【『THE LAST PIECE』レポート#5】“音楽力”が問われるクリエイティブ審査がスタート。SKY-HI「3年後に聴いてみてほしい。ここから先の人生がんばりましょう」

【『THE LAST PIECE』レポート#5】BMSG名物「クリエイティブ審査」がスタート。SKY-HI「3年後に聴いてみてほしい。ここから先の人生がんばりましょう」

写真提供=BMSG

文=奈都樹 編集=森田真規


BE:FIRST(ビーファースト)、MAZZEL(マーゼル)に次ぐ3つ目のボーイズグループを誕生させるべく、SKY-HIが主宰するマネジメント/レーベル「BMSG」が始動させたオーディションプロジェクト『THE LAST PIECE(ラストピース/通称:ラスピ)』。

『THE FIRST』『MISSIONx2』に続いて本オーディションでもプロデューサーを務めるSKY-HIは、「あなたの夢を叶える事が今の俺の夢だ」とコメント。さらに、『THE LAST PIECE』は以下のステイトメントを掲げている。

全ての10代と、
かつて10代だった
全ての人へ。

さあ、世界で一番自由で大きな夢を見よう。

2025年7月25日にYouTubeで配信された『THE LAST PIECE』本編Ep.05では、4次審査合宿の課題となったクリエイティブ審査に挑む3チームの様子に密着。その模様をレポートする。

【THE LAST PIECE 本編】Ep.05 / Song of Us, Sing for You

クリエイティブ審査のポイントは「音楽力」

4次審査合宿の会場はまたしても学校だった。3次審査を通過した20名の参加者は続々と校舎に足を運んでいた。会場の意図についてSKY-HIは、「小学生のときの無謀な夢とか疑わない未来とか、あの感覚を思い出してほしいなってところがあるので。シチュエーションが小学校であることはいいなと思っています」と語る。

グループデビューを夢見る若者たちが挑む次なる審査は、クリエイティブ審査だ。与えられたトラックに、自分たちでメロディ、歌詞、振り付けをつけていく。『THE FIRST』の時代から始まった画期的な審査スタイルだ。

今回のトラックは、BMSG自社レーベルである「Bullmoose Records」に所属しているBANVOXが制作。透明感のある美しいメロディを基板に、ビートでさまざまな展開をつけ、万華鏡のようにあらゆる絵が浮かび上がるようなトラックになっている。

SKY-HIの審査ポイントは「音楽力」。さらにそれをチームでどう活かしていくかが重要になってくるという。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

チーム分けは以下となった。

teamA:KANTA、SHO、GOICHI、KEITO
teamB:ADAM、KEI、KAIRI、AOI
teamC:RUI、YUTA、TAICHI、COTA
teamD:RYOTO、TAIKI、RAIKI、YU
teamE:ISANA、KANON、REN、HAL

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

teamA、コンセプトは「ラブソング」

まずはteamAに密着。このチームには作曲経験が豊富なSHOがいる。曲構成は彼が引っ張っていた。

teamA/(左から)KEITO、GOICHI、KANTA、SHO(写真提供=BMSG)
teamA/(左から)KEITO、GOICHI、KANTA、SHO(写真提供=BMSG)

歌詞決めでは、みんなで歌詞を書くためにコンセプト決めからスタートし、「ラブソング」に決定。「単語を決めたい」「(架空の恋人の)名前決めちゃうとか?」「花の名前とか?」と、メンバーたちは目を輝かせながら話し合っている。

そんななかプリプロダクションが始まった。プリプロダクションとは、アレンジや歌詞の方向性などを確認するために行う仮レコーディングのことだ。

先ほど決めた曲構成順にトラックを変更。トラックに合わせて即興で歌ったフレーズから歌メロを作っていく。SKY-HIからテーマを何にするのか聞かれ、GOICHIが「振り向いてくれない子に対してストレートに想いを伝えている曲」と説明すると、SKY-HIからは「みんなが歌う意味ができるとよりいい。夢への片想いみたいなものがあると、より歌っている意味が出るかも」とアドバイスが。

SKY-HIの意見を参考にしながら、各自でメロディや歌詞作りをしていく。GOICHIが「ここからもっと低い声でいきたかったんだけど」と相談すれば、SHOが「メロくいったら?」とすぐにアイデアを出す。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

“自分とメンバー”を意識することの重要性

仮レコーディング2日目。すでにほとんどできており、あとはSHOが率先して考えたメロディをまとめていくだけだった。ところが、SKY-HIに聴かせると、もう少し違うラインのほうがいい気がすると言われてしまう。4人で歌えるキーになっていないそうなのだ。

