『R-1グランプリ』で準々決勝に進出するなど、ピン芸人として活動するちびシャトルによるコミックエッセイ『100倍アレルギー克服記』が8月20日(水)に発売決定。7月1日(火)から予約を開始した。
著者のちびシャトルが、YouTubeチャンネル『Quick Japan』の音声番組「Quick Japan編集会議」に初のタレントゲストとして出演。編集長・田島、編集部・高橋とともに、本書の制作秘話やアレルギーに苦しんだ30年の壮絶人生を語った。QJWebでは番組の一部をテキストでお届けする。
未収録エピソード「縄で縛られたまま、気絶するまで腹筋してた」
高橋 本書の第1話にも収録していますが、ちびシャトルさんの学生時代の壮絶なエピソードとして、縄で自分の身体を縛って毎日寝ていた……という話がありますよね。
ちびシャ 全っ然、任意なんですけどね(笑)。親に「そろそろ寝るからロープお願い」と言って縛ってもらうという、毎日のよくわからないルーティンがありました。

高橋 掻きむしりを防ぐために?
ちびシャ そうです、無意識下の寝てるときが一番掻いちゃう。漫画に描きたかったけど描けなかったエピソードがあって、(縄で)縛ったら掻かないんですけど、その代わりに寝られなくなるので、どうやって寝てたかというと、気絶するまで腹筋してたんですよ。
腕は動かないんで、動くところが腹筋だけだった。ベッドの上で疲れるまで腹筋して「もうダメだ〜」って倒れて寝て、起きたら朝……っていうことがありました。
田島 えー! 何歳くらいのときですか?
ちびシャ 中学生くらいです。腹筋バキバキの中学生ですね(笑)。
田島 すごいな〜。でもけっこうそれって、笑い事ではないじゃないですか。
ちびシャ まあ、そうですね。でも、芸人になってから楽屋とか打ち上げとかでそういう話をすると、芸人さんはめちゃくちゃ笑ってくれるので、自分としては本当に救われたんですよ。
田島 今も現在進行形でアレルギーに悩んでる人がいっぱいいて、そういう人たちもちびシャトルさんみたいに人前に立つ仕事ができるし、こうして「子供のころはひどかったけどね〜」って笑えるようになっていることがすごくいい話というか、救いになるような気がしていて。誰かを明るい気持ちにさせられるんじゃないか、と。
ちびシャ そうですね、僕の話で笑ってもらいたい。(この本が)ウケたら本当にありがたいし、幼少期の自分も救われます。
アレルギーに悩む子供を持つ「親世代」にも読んでほしい
田島 本の中でも書かれてますけど、ひどいアレルギー症状があっても芸人を続けているのはどうしてなんですか?
ちびシャ やっぱりこうして芸人やってるから、楽しいから生きられてる、みたいなところがあって。芸人やってなかったら、アレルギーのことばっかり考えちゃって、よくないほうに思考が寄ってしまっていた可能性はありますね。
高橋 アレルギーの症状が出ていると、やりたいことをあきらめる方も多いじゃないですか。そういう中でちびシャトルさんの選択ってすごい希望になると思いますし、書籍の監修をしてくださったアレルギー専門医の小山(英明)先生も「ちびシャトルさんのように、無理のない範囲でやりたいことをやってほしい」とおっしゃっていて。
ちびシャトルさんが本の中で伝えたかったメッセージもまさにそれだと思うんですけど、すごくいいなって思います。

ちびシャ ありがとうございます。小山先生は僕が実際に通ってた病院の先生なので、改めてお話しできる機会があったのも本当にありがたかったですし、そこを褒めていただいたのもうれしかったですね。
高橋 あとやっぱり欠かせないのは、家族との関係性。お母さんもやりたいことを尊重してくださったと思うんですけど、小さいころは病院を探したり、いろんな治療法を試したり、たくさん試行錯誤されてましたよね。
ちびシャ そうですね、本当にいろんな病院を回った記憶があります。「旅行か?」ってくらい遠くまで行ってました(笑)。長崎から佐賀を挟んで福岡まで行ったり……。当時はそこでしかもらえない薬があったんですよ。
すごくいろいろやってくれた記憶がたくさんあるので、僕は本当に申し訳ないなってずっと思ってました。でも、この本を作るときに改めて親と話したら、親も僕に対してめちゃくちゃ申し訳ないと思ってたという話を聞いて。この本を出さないと知り得なかったことでしたね。

高橋 本の中にお母様からの手紙も収録されていますが、すごく感動的な手紙で……。
田島 やっぱり一冊にまとめてみると、自分も高橋も子供がいるので、親の目線で読んじゃうんですよね。今、世の中でアレルギーに困っている人、もちろん当事者の方々もいると思うんですけど、自分の子供にアレルギー症状が出てどうしようと悩んでいる親御さんもすごくたくさんいると思うので、そういう方にも届けばいいなと。ご本人もキツかったと思うんですけど、親御さんも悩んでたでしょうね。
ちびシャ だから、僕が元気でいることによって、(母親自身が)解放された……ということも言ってました。僕が子供のとき親に伝えられなかった言葉は本に全部入ってるので、ぜひ読んでほしいですね。
子供って、自分がどういう症状か、どれくらい苦しいのか、言葉でうまく伝えられないと思うんですよね。だから、お子さんと類似する症状や出来事があったら、参考にしてもらえたらありがたいなと思います。