンポタすら作れなかった。だから、この「負の財産=しなくてよかった豊富な経験」を自分の子供にうまいこと伝えつつ、危機を回避していってほしい。頭の片隅に置いておいて、いざというときに“お母さんあんなこと言ってたな”と、思い出してくれたらいい。そしてどうか、性格、内面的なものは旦那に似てほしいと願う。私に似たら厄介すぎる。

旦那は引っ込み思案すぎて学校の発表などでは絶対に発言しなかったタイプだし、人前に立つのがとにかく苦手でほんの数名のオンライン会議ですら絞れるほど脇汗をかいている。芸人をやっている私とは正反対といっていいだろう。

そう考えると、せっかく結婚したのだから両方の要素が半々くらいだと出しゃばりすぎず、内気すぎずちょうどいいのかもしれない。そんな都合よくいいとこ取りで遺伝しないとも聞くが、理想を語るのは自由だ。

娘専用になった「かわいい」

いよいよ性別がわかるかもしれないという週数で股を閉じており、何週もお預けを食らった。

性別がわかったときは、生意気にもジェンダーリビールたるものを行おうとしていた。ケーキや風船やオムライスの中身の色で男の子か女の子かを伝えるというものだ。

最初はまったくそんなことをする気はなかったが、ヘタしたら一生に一度のことかもしれないと思い、やってみようと思い始めた。

コロッケかメンチカツかでやろうと冷凍食品を購入したが、よく見ると形が違い、開ける前にわかってしまうので、やめて普通に食べた。そして、考えた結果、コンビニのおにぎりで実行しようと決めた。梅なら女の子、ツナなら男の子と簡単に。

しかし、当日、妊婦検診の結果が気になりすぎた旦那が仕事を早退して帰ってきたため、計画はつぶれてしまった。前回の健診は休んで、今回は早退! 生まれたら仕事辞めちゃうのでは!?

妹が遊びに来ていたタイミングだったので、帰宅した旦那はすぐに性別を聞きたがった。ジェンダーリビール計画がつぶれたため、「せめてリアクション動画だけ撮らせて!」とお願いすると、「ねえ、そーゆうのマタハイ(マタニティハイ)だよ?」と、妹からさっさと言え!的な指摘が入る。

動画を回しつつ「なんと! 女の子で~す!」と告げると、旦那の第一声は「心配だなぁ」、第二声も「心配だなぁ」だった。テンションが低すぎて、娘が大きくなってからこの動画は観せられないな、と思ったが、「女の子は心配」と昔から言い続けていたから、こんなリアクションでも責めることはなかった。

「借金したら親子の縁切る?」と尋ねると「無理かも〜」と、すでに甘やかしパパ確定。生後4カ月、首の据わりかけた娘を操り「アッパ(韓国語でパパ)、私、1000万借金しちゃった」とアフレコすると「大丈夫だよ~! アッパが払ってあげるよ~」と言い出した。「アッパ、ごめんね、ありがとう」と続けると、「かわいくて泣けてきた……」と涙を拭った。借金の肩代わりをさせられたら縁を切ると言っていた旦那はどこへやら……。

旦那は産まれる直前まで、「実は男の子でした」パターンをあきらめてなかったという。女の子はとにかく心配だし、自分は女の子としての人生を歩んできてないから異性を育てるのは怖いと。

産まれた今も心配だというが、圧倒的にかわいいが勝っているようで、「かわいい」「天才」「天使」の3語は、すでに我が家の今年の流行語にノミネートされた。私と出会ってから私以外の女性に「かわいい」と言ったことがなかった旦那だが、今では「かわいい」は娘専用の言葉となった。

本日は晴天なり
生まれたばかりの娘

この記事の画像(全5枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

本日は晴天なり

Written by

本日は晴天なり

太田プロダクション所属のピン芸人。キャバクラバイト歴10年、身長173センチの長身女子。推し事が中心の日常も、YouTube『本日は晴天ちゃんねる』にて垂れ流し中。

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。