大阪と東京の劇場で頭角を現し、賞レースでは着実に結果を残し始めている、例えば炎と金魚番長。実力も人気も急上昇中のふた組は、月に一度のペースでユニットライブ『例えば金魚』を開催している。
2023年の『M-1グランプリ』で1、2位を争った「ヤレロマ」ことヤーレンズ×令和ロマン、2024年にともに決勝初進出を決めた「バテエバ」ことバッテリィズ×エバースに次ぐユニットを目指してるのかと思いきや、本人たちは「そんなふた組じゃない」と語る。いったい、ふた組はユニットとしてどんな姿を目指しているのか。尊敬はしているが、お互いナメている部分もある、という例えば炎と金魚番長ならではの関係とは。
さらに、8月13日(木)にIMM THEATERで開催される『オールマンゲキTOKYO』で東西劇場の代表としてMCを務めるふた組。公演に向けて、心強い先輩たちの話も聞いた。
目次
例えば炎はウケすぎている?

タキノルイ(左)と田上(たのうえ/右)によるコンビ。中学からの幼なじみで、NSC大阪43期出身。『UNDER5 AWARD』では2年連続決勝進出。『M-1グランプリ2024』では準決勝進出
おふた組は2025年3月よりツーマンライブ『例えば金魚』を開催しています。どのような経緯で開催が決まったのでしょうか。
森ノ宮よしもと漫才劇場のスタッフさん発信だよね。
もともとは1年前くらいに僕ら「誰とツーマンライブやりたい?」と聞かれて、「金魚番長さん」と答えてたんですよ。
そうだったんだ。
でも当時は僕らが全然対等じゃなかったから開催されなくて。
そのあとに「東東東西西西」ってLINEグループだけできたじゃないですか。
あ、そうそう。東が俺ら、ゼロカラン、イチゴ。
西が僕らとジョックロックさん、タイムキーパーさん。
で、「なんかやろう」となったけど、却下されて。
誰がどうしても却下される(笑)。東京の社員さんから「このメンバーでは集客が……」と厳しく言われたりもして。
「同じようなメンバーでライブやりすぎじゃないですか」とか「集客はどうなってるんですか?」とか。
たしかにあの時期だったら絶対埋まってないよね。で、今年ようやく僕らのツーマンが始まって。気づいたら『麒麟児』というライブもできて、メンバーがこのふた組と家族チャーハン、ジョックロックというメンバーになってた。それにしても、最初に名前出してくれたのは知らなかったな。当時も俺ら、そんな上にいなかったでしょ。
いや、いましたよ。『UNDER5 AWARD』で優勝した人にわざわざ僕らのために大阪まで来てもらうのが当時は難しかったんですよ。
それでいったら、今も別に対等じゃないというか。
え!?
ふたりはこの前の『UNDER5』で最下位だったじゃん。
最下位じゃないですよ!! ナイツ塙(宣之)さんが入れてくれた1票がありますから!
あれはちゃんと1票入ってますから!
なんかコメント欄、大変なことになってるらしいじゃん(※『UNDER5』でのネタがYouTubeで期間限定公開された際、例えば炎の動画に「ウケすぎている」というコメントが多数投稿された)。
「ウケすぎてた」って言い方悪いよな。絶対にしちゃダメだよな。ウケればウケるほどいいんだから。
意味わかんないよな、「ウケすぎ」って。
おもんなすぎるのにウケてたってことですよ! わかるでしょう!
やっぱ、例えば炎にウケてるイメージがないからか。
それ、とんでもないイメージじゃないですか!
だからちょっとウケてたら「ウケすぎやろ、こいつら」ってなったってことですか?
例えば炎といえば、スベりすぎてるイメージだったもんな。
そうそう。だから「なんでこんなウケてないの?」っていつも思ってたら、今度はウケすぎてたっていう。
この前バッテリィズ寺家さんが言ってましたよ。「1年目の金魚番長さんの優勝のときのほうがウケすぎてた」って(笑)。
古市失踪事件は「6日間のタイムオーバー」

