クリエイティブ業界の「パクり・パクられ」論争。あのBeefが話題になった本質とは【夕方5時の会議室 #12】

編集=高橋千里


少女写真家・飯田エリカと、QJ編集部・高橋の音声番組『夕方5時の会議室』。メディア業界で働く同世代ふたりが、日常で感じているモヤモヤを、ゆる〜くカジュアルにお話しします。

第12回も、飯田と高橋のふたりトーク。ラッパー・NENEさんが仕掛けた“Beef”が話題になった件を切り口に、これまで自分たちが「もしかしてパクられた?(まねされた?)」と思った出来事を話します。

※音声収録は2025年8月1日に行いました

この記事では、音声の前半部分だけをテキストで公開。後半はYouTubeまたはPodcastよりお聴きください。

見え隠れする「グラビア写真集」としての意識

飯田 前回は女性写真集へのモヤモヤを話したんですけど、ちょっと前に私が個人のThreadsで「アイデア丸パクリされた」みたいなことをただのぼやきとしてつぶやいたら、Threadsってよくわかんない投稿がインプ伸びるじゃないですか(笑)。

高橋 伸びてましたよね!

飯田 伸びてました……。なんかそんな大バズりではないですけど、私のささやかなThreadsの中では予想外にまあまあ見られた、みたいな感じで……。

高橋 私もそれを見て飯田さんに連絡した。気になったから(笑)。

飯田 「次(の音声収録)、それについて話しませんか?」って言われて(笑)。いろんな人にも「あれってなんのこと?」って聞かれて、けっこう明確な証拠があるんで、友達とかには「こういうのがこうされました」って見せて、みんな「ああ……」って。

高橋 「まあまあ、察し……」みたいなね。

飯田 ちょうどそれが、ラッパーのNENEさんがちゃんみなさんに対して仕掛けたBeefがすごい盛り上がってるときで。そこに答えたのがSKY-HIさん。

高橋 盛り上がってましたね! SKY-HIさんも、めっちゃ早かったですね。

飯田 ただ、これが話題になった本質って「パクってる、最低!」とかじゃなくて、そもそもNENEさんのようなインディーズのヒップホップ界隈で地道に活動してる方が必死にやってる要素を、メジャーどころが適当に旨味を吸っていくのってどうなの?という部分。

たぶん、同じ思いをしたことある人が大なり小なりいるんじゃないかな。音楽業界だけじゃなくて、アパレルとかも、個人の作家さんが作ったものをどデカいブランドが丸パクリして盛大に売ったり……とかあるから、いろんな人の共感を呼んであれだけ盛り上がったのかな。

高橋 クリエイティブ界隈は多いですよね。定期的にXとかでも話題になったりする。

飯田 言い出してもキリがないから、やっぱり言わない、泣き寝入りした人もたくさんいるから、「あそこまで具体名出してぶっこむってかっこいいな!」って励まされた人もいると思うんですよね。

高橋 そうですよね。私は、ちょっと話が外れちゃうかもしれないですけど、あのBeefがおもしろいなと思って。もともとそんなにHIPHOPとか詳しいわけではなかったんですけど、『ヒプマイ』は好きだったので、拳じゃなくて言葉で戦うのがラップの本質というのは知ってたんですけど、ああいうBeefの文化は(現実世界で)初めて目にしたので、「これがBeefなんだ!」って。

飯田 おもしろいですよね。そのNENEさんのBeefに、歌代ニーナさんっていう別のラッパーさんが乗っかってて、私はそれで歌代さんのことを知ったんですけど、この人もめっちゃかっこいい!って。

高橋 かっこよかった! 私も知らなかったです。一気に名前が広まりましたもんね。

飯田 あれはいいBeefに乗ったPRだった。私もHIPHOPの文化にすごく触れてるわけじゃないですけど、GOMESSくんっていうラッパーが仲いいので、ラップバトルとかディスり合いが文化だというのは知っていて。でもGOMESSくんって、けっこう日本語ラップでポエトリーな感じで、イケイケなラップっていうよりはその自分の生涯を歌ったり、苦しみから発してるものがかなり自分に響いて。そういうコミュニケーションっておもしろいですよね。

【続きはこちらから】仕事で「パクられた?」と思ったこと

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次回も飯田&高橋のふたりトークをお届けします!

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