「素敵な服を作る作業と自分に似合う服を作る作業はだいぶ違うから。もちろんいい曲だねって言わせたいが、それ以上に歌っているみんながかっこよく見えるほうが大事な気がする」

キーが高すぎたため、即興メロディを録り直す。SKY-HIは、それぞれ楽曲制作の経験の差があるだけに、これではグループの曲としていいものにできるかどうか懸念があったようだ。KEITOのメロディをもとに、SKY-HIがサビのアイデアを提供する場面もあった。

“自分とメンバー”を意識することの重要性を知った彼らは、翌日4人で歌えるキーを探りながらメロディを作り直そうとする。だが、うまく意見がまとまらない。SHOがKEITO発案のメロディを細かく切って使うアイデアを出したり、まったく新しいサビを提案してみても、メンバー全員がそれに納得しているわけではなさそう。

そのあと、ダンス練習のため向かった体育館でKEITOが話を切り出した。自分発案のメロディを細かく切る、その意向で曲作りが進んでいることに疑問があったようだ。

「自分が作ったからみたいに思われるのがイヤで言わなかったんですけど……そのあとも刻んでるからずっと刻んでてもつまんなくなっちゃうのかな」

すると、KEITOをきっかけにほかのメンバーも話し始める。

「KEITO的に、たぶんそっちじゃなくて最初のやつで歌詞書いてみようよって思っていたから」(KANTA)

「俺は一番最初のやつがいいと思っちゃってるのね。そっちに寄せたいっていう個人的な意見として。それがもうなしって捉えられちゃっているなら、マジでごめん」(GOICHI)

「自分も伝えたほうがいいのかなって思ったんですけど、場の雰囲気を壊したくなくて……」(KEITO)

「みんなでいっぱい作って、(アイデアを)出し合って、これって決まればいいと思うから」(SHO)

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG
『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

Aile The ShotaとREIKOが登場

ようやく意見を言い合えるようになったteamA。しかし、翌日になってもまだ決定的なアイデアが出せずにいた。一日中、自分たちのメロディや声を探し続けた。悩みながらも少しずつ曲がかたちになろうとしていた。

そんな4人のもとへ、あるゲストが現れた。

Aile The ShotaとREIKOだった。このふたりは『THE FIRST』をきっかけにメジャーデビュー。参加者にとってはオーディション経験者としても先輩だ。

突然のゲストに驚くメンバーたち。GOICHIが今曲を作り終えたところだというと、SKY-HIからの提案でAile The ShotaとREIKOに披露してみることになった。突然の先輩からの抜き打ちテストに緊張が走る。

しかし、前回の仮レコーディングからだいぶまとまりが出てきたようで、Aile The ShotaとREIKOは彼らのパフォーマンスを楽しんでいる様子。SKY-HIからも「まとまった、素晴らしい」と評価が。メンバーたちはホッとしたのか、頬がゆるむ。

「チームで作っていく過程で、自分と向き合う機会が増えると思うんだよね。その結果アーティストとして何を出せるかっていう、自分の未来の可能性をいかに提示できるかっていうことが、今度は大事になってくると思う。社会人として世に出る前の段階で、どれだけ恥をかけたかで未来の可能性が決まってくるから、ここで思いっきりやっちゃおう」

SKY-HIがこう呼びかけると、続けて「自分のヤバさをあざとく伝える」(Aile The Shota)、「もっとあざとくていいんじゃない?」(REIKO)とふたりもアドバイス。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

覚醒するKANTA「歌手としてのポテンシャルの底が見えない」

ようやく曲ができてきたところでメンバーたちは気分転換に海へ。海に入ったり、ダンスをしたり、ふざけたりと、はしゃぎ回る。そんななか海に入るのが苦手なKANTAは、浜辺にひとりでいた。どうやら歌のイメージを考えているようだ。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG
『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

3回目の仮レコーディング。KANTAが覚醒した。一度歌ったあと、SKY-HIから「大観衆に歌声をバァーッと聴かせてあげているというイメージを持って……」とリクエストされると、KANTAは壮大でエモーショナルな歌唱を響かせて周囲を驚かせる。

歓喜のあまり思わず笑ってしまうSKY-HI。同席していたAile The ShotaとREIKOもテンションが上がっている。REIKOが英語の発音をアドバイスすると、またしてもすぐに対応してみせた。3人ともKANTAの吸収力の高さに驚愕しているようだった。

