エバースが『上方漫才協会大賞』受賞。佐々木「僕はまだしも町田までもらえるとは」町田「今年の『M−1』も、やってやります!」

2026.1.14

文・編集=Quick Japan編集部


1月12日(月・祝)、なんばグランド花月にて、『第十一回 上方漫才協会大賞』が行われた。1年を通じてめざましい活躍を見せた若手芸人に贈られる大賞、当日のネタバトルを経て決定する新人賞のほか、話題賞、劇場賞、文芸部門賞などを一挙発表。大賞の栄冠に輝いたのは、『第46回ABCお笑いグランプリ2025』で優勝し、『M-1グランプリ』では2年連続ファイナリストとなるなど、人気・実力ともうなぎ上りのエバース! 創設以来、初となる東京のよしもと漫才劇場から受賞者が生まれ、歴史にまた新たな1ページが刻まれた。

家族チャーハンが大阪名物の仲間入り!?

上方漫才協会の中田カウス・ボタン・中田カウス会長と、MCを務める『第一回 上方漫才協会大賞』大賞受賞のアインシュタイン(稲田直樹、河井ゆずる)のもと、冒頭からさまざまな賞が発表されていく。受賞芸人、ノミネート芸人たちが集まる楽屋の様子は、トット桑原雅人がレポート。舞台上も裏側も、1年の始まりを告げる晴れ舞台に沸き立つ。

まずは、メディアを賑わし、上方漫才の発展にも貢献した芸人に贈られる「話題賞」。受賞したのは、ダイタク(吉本大、吉本拓)。昨年は活動休止もあったが、「謹慎中は迷惑をかけたので、またがんばっていきたい」と襟を正す大。拓は「二度とやってほしくないなと思います」と相方に喝を入れた。

劇場を支え続けた芸人を称える「劇場賞」には、2024年の『THE SECOND』チャンピオン、ガクテンソク(よじょう、奥田修二)。月の半分以上舞台に立ち、新ネタライブも定期的に主宰するなど“劇場”で漫才を磨き続ける姿勢が評価された。奥田は「今日もこれで9回目の漫才。(1日)14回まではいける」と胸を張る。

今回新設された、しっかりとした世界観を持ち、次世代を見据えた新しいコントの可能性を見せた芸人を讃える賞「THE NEXT CONTE賞」は、レインボー(ジャンボたかお、池田直人)が受賞。この日は『キングオブコント2025』でも見せたネタを披露したが、終盤にふたりが漫才をやるくだりでサンパチマイクがせり上がるのは、テレビではできなかった演出だったそう。「なんばグランド花月だから実現した。これでネタが完成した。ありがとうございました」とふたりは大喜びだった。

芸歴8年目以下の芸人を対象とする「新人賞」には、東西の劇場で行われたネタバトル等の成績をもとに、三遊間(稲継諒、さくらい)、ぐろう(家村涼太、高松巧)、例えば炎(タキノルイ、田上)、イチゴ(イクト、木原優一)、ゼロカラン(ワキユウタ、たいが)、家族チャーハン(大石、江頭)がノミネート。ネタ披露後の審査の結果、家族チャーハンが新人賞に選ばれた。

「昨日は大宮(ラクーンよしもと劇場)でライブをやって、そこから新幹線を乗り継いで大阪に来たので、賞が獲れてめっちゃうれしい」と大石。江頭は大阪出身で、以前はなんばグランド花月のイベントに大阪代表として出演したことも。その際『たこやきとお好み焼きに割って入れ! 家族チャーハン』というキャッチフレーズをつけられたことから、今回の受賞を機に「これからは、大阪名物はたこやき・お好み焼き・家族チャーハンでよろしくお願いします!」と呼びかけていた。

「今年の『M−1』もやってやりますよ!」

ネタの台本や表現方法などの視点で特に優れている芸人に贈られる「文芸部門賞」には、シカノシンプ(北川、ゆのき)、滝音(さすけ、秋定遼太郎)、ドンデコルテ(小橋共作、渡辺銀次)、ミカボ(土屋翼、山田裕磨)の4組。ネタ披露後のインタビューでは、『M-1グランプリ2025』で大きな話題を呼んだドンデコルテが、「『M−1』以降、全然違う。気づいたら今になっていた」と、その反響の大きさと多忙ぶりを明かした。

各賞とはひと味違うお楽しみ企画が、芸人のもうひとつの“顔”である舞台衣装にフォーカスした「トータルコーディネート部門〜イメージチェンジ〜」。タイムキーパー(まついあきら、ひでき)、ナイチンゲールダンス(中野なかるてぃん、ヤス)、ヨネダ2000(誠、愛)、ダブルヒガシ(大東翔生、東良介)が普段の衣装から大変身し、観客を驚かせた。

いよいよ「大賞」の発表。全47組から最終ノミネートに残ったのはエバース(佐々木隆史、町田和樹)、豪快キャプテン(べーやん、山下ギャンブルゴリラ)、例えば炎、ツートライブ(たかのり、周平魂)、バッテリィズ(エース、寺家)、フースーヤ(田中ショータイム、谷口理)、ロングコートダディ(堂前透、兎)。いずれ劣らぬ実力派が並ぶなか、大賞に輝いたのは……エバース!

