2025年7月4日(金)に公開された11人組グローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」のドキュメンタリー映画第2弾『JO1 THE MOVIE『未完成』-Bon Voyage-』。
7月18日(金)からは、JO1メンバーによるスペシャルトークを副音声で聴きながら鑑賞できる【副音声付き上映】もスタート。
『NHK紅白歌合戦』3年連続の出場や東京ドーム単独公演を達成し、さらにワールドツアーを実現させた今のJO1が目指す“TOP”とは。その一端をのぞくことができる、『-Bon Voyage-』のレビューをお届けする。
目次
着実に歩んできた“Go to the TOP”
「この11人でがんばっていきましょう!」「誰ひとり欠けちゃいけないチームに」──この映画は、メンバーへのメッセージを伝える、11人のあどけない青年の姿から始まる。5年前の2020年2月、デビューを目前に控えたJO1だ。今とは別人のような初々しい口調と佇まいに、「5年間で人はこんなに変わるのか」と驚いてしまう。
2022年3月公開の前作『JO1 THE MOVIE『未完成』-Go to the TOP-』では、コロナ禍にデビューしたJO1が、ファンと会えない苦しさを乗り越えながらもひたむきに研鑽を重ね、2021年11月に幕張メッセで行われた初有観客コンサート『2021 JO1 LIVE “OPEN THE DOOR”』にたどり着くまでの道のりが描かれた。
今作『-Bon Voyage-』は、主にそこからのJO1に密着し、彼らの5年間を総括するようなドキュメンタリー作品である。2022年から直近2025年までのJO1の活動を振り返ると、数々の華々しい功績が並ぶ。2022年から3年連続での『NHK紅白歌合戦』出場に、2023年から2年連続での『日本レコード大賞』優秀作品賞へのノミネート。
2023年には京セラドーム大阪での単独公演と4都市をめぐるアジアツアー、2025年にはアメリカを含む世界6都市でのワールドツアーを行い、4月にはついに東京ドームでの単独公演を実現した。
さらに冠ラジオ番組『JO1のオールナイトニッポンX』は4年目に突入し、メンバーそれぞれがドラマや映画、アニメで主演を果たすなど、個人の活動も充実の一途をたどっている。まさに彼らが掲げる“Go to the TOP”を叶えるような道のりを、着実に歩んできたように思える。
與那城奨「世界でライブをするだけじゃ意味がない」
しかし『-Bon Voyage-』では、その裏でメンバーが抱えていた葛藤や不安が明かされる。2023年5月、『LAPOSTA 2023』終了後の楽屋でアジアツアーと京セラドーム公演の開催を崔信化(チェ・シンファ)社長から知らされてメンバーが喜ぶなか、川尻蓮は「もうコロナを言い訳にできない」とばかりに、何かを覚悟したような神妙な表情を浮かべていた。
また本編中に、普段は穏やかでポジティブなリーダー・與那城奨が、たびたび不安を正直に吐露することも印象的だ。彼は海外での公演が増えていく状況を喜びつつも「世界でライブをするだけじゃ意味がない。それをどんどん大きくしていって、続けることに意味がある」「ワールドツアーが発表されて、僕は最初に険しい道だなと感じました。僕たちは圧倒的に実力が足りないし、海外での経験値がなさすぎるので」と、驕らない言葉を何度も紡ぐ。飛躍の瞬間にも浮つかず、地に足を着けて一段ずつ慎重に上がってきたからこそ、JO1がどんどん高みにたどり着いてきたことがうかがえる。
「JO1っておもしろくて。ホームよりアウェーのほうが闘争心が燃えるし、厳しい環境のほうがみんな強くなる」というのも與那城の言葉だが、それを象徴するシーンが、2023年の初アジアツアー開幕の地となったジャカルタ公演での一幕だ。
「Venus」のパフォーマンス中、トラブルで音が止まってしまうのだが、メンバーは誰ひとり動きを止めることなく歌い、無音の中でシンクロダンスを続ける。そしてJAM(JO1のファンネーム)も大きな声で歌い、そんな彼らをサポートする。一つひとつの舞台に全力で臨み、逆境でさらに強くなるJO1の姿に、心を揺さぶられる名シーンだ。
ライブ後、佐藤景瑚は笑顔で「もうどんなアクシデントでもかかってこいって感じです!」と笑顔で語っていた。目標をひとつ叶えても、また新たに自分の中で情熱の炎を灯し続けるJO1。尽きることのない貪欲さが彼らの“Go to the TOP”を支えていることが、この映画からはよく伝わってくる。
監督から向けられた“JO1への愛とリスペクト”