「歌手としてのポテンシャルのまだ底が見えなくておもしろい」とSKY-HIの指導にも熱が入り、最終的には立ち上がるほど。歌を始めてからまだ1年も経っていないというKANTA。彼の歌手としての才能が咲き始めていた。

振り付けは、ダンス歴10年のKANTAを中心に創作。こちらも順調に進んでいた。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

「本気で向き合うと音楽の神様はギフトをくれる」とパフォーマンスを評価

ではいったい、どんな曲に仕上がったのか。teamAのクリエイティブ審査本番へ。曲名は「Lily」だ。

KEITOやSHOがふくよかな低音を時折響かせる一方、KANTAはあどけなさが残るピュアな歌声を聴かせ、GOICHIもまた野生的な声色は控えめに少年性が垣間見られるラップを披露。メンバーの新たな一面が見えるような歌唱が印象的だった。

「最高!!!」と拍手するSKY-HI。「本気で誠実に向かっている人たちからしか出ない“楽しそう”があったから、これは君たちの音楽に向かう誠実さゆえのものです」とコメント。難しい場面でも一切逃げない態度があったが、そうして本気で向き合うと音楽の神様はギフトをくれるという。そんな瞬間がたくさん見られたパフォーマンスだったと評価した。

teamB、テーマは「夢」

次はteamBに密着。テーマは「夢」となった。作詞作曲経験があるのはKEIだけではあるが、ADAMも積極的にアイデアを出していく。一方、AOIはラップ経験はほとんどない。メンバーのサポートをもらいながら練習に励んでいた。

teamB/(左から)KAIRI、KEI、ADAM、AOI(写真提供=BMSG)
teamB/(左から)KAIRI、KEI、ADAM、AOI(写真提供=BMSG)

歌詞は各パートごとに考えることに。作詞に初挑戦するKAIRIは、歌詞が浮かばずに苦悩していた。そんななか、Aile The ShotaとREIKOが現れた。

メンバーは自分たちの曲を聴かせることに。すると曲を聴いたAile The ShotaとREIKOから「個性がある」「技術点高!!」と高評価が。KAIRIが歌詞に悩んでいるというと、REIKOが「この曲がどんな曲かって会話は?」「チーム感がもっとあるとマジで最強になる」とアドバイスする。Aile The Shotaも「一人ひとりが全員この曲を共通で説明できるようになると(……)自分のバースがめっちゃ書きやすくなる」と続ける。

ふたりの話を受けて、メンバーたちは自分の過去や夢について打ち明けることに。15歳のKAIRIは、過去に多くのオーディションに落選してきた。そんな彼にとって、努力をすれば自分の本当にやりたいことを見つけられたのがBMSGだったという。だからこそ、どんなに遠くても届くということを伝えたいのだとか。

デビューを夢見て上京したAOIは、家族のためにも絶対デビューしたいという思いがある。友人関係で悩むことがあっても夢のためだとがんばってきた。また、7歳で芸能界入りしたKEIは、グループデビューも果たすが、2023年に活動停止に。さまざまな事情によって叶えられない夢があったという。それでもあきらめきれずBMSG TRAINEEとなり、現在は幸せな環境にいる。そんな今について歌詞を書いたと話す。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

一方、ADAMはもっと早くアーティストを目指せばよかったと後悔していた。17歳でスカウトされて大手事務所の練習生になったが、本格的なレッスンを始めたのは歌唱が2年前、ダンスは1年前と、どちらもまだ経験が浅い。韓国のオーディション番組などに挑むが、デビューを逃していた。このオーディションでも実力不足を痛感している。ただ、音楽を始めてから一回も辞めたいと思ったことがないという。壁にぶち当たっても自信だけは常に持ってここまで来たからそれだけはブレずに行く、そんな歌詞が多いと語る。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

りょんりょん先生のグサグサ刺さるボイスレッスン

仲間への理解を深めたところで歌詞を練り直し、仮レコーディング2回目へ。

KEIは歌詞を大きく改変し、KAIRIとAOIは表現力をさらに身につけていた。そんななかで絶賛されたのがADAM。「このフロウちょっとおもしろいね」「いいじゃん!」とSKY-HIから評価されていた。

実はこの日の朝、自分のよさを最大限出せるメロディを別チームのTAIKIに相談していた。TAIKIのサポートもあり、生まれたフレーズだったのだ。

仮レコーディングで褒められて自信をつけたメンバーたち。本格的に振り付けに取りかかるときも、次々とアイデアが生まれている。

が、課題がないわけではない。りょんりょん(佐藤涼子)先生のボイスレッスンでは、ADAMは歌い方の基礎ができていないことを指摘される。「言うことがいっぱいある」と言われると、ADAMの表情には元気がなくなってしまう。

