2025年3月31日をもって解散することを発表したお笑いコンビ・パンプキンポテトフライ。ふたりの最初で最後となるメモリアルブック『パンプキンポテトフライ解散記念本「卒業」』には、ふたりのロングインタビューをメイン企画に、芸人仲間からのコメントや『パンプキンポテトフライの剣』レポートなどを収録する。
本稿ではそんな『卒業』のロングインタビューから、学生時代に出会ったふたりがパンプキンポテトフライになるまでの話の一部をお届けする。

谷拓哉(たに・たくや)1992年1月7日生まれ、兵庫県出身。ツッコミ担当
山名大貴(やまな・だいき)1991年8月20日生まれ、兵庫県出身。ボケ担当
ターニングポイントはラグビー
──今日はおふたりの出会いからの歴史を振り返っていただければ。
山名大貴(以下、山名)最初は高校の同級生です。高校2年生のときに一緒のクラスになりました。
谷拓哉(以下、谷)一番仲よかった友達ですね、普通に。
山名 最初に見たんは1年のときのラグビーの球技大会でした。なぜか毎年ラグビーをやる高校なんですけど、すっごいガリガリですっごい小回りの利いたトライをしてるやつがおって。そいつが谷やった。
谷 ガリガリってだいたいラグビーで活躍できないのに(笑)。
山名 だから2年で同じクラスになったときに「あのトライの速いやつだ」ってのは思いました。
谷 山名は当時、めっちゃチビやのに眉毛剃っててすごい目つきで、キレた顔みたいなんで歩いてたんすよ。「なんなんその態度。だいぶ強ないとおかしいで」って思ってた(笑)。
山名 思春期はやっぱヤンキーのほうがかっこいいっていうのあるじゃないですか。僕たちの高校はすごい勉強のできるところで、まわりにヤンキーみたいな人もあんまいなかったんで、「ここならいけるかも」みたいに思って。でも、こいつも見た目はギャル男みたいでしたけどね。
谷 細くて金髪でパーマあててた。ギャル男っていうか40ぐらいでまだギャルやってるおばさんみたいでした。
──それって校則とかに引っかからないんですか?
谷 金髪も私服もオッケーの学校やったんです。校則がほぼなくて、バイトも別にいいぐらいの感じやった。
山名 2年の最初のホームルームで、金髪パーマのこいつがひとりだけ遅れて入ってきたんですよ。すごい腰パンで蛍光のパンツがめっちゃ見えてて。
谷 どこまで下げられるか、ってやってたからな。
山名 で、膝ぐらいまであるベージュのカーディガンを着てて。そこまではチャラい感じやったんすけど、エナメルバッグのヒモも一番長くして引きずって入ってきたんです。そこだけよくわからんかった(笑)。
谷 ズボンは下げたほうがかっこいいやろ、とかはいけたんすけど、カバンって何がかっこいいのかわかんなくて。そこだけミスってました。
山名 それを見たのが出会いで。だから最初は「こいつあんま好きちゃうかも」って思いましたね。
──そのあと、仲よくなるようになったきっかけがあったんですか?
山名 なんやろな。普通に席が近くて話すようになったとかだと思います。
谷 俺がめっちゃ覚えてんのは2年のときの球技大会。やっぱりラグビーなんすけど僕らのクラスめちゃくちゃ弱かったんですよ。屈強なやつ誰もいなくて。なのに山名だけなぜか熱なってて、向こうのラグビー部みたいなでっかいやつにバーンって突進してったんですよ。
山名 やってました。盛り上げようと思って。
谷 そしたら開始5秒で相手のひざがアゴかなんかに入って失神して倒れたんすよ。それで好きになりましたね。
山名 それでじゃないやろ(笑)。
谷 こいつめっちゃおもろいやん。最高やんって。

