超特急「すごくきれいで幸せいっぱいでした」。グループ最大規模のツアー『Rail is Beautiful』、ファンとともに完走

2024.8.29
超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”

撮影=米山三郎、笹森健一

文=ふくだりょうこ 編集=梅山織愛


思わず、息を止めて見入ってしまう。超特急のステージは、一瞬も、一音も聞き逃したくない、と思わせてくれる。

2024年8月27日(火)、28日(水)にKアリーナ横浜にて『超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”』追加公演が行われた。新体制となってからは最大キャパとなるKアリーナでの公演。本稿では、27日公演の模様をレポートする。

多面的な魅力を凝縮させたセットリスト

開演前、リョウガのアナウンスとコール&レスポンスで温まった会場。大きくなっていくBGM。8号車(超特急のファンネーム)の準備は万端だ。

暗転し、スクリーンに映し出される“Rail is Beautiful”の文字と、美しい花の映像が舞う。まるで花畑の道が開くように中央スクリーンが開き、9人の姿が現れ、思わずハッと息をのむ。オープニングを飾る楽曲は「Yell」。順にメンバーの表情が映し出され、そのたびに大きな歓声が上がる。特に、この日髪を切ったばかりだというタカシが映ると、驚きとともにより大きな歓声が上がった。弾けるメンバーの笑顔に、会場のペンライトの動きも弾む。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”

「シャンディ」、「Four Seasons」と続けて披露したあと、「Kアリーナ初日楽しんでいこうぜ!」とユーキが声をかけ、「Magnifique」へ。「踊れ!」の声で一気にペンライトが大きく揺れる。Kアリーナの広いステージに9人が目いっぱい広がり、歌とダンスで魅了していく。センターステージで披露する「a kind of love」では、サビで8号車も一緒になって体を動かし、一体感がより高まっていく。

5曲を一気に披露したところで、改めて自己紹介を。台風接近により開催が危ぶまれていたが、無事に幕が上がったことへの喜びものぞかせた。タカシは「今からいろんなことを言うので、僕が言うことに対して、8号車のみんなが『タカシやで!』を返してください」と8号車にリクエストし、笑顔あふれるコール&レスポンス。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
終始笑顔が輝いていたタカシ

自己紹介を終えるとメンバーは順にはけて行き、ユーキがひとり残る。中央ステージに歩み出て、「追加公演ということで、ウケがよかったネタをやろうかな。温かく見守ってくれよ」とひとネタ?を披露。さらに「僕が何か言ったあとにユーキだぴょん!って返してください!」と言うと、8号車が「ユーキだぴょん!」とコールするたびにセンターステージにはかわいいユーキうさぎが飛び跳ね、会場をにっこりとさせた。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
どんな表情も魅力的だったユーキ

そこに鳴り響く笛の音。車掌姿に扮したシューヤが登場だ。「ここ、ライブ会場じゃないんですよ! 駅のホームですから!」と言うと、電車が到着。同じく車掌姿のタカシ、学生服姿のタクヤ、マサヒロ、リョウガ、スーツ姿のハル、ラフな格好のアロハとカイが登場する。電車から乗り出すメンバーにシューヤ車掌が注意するが、タクヤがジャンプで窓から飛び出すびっくりな行動を見せる場面も。

タカシの「出発進行!」の言葉とともに始まったのは「Rush Hour」。ここからは、世界観に合わせて曲が展開していく。

女の子に扮したユーキ……いや、ユーコだろうか──が登場すると、「Pretty Girl」へ。アロハが彼女に恋をしたのか、なにやらいい雰囲気に。互いに手を取り、場面はレストランに変わる。「Table Manners」に乗ってデートへ。ウェイターに扮したマサヒロ、タクヤ、リョウガもいる。テーブルマナーで混乱したアロハの心情を現すように「panipani」を、そして、ムードが盛り上がるふたりは「Kiss Me Baby」で仲睦まじい様子を見せたと思いきや、今度は女の子に扮したハルが登場し「POLICEMEN」。どうやら、ハルはアロハの彼女のよう。ポリスマンの格好のカイも登場し、事件を一件落着させ、そのあとは全員そろって「ラキラキ」を。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
あまりのかわいさで会場をざわつかせたハル