一方、AOIは高音が不安定なままだった。「喉が締まって苦しく聴こえてしまう。僕の中でも、ずっとやらかしちゃってるなっていうイメージで……」とスタッフに不安をこぼす。

すると翌日のSKY-HIはADAMにこんな話をする。

「りょんりょん先生、びっくりした?」(SKY-HI)
「けっこうグサグサやっていただきました」(ADAM)
「もらえるものは全部もらってきて。最後はそれを踏まえて自分で考える。最終形態ADAMが見えてくる気がします」(SKY-HI)

さらに高音がうまく出せないAOIには、鼻に力を入れるイメージで歌うようにアドバイス。すると、すぐに伸びやかな高音が出せるようになっていた。AOIはようやくうまく歌えるようになり、「感覚もつかめた感じがする」と自信を手にしていた。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

「学校」をテーマに構成されたパフォーマンス

では、どんなパフォーマンスに仕上がったのか。曲名は「So What?」だ。

机に腰をかけてパフォーマンスが始まった。教室を演出したステージの上で、KEIが<あの日 夢かけた 空にShooting Star/しがらみとらわれ 頭固くなるよね/仲間がくれるLoveとLaugh受け入れ 気付きゃ前向ける>と夢と仲間への思いをラップに込める。続けて、ADAM、AOI、KAIRIもまた、夢を追うことへの期待や、時に見失う自分自身、それでも自分を信じようとする意志を歌詞に乗せていた。

僕たち10代の夢を見せるために「学校」をテーマに作った、という。SKY-HIは「MVを観ているみたいで楽しかった」と伝える。細かく振りが決まっているはずが、段取り感がなく、ノリでやっている感じが出ていて、音楽好きであることが伝わってきた、とコメントした。

TAIKIが牽引するteamD

次はteamDに密着。すでに自作曲を作ったこともあるTAIKIが、チームを牽引していた。

teamD/(左から)YU、TAIKI、RYOTO、RAIKI(写真提供=BMSG)
teamD/(左から)YU、TAIKI、RYOTO、RAIKI(写真提供=BMSG)

TAIKIといえば、過去に『THE FIRST』でもクリエイティブ審査を経験。しかし、次の審査に進むことができなかった。いまだにあのころのことがフラッシュバックするという。だからこそ、この審査にかける思いは強い。一方で「全員がこの曲最高だよねと思えた状態で、いいパフォーマンスに持っていけたら」とも。過去の経験を活かしてサポート役を買って出ていた。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

TAIKIの提案で歌詞は気にせず、メロディラインを即興で歌ってみる。しかし、クリエイティブ経験のないYUとRYOTOには難しい作業でもあった。それにRYOTOは人見知りでもある。「どう?」とTAIKIに聞かれても、目を合わせて話せない。年上組のRAIKIとTAIKIが打ち解けようとしても、RYOTOの反応は薄い。かなり緊張しているようだ。

仮レコーディングでは、最後にSKY-HIからこんな言葉をかけられた。

「人生最後の曲になったとしたら今何を書くかみたいなことを、真剣に自分と向き合うみたいなのをここでやって、自分が書いている意味がある歌詞を作ってくれたらいいかな」

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

再考したテーマ「LAST SONG」

SKY-HIの言葉を受けて話し合いを始め、テーマを「LAST SONG」にして練り直すことにした。作詞では年上のTAIKIとRAIKIが年下組をサポート。これを機に心を開き始めたRYOTOは、メンバーの前でもふざけてみせ、素を見せられるようになっていく。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

すると歌声にも変化が。りょんりょん先生のボイトレでは、「言うことない。すごいな、いいな」とベタ褒め。さらに、仮レコーディングでもSKY-HIたちから大絶賛。「素晴らしい」(SKY-HI)、「鳥肌立った」(Aile The Shota)と褒められ、RYOTOもうれしそうだ。

一方、TAIKIもラップスキルを爆発させる。SKY-HI、Aile The Shota、REIKOはラップのうまさに笑いが止まらない。「何そのフロウ!」「ヤバ! ヤバすぎ」(Aile The Shota)、「尊敬だよマジで」(REIKO)と大興奮。続けて、YUやRAIKIも成長した姿を見せ、3人から褒められていた。