箕輪智征(みのわ・ともゆき/左)と古市勇介(ふるいち・ゆうすけ/右)によるコンビ。NSC東京24期出身、『UNDER5 AWARD』初代王者。『M-1グランプリ2024』では準決勝進出
古市さんは『例えば金魚』が始まる際、「目指せ!! 次のヤレロマ、バテエバ!!」とコメントを寄せていましたね。
それ、俺が言ったんじゃないんですよ。
え、お前が言ってたでしょ。
違う、社員さんに「ヤレロマとかバテエバみたいにしていきたい」と言われて、「いやいや、僕らそんなふた組じゃないですよ」と言ってたんです。だからボケのつもりでコメントしたら、僕自身の発言みたいに扱われちゃって。今からでも訂正したいですよ。
「そんなふた組じゃない」もよくない。そんなふた組でありたいじゃん。
毛色が違うじゃん。平気でタイムオーバーとかしてるし(※『M-1グランプリ2024』敗者復活戦の際、例えば炎がタイムオーバーでネタが強制終了となった)。
僕らだけですか? 問題は。
いや、お互いに!
古市さんの事件はタイムオーバーと同じじゃないですよ?
タイムオーバーの比じゃないですよ!
お前のあれも、6日間のタイムオーバーだよな。
フライオーバー。
フライオーバー?
じゃあこれを機に、古市さんの言葉で僕らふた組が「次の何」なのか言いきってください!
ヤレロマでもバテエバでもないなら、次の何?
次の? 水と油。
次の水と油……? 何それ。
教えてください。どっちが水でどっちが油か。
俺らの知らないユニットがあるわけじゃないですよね?
違うな、別に仲いいしな……。わかんないよ! 振りが悪いって!!
優勝経験豊富な金魚番長が語る「例えば炎は優勝できるのか」
もちろんユニットふた組で『M-1』決勝進出を目指しているわけですよね?
決勝には行きたいです。
でも、もし決勝にふた組で行けたからといって、ヤレロマみたいに「お互いがんばってよかったね」というドラマチックな感じにはならない。
(笑)。
だって、ライブでも漫才2本しかやらないし、半分コーナーとかやってるし。
ゼロカランとも『漫才鬼』というツーマンを毎月やってるんですよ。それは毎回ネタ5本ずつなんです。だからゼロカランと一緒に決勝行ったほうが泣くと思う。
たしかに『例えば金魚』ではネタもそんなにウケない(笑)。かろうじて渋谷よしもと漫才劇場でやるときは僕らは物珍しがられてちょっとウケますけど、森ノ宮のときはもう全然。
俺ら、どっちでもウケてない感じするよな。
金魚番長さんはどっちでもウケてますよ。
だから、『M-1』はそれぞれでがんばります(笑)。このふた組に強い絆とかはないです。
このチームには(ユニットを引っ張る)バッテリィズ寺家さん的な存在がいないですからね。
でも僕は、ほかのライブでも例えば炎がいたらネタ見ますよ。アドバイスとかはしないけど。
一回もしてない。
お互いのネタの魅力を聞こうと思っていましたが、難しいですか?
あ、それは言えますよ。例えば炎のネタには、ムダがマジで多い。僕らは削りに削ってるのに、例えば炎はすごい時間かけてムダなターンを入れてる。
本筋はしっかり示すんですよ。なのに無視して脱線して、で、終わる。
『コンビニ』とか『結婚のあいさつ』とか『上京』とか、こすられ倒してる設定をやって、そこでムダな時間を長く使う。そこに笑っちゃいます。
逆にね。でもたまにめっちゃいい大喜利ボケとかある。もったいないんですよ。
それがおもしろいですね。今そんな人、あまりいないので。
例えば炎さん側から見た、金魚番長さんのネタの魅力は。
まじめにいうと、ボケとツッコミ両方で常に80点以上の笑いを取ってる。
80点って嫌だな。
みんな、両方で笑いを取ろうとしてどっちかが疎かになるもんなんです。でもおふたりはスベってるのを見たことない。ほんまにどっちも80点。
なんかちょっとうれしくないんだよな。
100でいいだろ。
いや、100点になってるときもありますよ。平均が高いってことです。
例えば炎にネタ見られてると思ったことないけどな。
見てますよ!
勉強してますよ、後輩なんで。
することないだろ。
だとしたら参考になってない。活かされてないよ。田上に至ってはマジでゼロだよ。
田上は本当に0点。
……。
だから僕ががんばって200点出そうとしてるんですよ。金魚番長さんは80点。
お前、ナメてるだろ(笑)。
僕らと例えば炎の共通点って、どこかナメてるとこだと思うんですよ。でも、僕らネタではナメてないんです。平場とか接し方はナメてますけど。
ナメてるところが別だけど、お互い、おナメ合っているんですね。
おナメ合ってる……? いや、けどふたりのネタは本当におもしろい。
僕らも金魚番長さんのこと尊敬してますよ。
『UNDER5』で優勝候補と言われて大トリで出て、本当に優勝していったのは本当にすごいですよ。僕らも「優勝あるかも」と言われて、大トリで出て散ったので。
『大ライブ』、『マイナビラフターナイト』、『UNDER5』と3回も優勝してるのはほんまにすごい、勝負強いですよね。僕ら優勝したことないんで。
田上は、優勝しないよ?
え、俺『M-1』はあると思うよ。
決勝は行くと思うよ。一緒に行ったら嫌な相手だよ。でも優勝は……。
やってる僕らが一番わかりますよ! 無理ですよ。
いや、『M-1』はある。意味わかんないから新しいもん。
そうか、あるか、優勝。
おふたりは優しいからこう言ってくれますけど、僕はわかります。山を見たら登れるかどうか。
登れない?
登れないです。
まあ、ふたりなら最下位でもいいしね。
そっちのほうが似合うかもしれない。
先輩たちを頼りに、ふた組にしかできないライブを