それぞれが個性的な姿に扮装しているため、ステージ上がどこかユニークな光景になっているのも楽しい。そんな9人のもとに再び電車が到着。「まだまだ旅は続きます」というタカシの言葉とともに、世界観はまた変化していく。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”

白の衣装をまとっての「Cead Mile Failte」、「Beautiful Chaser」はどこか神々しい美しさもある。体に響くサウンドで鬼気迫るようなパフォーマンスを見せたかと思えば、タカシにピンスポットが当たり「霖雨」へ。タカシとシューヤのボーカルが重なり、先ほどまでの熱とは異なる空気を作り、続く「Thinking of You」と、このブロックだけでも異なる世界観、超特急の多面的な魅力を見せつけた。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”

すべての感情を揺さぶるパフォーマンス

MCになると今度は笑いがあふれる。カイは担当した今回の衣装について触れつつも、リョウガとカイがMCで何を話すか事前に打ち合わせをしている様子についてタクヤが言及したり、その流れでリョウガが「最近どう?」と話を振り、軽やかにトークを進めていく。響く8号車の笑い声もとても温かだ。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
MCでも大活躍だったリョウガ

そんなMCのあとは、ボーカルふたりで。センターステージから花道を見て、「道がありますね」とシューヤ。「いったん歩こう」とタカシ。ランウェイを歩くかのようにして楽しんだあと、タカシは柔らかな笑みを浮かべて「今、目の前にいる人をより大切に思える曲」と言って「Holtasoley」を披露。

ボーカルがハーモニーを響かせたあとは、メインダンサー7人によるダンスパフォーマンスで魅了。ソロでのパフォーマンスはもちろんのこと、7人がそろったときの存在感は圧倒的だ。その空気のまま、「Steal a Kiss」、「MORA MORA」と、とびきりシャープな姿を見せていく。すると、音が静かに空気に溶けていき、「Body Rock」ではイスを使ったパフォーマンスで艶っぽく魅了。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
美しいダンスで会場の視線を集めたタクヤ

「We Can Do it!」からはグッと会場の熱を上げていく。メンバー同士が視線を交わらせるシーンでは歓声が上がり、「Call My Name」では全員でコールをし、体を動かす。そして、「My Buddy」、「Secret Express」、「超えてアバンチュール」ではメンバーも8号車もボルテージが上がっていくばかり。全力で踊り、飛び跳ねる。「SAY NO」、「Burn!」ではメンバーがステージから飛び出し、客席へ。声を張り上げ、8号車はメンバーの名前をコールし、熱気を巻き起こした。

メインステージに戻ると、「すごいね、熱気が」とマサヒロ。8月8日で新体制になって2周年が経った。「追加公演をKアリーナで2日間できることをツアーが始まる前から楽しみにしていて。正直、この規模が埋まるのかな、という心配もあったんですけど、無事に満席ということで、本当にみなさんのおかげです!」と感謝を伝えた。「今日の僕たちのライブで元気、パワーもらえたな、と思ったらまたぜひ乗車してもらえるように引き続きがんばります」と力強く宣言。そして本編ラストを「gr8est journey」で締めくくった。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
力強いダンスでファンにパワーを与えたマサヒロ

それぞれのかたちで伝える、想いと感謝

もちろん、ここで終わらない。大きなアンコールに呼ばれるようにして、「海だ、花火だ、超特急だ!」と飛び出し「Summer love」をまずは笑顔で届けたあと、それぞれがこの日の公演を振り返った。

無事に開催できたことの喜びをにじませたのはシューヤ。「いろんな方面から足を運んでくださったみ皆様、そして来られなかった方にも僕たちの思いが届いていればいいな、と思います」と言い、「こうして大きなステージでパフォーマンスできることを本当にうれしく思います。もっともっと来年は大きいステージで、みんなで一緒に最高のパフォーマンスを届けますのでぜひ来てください」と笑顔を見せた。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
これまで以上にパワーアップした歌声を響かせたシューヤ

