候補者の人生が詰まったクリエイティブ審査がスタート。ちゃんみな「自分の歌詞を伝えることに集中している姿に泣きそうになった」【『No No Girls』レポート#5】

候補者の人生が詰まったクリエイティブ審査がスタート。ちゃんみな「自分の歌詞を伝えることに集中している姿に泣きそうになった」【『No No Girls』レポート#5】

文=奈都樹 編集=森田真規


YouTubeの総再生回数は5億回を超え、若い世代から絶大なる支持を得ているラッパー/シンガーのちゃんみな。そんな彼女が、SKY-HIが主宰するレーベル/マネジメント「BMSG」とタッグを組んで始動したオーディションプロジェクト『No No Girls』。

「今までいろんなNoって言われてきた人たちを救いたい」と、本オーディションのプロデューサーであるちゃんみなは宣言。そして、ここから生まれるガールズグループに所属するアーティストには、以下3つの“No”を求めるという。

No FAKE(本物であれ)
No LAZE(誰よりも一生懸命であれ)
No HATE(自分に中指を立てるな)

2024年11月1日にYouTubeにて配信された『No No Girls』Ep.05では、3人1組のグループによるクリエイティブ審査に挑むDチーム(ASHA、CHIKA、MAHINA)の様子が映し出された。

【No No Girls】Ep.05 / 4th Round -Face yourself-

最年少MAHINAがつかみ取った4次審査への道

4次審査合宿当日。会場に集まっていたメンバーは突然歓喜の声を上げる。MAHINAが姿を現したのだ──。

4次審査への通過はできなかったMAHINA。だが、あとから「ラップで3.5次審査を受けてみない?」とちゃんみなから提案され、急遽特別に審査を受けることになっていた。ラップ経験はほとんどないMAHINAだが、彼女の歌唱には才能を予感させるものがあるという。

そんなちゃんみなの期待どおり、MAHINAはラッパーとして成長を遂げていた。追加審査で、Rei©hi「UCHIRA」を披露すると、ちゃんみなは「すごいじゃん!」とまずひと言。即答で「ここまで楽しんでやってくれたら、なんで合宿に来ないんだって感じだからね。合宿で会いましょう」と、3.5次審査通過を告げた。

こうして21人の候補生が合宿場所に集合した。あとからちゃんみなが現れ、今回の審査は3人1組のグループによるクリエイティブ審査だと告げる。全員に役割が持てるように、あえて少ない人数にしたようだ。

本審査では、まず与えられたトラックに、メロディと歌詞をつけてレコーディングを行い、その後、各チームでステージ用の振り付けも考えていく。審査本番は15日後。チームは以下に振り分けられた。

■Aチーム
KOKO、KOKONA、SARA
■Bチーム
AIKO、JEWEL、HIBIKI
■Cチーム
KAEDE、KOHARU、MOMO
■Dチーム
ASHA、CHIKA、MAHINA
■Eチーム
JISOO、STELLA、MOMOKA
■Fチーム
SAYAKA、NAOKO、FUMINO
■Gチーム
AMI、KOKOA、YURI

ASHA「自分が過去に言われて思ったことをラップにしたい」

本配信では、DチームとEチームのトラックが明らかになった。ちゃんみないわく、この2チームには経験者とすでにスキルがあるメンバーを入れているという。そんな彼女たちに与えられた課題はヒップホップ。

今回トラックを提供したのは、JP THE WAVYやBAD HOPなどにも楽曲提供している人気プロデューサー・JIGGだ。ちゃんみなが「超スーパーハード」というように重くシリアスなビートになっている。トラックを聴いた候補生たちは、自分ならどう表現するだろうかと想像しながら少々興奮しているようだった。

ここからはチームのクリエイティブに移る。Ep.05では、Dチームに密着した。

まずはチームで話し合うことに。ラップ歴5年のASHAとすでに歌の実力があるCHIKAはすぐに案を出し合う。福岡出身のふたり。なんと同じ事務所で練習生を経験したこともあるという。その横で作詞作曲の経験がゼロのMAHINAは焦っていた。ふたりの話についていくので精いっぱい……と顔を曇らせる。自分たちのパートは各自で考えることになり、「大丈夫かなって感じなんですけど……」と不安そうだ。

一方、ラップ歴が長いASHAは熱が入っていた。「サビの雰囲気だけ先に決めたいかも。前の感じと被りたくないやん。ここが一番重要やけん」「歌詞をつけたい、ASHAが」「CHIKAちゃんがメインでメロディを取って……」とリーダーシップを取っていく。