「作るネタ1本1本が素晴らしい。町田くんの返しのツッコミもうまくなってきている。『M-1』が終わった後すぐ新ネタを下ろしていたし、本当に力をつけてきている」とカウス会長もベタ褒め。佐々木は受賞を喜びつつ、「僕はまだしも、町田までもらえるとは」と笑いを誘う。町田は「今年の『M−1』も、やってやりますよ!」と堂々のリベンジ宣言で沸かせた。

若手芸人の成長ぶりにカウス会長「将来は安心」

終演後の囲み会見には、カウス会長、大賞のエバース、特別賞のタカアンドトシ、THE NEXT CONTE賞のレインボー、新人賞の家族チャーハンが出席。カウス会長は「特に新人賞のレベルが高かった。ということは、将来は安心。ホッとするというか、そういう感じですね」と、若手芸人たちの成長ぶりに目を細める。

大賞に輝いたエバース町田は「日頃から漫才に向き合ってきたのが伝わって、大賞が獲れました」とコメント。佐々木も「去年1年、漫才を頑張った“ご褒美”と言ったら失礼かもしれないですけど、本当にうれしかったです」と笑顔を見せた。『M-1グランプリ2025』では3位に終わり、次こそは優勝を!と周囲の期待も高まるなか、今年は「あんまり賞レースを意識することなく、1年間、寄席をがんばって、その結果として『M-1』に持っていければ」(佐々木)と目標を掲げた。

新人賞の家族チャーハンは、江頭が「賞というものをいただいたことがなかったので光栄です。今までやってきたことが少しでも評価されたということで、非常にうれしく思っています」と心境を語ると、大石も「感無量です」としみじみ。「その場でネタをやるバトル形式で、(一緒に戦ったのが)いつも負けている面々だったりしたので、その人たちに勝てたというのも含めてめちゃくちゃうれしかった」と振り返る。大石は、「この賞をいただいたことに恥じないように、日々漫才に打ち込んで、各賞レースで結果を出し『やっぱり上方漫才協会大賞の新人賞を取ったコンビはすごかった』というふうになったら」と気合を入れ直していた。

タカアンドトシは、賞を受賞するのが芸歴30年にして初めてだそう。そのぶん喜びもひとしおで、「我々は劇場で毎回、全力でやらせてもらってるんですが、そこをちゃんと評価していただいたのはものすごくうれしかった」とタカ。トシも「去年1年ということではなく、1個1個の積み重ねでしかなかったので、こういう素晴らしい賞をいただいて青天の霹靂。本当にありがたい限りです」と話した。

今回新設された「THE NEXT CONTE賞」を受賞したレインボーは、感謝の言葉に加え、よしもと福岡 大和証券劇場でのカウス会長とのエピソードを披露。「我々のネタを客席で3公演も見てくれて、『新しいね』って声をかけてもらったんです」と池田が言えば、ジャンボたかおは「スッと我々のところに来て、腕をグッと掴んで『新しい!』と言ってくれた。それが強くて長かったです」と実演付きで補足する。「『新しい』の言葉のまま『THE NEXT CONTE賞』という今日につなげていただいた」と喜ぶふたりに、カウス会長は「3回ともネタをちゃんと変えて、3回とも爆笑を取っていた。(昨年、審査員特別コント作家賞・審査員特別コント演技賞を受賞した)コットンという素晴らしいコント師もいますが、また全然違う味でいいと思う」と賛辞を送った。

NSC東京出身で、結成当初から東京の劇場を拠点に活動してきたコンビが大賞を受賞するのは史上初。カウス会長は「名前には“上方”と付いていますが、協会は東京も一体のもの。エバースも、(横山)エンタツ・(花菱)アチャコ師匠がお作りになったしゃべくり漫才、かけ合い漫才がきちっとできている。大阪は漫才が生まれた土地で、漫才を生み出す土壌みたいなものがある。その漫才の呼吸を、東京の若い子たちも受け継いで腕を磨いてくれている」と手応えを語った。また、“上方”と付く賞を受賞した心境をきかれた町田は、「東京・大阪とかではなく、全国どこでもウケるような漫才師になりたい」と力強く答えていた。

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