『-Go to the TOP-』で稲垣哲朗監督が撮影に入ったのは、デビューから約1年後のタイミングだったそうだが、『-Bon Voyage-』では、前作を経てJO1と心の距離を近づけた稲垣監督が、ゼロから彼らを切り取ってきた時間が収められている。そのため、よりいっそうメンバーの核心に触れているような感覚を何度も覚えた。
インタビューパートはニューヨークの街中で撮影されているのだが、メンバーは軒並みリラックスした表情。『-Go to the TOP-』のときに稲垣監督から「最後まで裏側の白岩瑠姫を見せない、本当にプロフェッショナルな人」と言われていた白岩瑠姫も、今作では素の表情をさらけ出しているように見える。
また稲垣監督からJO1への愛とリスペクトも、随所のカットに滲んでいる。『-Go to the TOP-』のラストにも登場した、JO1とJAMを象徴するように並んで空を飛んでいく鳥たち。レコーディング室にさりげなく残された「LOVE JAM」の落書き。何度も差し込まれる、ライブ前のメンバー全員の円陣。メンバーが積極的に意見を出し合ってライブの演出を完成させていくアツいリハーサルの様子。──JO1の人柄と強固なチームワークを伝えるようなカットが、丁寧に差し込まれている。
また、世界各国でのライブ会場でJO1に熱狂するオーディエンスの様子を臨場感たっぷりに見られることも、メンバーの体験を共有できるようで、うれしいポイントだ。

大スクリーンと豊かな音響で体感すべきライブシーン
JO1の最大の強みと魅力は、渾身のパフォーマンス。「この映像を観るためだけでも、劇場に足を運ぶ価値がある」と感じたのが、オープニングを飾る「BE CLASSIC」のライブ映像だ。
5万人のJAMでぎっちりと埋め尽くされた東京ドームを完全に掌握し、命を燃やすようにパフォーマンスする11人の姿。大人数のダンサーを従えての大迫力のステージ構成、ダンサーにリフトされて背中から後ろに倒れ込む川尻の描く美しい放物線。彼らの5年間を凝縮したような迫力のステージは、映画館の大スクリーンと豊かな音響で目撃すべきものだろう。
6月22日に行われた完成披露試写会でも、このシーンについて豆原一成が「デカいスクリーンで観て『JO1カッケー!』と思いました」と興奮気味に語っていた。このほかに盛り込まれているライブシーンはどれも、JO1のパフォーマンスにおけるエネルギーを巧みなカメラワークでリアルに体感できるものばかりである。
メンバー全員が作詞に参加した「Bon Voyage」
今作の副題「Bon Voyage」は、川尻、木全翔也、河野純喜が「ライブの最後を飾る曲が欲しい」という思いで作曲し、メンバー全員が作詞に参加したファンソングのタイトルだ。
川西拓実が制作した「HAPPY UNBIRTHDAY」がライブの定番曲となるなど、メンバーはこの3年間で楽曲制作やプロデュース能力を着実に高めており、劇中で大平祥生は「メンバー主体で楽曲を制作していくのはこれからの未来のかたち」と話している。メンバー自身が制作した楽曲が映画を貫くテーマとなっているのも、JO1の進化を感じられるポイントだろう。
どこまでも追求するその“未完成の旅路”
『-Go to the TOP-』の舞台は練習室と幕張メッセが大半を占めていたが、『-Bon Voyage-』でJO1の世界は一気に開き、観客を世界中へ連れて行ってくれる。『-Go to the TOP-』のラストで佐藤は、「(TOPとは何か)わかんないです。でも、わかんないからおもしろいですよね。それを探しに旅に出てるんじゃないかな。それをみんなで見つけに行く物語です」と話していた。
“旅”というキーワードは、今作での河野の「ひとつの船に乗って、お互いに違う夢を持っているけど、その夢は絶対にジャマしない。そういう掟がJO1の中にある気がする。それぞれのトガった部分を全員が信頼しているし、トガった海賊たちが集まって旅している」という言葉と、「Bon Voyage(=いい旅を)」に重なる。
映画の最後には前作『-Go to the TOP-』と同じく、「Go to the TOPとは?」という質問が11人に投げかけられる。その回答は相変わらず色とりどりなのだが、どこか迷いながら答えていた3年前に比べると、それぞれの顔に確信が滲んでいるように感じられた。
ワールドツアーを実施したら、東京ドームに立てたら、はたして“TOP”なのか? 人はつい到達点を据えたくなってしまうが、JO1の物語はいつまでも完成することがない。「Bon Voyage」には「描いた未来 全てを正解にして 果てなき道 僕ら突き進もう」という歌詞がある。どこまでも追求するその“未完成”の旅路こそが、彼らの目指す“TOP”なのかもしれない。
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