とはいえ、実はチームの進捗は遅いほうだった。中間発表段階でほかのチームは振りまでほぼ仕上がっているのに対し、teamDはまだ振り付けまで行けていなかった。これには冷静なTAIKIも焦りを感じていた。

慌てて振り付けに取りかかる。焦りからかアイデアが出てこない。ダンスに行き詰まってしまった。そこでTAIKIは別のチームに相談へ。これまでチームの垣根なく積極的にアドバイスしていたTAIKIが、今度はみんなに助けを求める。彼だからこそ自然と仲間たちは集まった。

仲間たちからアイデアをもらい、再び年上組のTAIKIとRAIKIはチームとしてどう振り付けを進めるか話し合う。いきなり一緒に考えると意見が合致しづらいと、まずはお互いがやりたいことを一度まとめることに。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

落ち込むRYOTOに寄り添う仲間たち

ようやく調子が戻ってきたteamD。翌日には意見を出し合ったことでアイデアが生まれ、無事に振り付けもまとまった。チームの結束も強まり、ゴールが見えてきた。が、本番前日に事件が起きてしまう。

RYOTOの喉の調子が悪くなってしまったのだ。さらに13歳のYUも声変わりで高音が出しにくくなっていた。歌声が武器のRYOTOは、すっかりふさぎ込んでしまう。落ち込む彼に仲間たちは寄り添って声をかける。

RAIKIもまた、前回の審査で喉を痛めて万全の状態で挑めなかったひとり。だが、そんなときにSKY-HIにかけられた言葉でベストを尽くすことができた。

「60%のベストは、手を抜いた100%には絶対勝てるから。そこは見せてほしいかな」

そのSKY-HIの教えをRYOTOにも伝えようとしていた。「RYOTOもいろいろ考えてると思うけど、心の持ち方もそう。今は気にしないことが大事」。RAIKIは不安を取り除こうとしていた。

『THE LAST PIECE』本編Ep.05より/写真提供=BMSG

BANVOXまで感動させたteamDのパフォーマンス

そしていよいよ本番へ。タイトルは「RIGHT NOW」だ。

メンバーたちは上手(かみて)と下手(しもて)から現れ、それぞれが拳を突き合わせあいさつ。音楽が好きな仲間たちが音楽を純粋に楽しもうとする様子が伝わってくるステージ。そんな風通しのいい温かな空気はありつつも、TAIKIのラップからは切実さがにじむ。

<恥かいた 間違えた その経験が今は 歌詞かいたら笑えてた 無駄はない/4歳から何回もtry でも止まる気ねぇ まだ GO×4>

これまでの後悔や失敗があっても今が最高だったらそれでいい──そんな思いを込めたという。SKY-HIは涙目になりながら「素晴らしい! 最高!」と立ち上がった。そして、「この短い時間でずいぶんファミリーみたいになったね。それがすごい心温かかったんだけど」とコメント。

TAIKIは、SKY-HIから3次審査で言われた「命をかけたパフォーマンスをしてほしい」という言葉の意味について考えていたようだ。

「自分がもし最後のパフォーマンスだったらどうするかって言われたら、全員が笑顔で楽しかったって言って終われるパフォーマンスが一番やりたいなって。(……)みんなでめちゃくちゃ話し合って、めっちゃふざけて、めっちゃ遊んで、この曲を完成させました」

そんなTAIKIの話に感激するSKY-HI。最後には「3年後とかに聴いてみてほしいな。そのときにすげえいい顔でみんなで聴けるように、ここから先の人生がんばりましょう」とエールを送った。

するとチームの退場後、審査を見に来ていたトラック作曲者・BANVOXが興奮を抑えきれずにSKY-HIにコメント。TAIKIのラップパートの話だ。ほかのチームはダンスにしていたところを、TAIKIはバースにした。

それについて「ここにどう乗っけるか楽しみにしていた部分なのに……そこに本当に乗っけてくる子がいたっていうのに驚きました」と、うれしそうに話していた。BANVOXまで感動させたteamD。果たして、結果はどうなるのか。

今回の配信はここまでとなった。次回も引き続き、4次審査合宿に密着していく。

【『THE LAST PIECE』配信スケジュール】
■Ep.06:2025年8月1日(金)20時~
※公開スケジュールは変更になる可能性がございます

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奈都樹

(なつき)1994年生まれ。リアルサウンド編集部に所属後、現在はフリーライターとして活動しながら、クオーターライフクライシスの渦中にいる若者の心情を様々な角度から切り取ったインタビューサイト『小さな生活の声』を運営中。会社員時代の経験や同世代としての視点から、若者たちのリアルな声を取材している。

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