過去には大手事務所に6年間、研究生として在籍していたASHA。しかし事務所から低音ラップは受けないと“No”を突きつけられていた。そうした背景もあるのか、今回の曲作りについて「自分が過去に言われた言葉とか、言われて思ったことをラップにしたい」と意気込む。そんな彼女の作詞ノートにはこうメモされていた。

<I got money/ハイクラスの wake on my way/口はさむな/邪魔者 あっちいけ/誰 I know No No/You Know No No/誰×4>

CHIKA<命かけて歌っとうったい>

合宿2日目。さっそくプリプロ(レコーディングに向けて曲の構成などを大まかに決める作業)へ。たった1日という短い時間で作った歌詞を、ちゃんみなに披露するメンバーたち。

まずCHIKAのパートを聴いたちゃんみなは、そのクオリティに驚く。「めちゃくちゃいいよ。なになに? ラップできるじゃん!」と興奮気味。

どうやらクオリティが高いのはCHIKAだけではないようだ。後日ちゃんみなは、候補生を急遽収集してリモートミーティングを実施。「みんなの感じ見ていると、できるじゃんと思って。5日間短くしますね」と、当初の予定よりも審査を早めると報告した。

急ピッチで楽曲の精度を高めるべく、Dチームはまずそれぞれが歌詞に込めた意味を共有することに。

「今まで事務所に入っとったり、オーディションに落ちることが多かったけん……」

こう語るのはCHIKAだ。中学3年生から大手事務所に所属していた彼女だが、契約を切られて事務所を転々としていた。ときには体型に“No”を突きつけられることも。オーディションにも何回も落ち続けていた。そんな経験を重ねるたび、彼女は自分で自分にダメだと言い続け、心は弱くなっていった。

そんなCHIKAは、現在福岡を離れて父親と東京でふたり暮らしをしている。趣味は父とのカラオケだ。本配信にはカラオケでデュエットをしているシーンも映されていた。

「CHIKAはネガティブなわけじゃない。ただ慎重な努力家なんだ」と彼女の父は言う。それは彼女をそばで見てきたからこその言葉に思えた。そんな父親が娘に望むことはただひとつ。

「自信を持ってほしい。自分が思っているほど自信をなくす必要もない」

チームで作詞について話しているなか、CHIKAは自分が作詞した中で<命かけて歌っとうったい>という一節がお気に入りだ、と照れくさそうに説明していた。作詞ノートを見ると、その一節を強調するように丸で囲い、横には「大事!!」「目!!」とメモがつけられている。

MAHINA「CHIKAちゃんに助けられた」

話し合いを終え、再びダンスの練習を再開する3人。MAHINAはやや遅れを取っていた。

「自分の歌詞にどういう思いがあるのか感情を入れて歌わんと」「雰囲気がない」「歌詞に対しての気持ちが見えない」「忘れるってことは自分の体に定着してない」「自分の歌詞を感情にしたら自然と手ぶりが出る」

ASHAはMAHINAへの指導に熱が入ってしまう。こうしたらもっとよくなるはずだという彼女なりの思いやりによるものだが、そのストレートな言葉の数々にMAHINAはすっかり萎縮していた。

合宿5日目の夜。CHIKAがふたりに話を切り出した。

「MAHINAはめっちゃ心細かったと思う。CHIKAは(ASHAの)その言い方ちょっとキツイんやないかなって思ったこともあったけど、MAHINAがインタビュー行ったあとに、ASHAと話していたら『MAHINAはこうやってやったほうがいいと思うんよね』とかすごい真摯にめっちゃ考えとるんよ。本当にMAHINAのためを思って言っとるし……」

CHIKAはふたりの様子を気にしていた。彼女の言葉を受けてASHAは焦るように、「ごめんね。言い方へたやけん」と謝る。続けて「この見た目だけん、ちょっと暗い言い方しただけで怒っとうって感じる人もいるけど、本当にそんなことマジ思ってないし。MAHINAちゃんがこうしたほうが絶対いいと思うことをただ言っただけだし……本当にごめん。マジで申し訳ない」と重ねる。MAHINAもそんなASHAの気持ちをすぐ理解してか「全然大丈夫!」と繰り返す。

みんなでいいパフォーマンスをしたいという思いが高まるあまり、いつの間にかそれぞれの思いは複雑に絡まっていた。そんな中で、CHIKAのフォローがその絡まりを解いていく。MAHINAは「CHIKAちゃんがいなかったら私はどうなっていたんだっていうぐらい助けられた。感謝しかないです」とスタッフに語っていた。

本番に向けて課題が残されたASHA

そして、レコーディング当日。CHIKAとMAHINAはプリプロから成長を遂げていたようで、ちゃんみなはいい反応を示す。では、ASHAはどうだろうか。

実は前日に、ちゃんみなからこんな提案を受けていた。

「ASHAの今の歌い方だと寿命が短い気がするんだよね。声帯的にも負担がかかるし、元の声をだいぶ変えちゃっているから。元の声がすごく素敵だからさ、あんまり毛を生やしすぎず。期待しているからこそ、やってみてほしい」