チューにまっしぐらだった山名と手もつなげなかった谷
──そのころはどんな話をしていたんですか?
谷 なんやろ。お笑いも俺が知らんかったし、野球の話とか。あと、学生なんでベタに好きなやつの話、付き合ったとか別れたとかチューしたとかいう話をしてましたねえ。
──おふたりとも学生時代はモテる感じでしたか?
谷 モテましたね。
山名 まだそこいきたい? もうよくない?
谷 普通よりちょっとモテました(笑)。
山名 まじめな子が多い中で谷はちょっと異質な存在だったんですよ。部活とかも全員入らなきゃいけなかったんですけど、谷は高1の途中で辞めて帰っちゃってて、イケてるやつみたいな感じやった。だからちょっとモテてたかもしれない。
谷 進学校のぬるい環境でトガってたんすよ、ひとりで。
山名 でもチューするとかそんなやつじゃなかったよな。
──モテてたのにですか?
谷 なんか潔癖で当時は手もつなげなかったんです。気持ち悪いというか、汗とか触りたくなくって、チューしたいとかまったく思ってなかった。学校から一緒に帰るくらいでじゅうぶんというか、そのへん異常に遅れてたと思います。だから山名が彼女できたとき「お前、彼女と店行って飯食ったん!?」ってビビって。
山名 普通やろ(笑)。俺はチューに向かってまっしぐらだったんで、手つなげたら次の日みんなに言うとかそんな感じでした。
──高校生男子としてはそっちが普通ですよね。
谷 だから悔しいふりとかしてました。「いいなー」とか言って。でもマジで興味なかったですね。硬派とかでなく、ただの潔癖で。
──すごく谷さんっぽいエピソードな気がします。
谷 でも今めっちゃエッチ好きなんで。今みんなより好きです。
芸人の道へ、山名からの誘い
──お笑いを目指すことになってからのお話も聞きたいです。
谷 高3で山名に「受験しないから一緒にお笑いしよう」って誘われました。進学校なんで俺らふたり以外は全員進学したんですけど、俺も受験だるなってたんで「いい口実できたな、乗っかるか」って。
──そもそも、どうして進学校の高校に行ったんですか?
山名 中学レベルでは勉強できたんです。田舎なんで、その高校行ったらおじいちゃんおばあちゃんは鼻高々みたいなことは子供のころから言われてて、じゃあ行けるから行こうって感じでした。
谷 僕らの田舎だと「兵庫高校行って神戸大学行くのが理想形」っていうのがあって。うちも姉ちゃんがふたりいてめちゃくちゃ勉強してたんですけどその高校入れなくて。僕は普通にやってたんですけど成績的に全然入れたんで「お前らバリあほやん、余裕やったで」っていうのを家族に見せたくて行ったというのはありましたね。
──入ってみたら「なんか思ってたんと違うな」みたいなことはなかったですか?
谷 なかったですね。僕は普通に勉強してたし大学も普通にやったらたぶん行けてたので思ってたとおりでした。学校楽しかったし。
──山名さんは高校の勉強についてくのがちょっと大変だったという。
山名 そうですね、勉強は1年でついていけなくなってもうええわ、と思ってしまって。高校生活自体はむっちゃ楽しんでたので休まなかったです。学園祭とか大好き。
──具体的にお笑いの道に行こうと決めたのはいつごろだったんですか?
山名 お笑いは昔から好きでやりたかったんですけど、決めたのは進路希望を出せって言われたときですかね。それこそ神戸大学行って市役所で働いてみたいな道とはちゃうことやりたいなと思って。俳優とかミュージシャンはやっぱ顔がかっこよくないといけないけど、芸人は顔かっこよくなくてもなれるし目立てるしっていう……。
谷 それだいぶブスのやつのエピソードやで(笑)。お前そんなにブスちゃうで。楽器とかできんかっただけやろ。
──そのときに一緒にやるなら同じ高校の谷さんでと声をかけた。
山名 同級生でNSC入ったみたいな話とかやっぱり憧れるじゃないですか。ちょうどマンガの『べしゃり暮らし』も流行ってて。それで谷を誘ってみたら「ええやん」ってなったんで。
──でも谷さんはあんまりお笑いに興味はなかったんですよね。
谷 『M-1グランプリ』とかバラエティとかまったく観んと育ちました。お父さんが好きな『Mr.ビーン』とかを観てたくらい。山名はクラスで劇をやったときにも40人くらいのセリフとかを考えてたんで、「こいつはそういうのできんねや」と思ってました。俺はそんな知らんけど片方できたらええやろって感じでしたね。
──山名さんから見て、お笑いの話とかはしなくても谷さんはおもしろい人だなと思ってたんですか?
山名 そうですね、まわりの友達を見ても谷は異質だったというか。あんまりこういう感じの人がいなかった。
『Quick Japan presents パンプキンポテトフライ解散記念本「卒業」』
発売日:2025年3月31日(月)
価格:2,200円(本体2,000円+税)※送料別
仕様:A4判/36ページ
発行:太田出版
販売:QJストア(https://qjweb.myshopify.com/)ほか
※内容は予告なく変更する場合があります

『ちょっと間のお金ほしいからやる解散ライブ』
2025年3月31日(月)19:00~20:00
会場:牛込箪笥区民ホール
配信:2,000円 ※アーカイブは4月7日(月)23:59まで
配信チケットの詳細はこちら

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