ライブの日のために、8号車がそれぞれいろんな想いや準備をしてきた、ということに想いを馳せたカイ。「ここにいる約2万人の方に、2万通りの人生があって、それを僕たち9人が背負ってパフォーマンスしているということで、この時間だけではなく、今日という一日、みなさんの人生を預かっている身として楽しい時間を過ごしていただけるように全力を尽くしたんですけど、みなさん楽しんでいただけましたか?」と問いかけると、会場からは大きな歓声が上がった。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
8号車に優しい笑顔を見せたカイ

マサヒロは先ほどのあいさつと併せて、「このタイミングはこの瞬間しかないので、残り数曲ですけど、全力で楽しんでいってください」。タクヤは「楽しかったですかー⁉」と呼びかけ、レスポンスににっこり。そして「僕も楽しかったー!」と声を張り上げた。

1曲目、ペンライトの光を見た瞬間に泣きそうになった、と言ったのはユーキ。絶対に泣かない、とこらえながらの「Yell」だったそう。「きれいだったんですよ。めっちゃきれいだったんです。すごくきれいで幸せいっぱいでした」と目をキラキラさせ、最後は「今日は、本日は」と言ってしまい、照れ笑いをしつつ、感謝を伝えた。

アロハは「“Rail is Beautiful”ということで、僕たちの美を感じてくれましたか!」と呼びかけた。「このステージが大きくなればなるほど、みなさんの美も大きくなり、それを全部受け止めながら、今日、パフォーマンスしました。まとめて何が言いたいのかというと……今日の公演が一番最高だった!」と叫んだ。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”
ステージを全力で楽しむ姿が印象的だったアロハ

ユーキと同じように、1曲目から危なかった、と語ったのはハルだ。「こんなにもきれいな景色を見せてくれたみなさんには感謝しかないです。ありがとうございます」と感謝。さらに「たとえられない感じなんですよ。すごく幸せだな、って思える瞬間のひとつです。またこの幸せを噛みしめたいので、またみなさんどこかでお会いしましょう」。

「ボーカルとして自分が8号車に伝えたいことは、全部、曲を通して伝えたつもりではあります」とタカシ。「Kアリーナっていう初めての景色、この舞台に立っているメンバーと、8号車のみんなと立てたことが本当にうれしく思えた一日でした」とシンプルだが、思いを込めて伝えた。

まだまだ8号車とともに前へ

ラストはリョウガ。「車掌しゃべり」で来場の感謝を伝え、「ツアーの中で意味もなくずっとやってたんです。スベッてもなお続けてました」と笑わせたあと、「実はちょっと僕も危なかったことがあって……」と切り出すと、会場がどよめく。そして「びっくりしたんですけど、500円玉、いやもうちょっと大きかったかな。カントリーマアムぐらいの穴が股に空いてました」と告白。すかさずタカシが「不二家さんに謝って」とフォローし、謝罪。「シャンディ」で気がつき、驚いたと言って会場を笑わせた。そして、改めて「だけどもですよ! 遡ること20年前! 小学校のときの恩師がとある名言を残したんですよ……」「失敗いっぱい大歓迎!」と、カイも声を重ねて言った。

「この言葉を胸に乗りきったんですよ! 何を伝えたいかというとですね、みんなもピンチのとき、自分を助けてくれる、もたれかかれるような言葉だったり存在だったり、っていうものに超特急がなれるようにがんばっていきたいと思います」と伝え、8号車の大きな「Fu~!」を浴びた。

さまざまな感情をそれぞれの表現で伝えた超特急の思いは、どれも輝き、8号車のもとへ届く。たくさんの感情があったとしても、それは日本中にいる8号車に向けられたものだから。

公演後には、ユニバーサルミュージック連結後初のシングルとなる『AwA AwA』を11月6日(水)にリリースすること、さらにアリーナツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2024-2025 “Joker”』の開催を発表した。

Railが伸びる先に次はどのような光景が待っているのか。わくわくは、まだまだ続く。

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”

超特急 BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful” 追加公演 
2024年8⽉27⽇(⽕)開場17:00/開演18:30 
2024年8⽉28⽇(⽔)開場16:30/開演18:00
会場:Kアリーナ横浜

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ふくだりょうこ

ライター。大阪府出身。大学卒業後、フリーランスとして活動。お酒と小説が好き。

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