8月13日にはIMM THEATERで行われる東西のよしもと漫才劇場合同ライブ『オールマンゲキTOKYO』第一部でふた組がMCを務められますね。
僕らが芸人を始めたころ、マンゲキのイベントって見取り図さんとかロングコートダディさんがMCをやっていた記憶があって。今や大活躍している方がやるものというイメージがあるんで、純粋にうれしいです。
劇場に認められているといううれしさもありますけど、責任があるぶん、僕らにしかできないような盛り上げ方をしていきたいと思います。
大阪の劇場では「なんでお前らやねん」みたいな空気になってます。僕らは一番下なので、もし失敗したら選んだ人が悪いと思いながらやります。
頼りにしている先輩は?
誰がいましたっけ?
前田(壮太)さんと大山(和也)さんからなるカラタチさん。
成り立ちから覚えてるの? 僕らはもう、みんな頼りにしてます。古市が一番頼りにしてない人は?
頼りにしてない人? えーと、ニッポンの社長のケツさんじゃないですか。
適当に言いすぎですよ!
例えば炎さんが頼りにしている先輩は?
僕ら基本的にだい、えーっと……。
尊敬?
あーそれ、尊敬できる、お任せできる先輩ばっかりで。
よくわかったな。タキノ「だい」って言ってたよ?
タキノってまじで基本的な言葉を忘れたりするんすよ。
でもやっぱりジョックロックさんとcacao君とは……。
cacao君?
師匠の言い方しちゃった。この3組はともに「翔」(※芸歴8年目以下)メンバーなので、一緒に盛り上がっていきたいなと思います。
ツートライブさんとダブルヒガシさんがおったら大阪は大丈夫です。
フースーヤさんもいるし。
たしかに余裕だ。
あと、大山さん。
頼りにはならないだろう、正直。
どんな細い隙間も入っていける。僕が入れない細い隙間に。
体はね? ガンガン前出る人じゃないし、こっちが呼ばないと来ないよ? まあ、僕ら第一部のMCなので、ここでコケないように。
スタートをしっかり切りたいですね。
最後に、『例えば金魚』はこの先どうなっていきそうですか?
どうなっていくんやろう。
定期的に続けて、大きくしていきたいですね。
どっちも、ハプニングが起こるコンビなので。
ふた組の動向を追いながら楽しんでもらいたいです。

『オールマンゲキTOKYO』第三部でMCを務めるアイロンヘッド×ツートライブのインタビューは、明日8月7日に公開予定。第二部でMCを務めるカベポスター×エバースのインタビューは『お笑いナタリー』で公開中!
『オールマンゲキTOKYO~漫才劇場×渋谷×森ノ宮×神保町の4劇場から大集結!巻き起こせマンゲキ旋風~』
2025年8月13日(水)
第一部(MC:金魚番長&例えば炎):開場11:30/開演12:00/終演14:00
第二部(MC:カベポスター&エバース):開場14:30/開演15:00/終演17:00
第三部(MC:ツートライブ&アイロンヘッド):開場17:30/開演18:00/終演20:00
会場:IMM THEATER
金魚番長×例えば炎は『Quick Japan』vol.179バックカバー&特集にも登場
8月8日(金)発売の『Quick Japan』vol.179のバックカバー&特集にも登場したふた組。東西漫才劇場の「翔メンバー(芸歴7年目以下の劇場メンバー)」の代表として、対談を行った。
『爆ぜろ、ニュ―スタア』と題した本特集は、8月13日(水)にIMM THEATERで行われる『オールマンゲキTOKYO~漫才劇場×渋谷×森ノ宮×神保町の4劇場から大集結!巻き起こせマンゲキ旋風~』の特別企画。本ライブでMCを務める金魚番長と例えば炎が、ライブに向けた意気込みなどを語る。

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