ASHAは迷う中でレコーディングを迎えていた。

自分なりの方法で歌い方を変えて歌うASHAだが、ちゃんみなの目つきは険しい。歌い終えるとまず「歌詞を見せて」とひと言。渡された歌詞ノートを確認しながら「何を言っているか全然わからなくて」と指摘した。特に気にしていたのは、ラップにおける英語の発音だ。

「<sorry>って言いたいんだったら(これだと)“ソリ”ってなっているから……」「<sorry>で一回声帯を閉じなきゃいけない」「意味をちゃんと伝えるのは最低ライン」「歌詞を変えなきゃいけない。自分で発音できないんだったら」「喉をいちいち閉められてる感じ」

やや厳し目なアドバイスが次々と出てくる。ラップ歴が長いASHAには少々こたえるようだ。返事は徐々に弱々しくなっていく。そんなふたりのやりとりに場の空気は張り詰めていた。

ちゃんみなからブースの外で練習するように指示されたASHA。ほかのふたりが順調にレコーディングを進めるなか、彼女は壁に向かって何度も何度も歌い続ける。しばらくして再びレコーディングへ。指摘された箇所はかなり改善したように聴こえるが、ちゃんみなはOKとは言わなかった。

「よくなった。けど本番はもっとがんばってほしい。もっと大げさにやらないと聞こえないから」

本番に向けて課題が残されたASHA。思わずスタッフに、「自分の中ではできていると思ったんですけど、いざやってみたらできないことだらけだった。そこに気づけてない自分にも、ラッパーとして向いていないのかなと不安に変わった」とこぼす。しかしそんなネガティブな気持ちに負けまいとするかのように、本番を楽しみにしているちゃんみなを裏切りたくない、ちゃんと結果を出したい、と最後には決意を示していた。

ちゃんみな「泣きそうになった」

いよいよ本番。Dチームの番がやってくると、ちゃんみなは、「来たよ、強強チームが」と期待を募らせる。

そしてASAHの呼びかけでトラックが鳴り始めた。不穏なピアノの旋律が空気を変える。まずはCHIKAのパートだ。力強い熱い眼差しで、時折目をガッと見開きながらこうラップする。

<は? おい 目を覚ませ/おまえが逃した人材/悔しさに火をつけ拍手喝采/見た目で評価 後悔され/怯える体重増加/ママに掛けて毎晩cry/「命かけて歌っとうったい」/おかげで自分でも嫌いになりそう/But “NO” からくる才能 おまえらをKO/You say No say No のたびに上がる知名度/おまえもその程度?/道を開けろ>

続いてASHA。CHIKAとは対照的に冷ややかな目線を向けながら気持ちをぶつけてくる。

<2024 きざむ I’m like a 忍者/下手なことしないほうがいいじゃん/知った気なった大人がButtin/sorry 聞く耳ない I’m selfish missy yeah/まだ18 その声じゃ boring/ってお前の心に火をつけるよ burning/中身ないマネごとは easy easy/耳奥までゆらし make money money yeah>

最後にMAHINA。両手でマイクをつかみ、まるで祈りを捧げるように歌い始めた。

<神を信じた/いつでも笑ってごまかして/人を信じた/わたしを一人にしておいて/Don’t decide how I feel/でも No No 大丈夫/I know know myself 過去の弱い自分よ good bye>

Dチームのパフォーマンスに観客席からは歓声が止まらない。ちゃんみなは両手を頭に当てて驚愕。彼女たちも手応えを感じたようで、パフォーマンスを終えるとつい小躍り。普段クールなASHAも思いっきりはしゃいでいた。

ちゃんみなは、「素晴らしかったです」とまずコメント。CHIKAが自分の実力によるプレッシャーにも負けず、「本番で音を逃しても自分の歌詞を伝えることに集中している姿に泣きそうになった」と言う。課題が与えられていたASHAも、ラップ経験ほぼゼロのMAHINAも、それぞれとてもよかったとし、最後に「お見それいたしましたって感じ。めちゃくちゃ素晴らしかったです」と絶賛した。

オーディション中、プレッシャーで不安な表情を浮かべていることも多かったASHA、CHIKA、MAHINA。そんな彼女たちが、パフォーマンスが終わってからずっと、喜色満面にあふれていたことに胸を打たれるものがあった。

こうしてEp.05は終了。次回Ep.06も引き続き4次審査の様子が配信される予定だ。

【『No No Girls』Ep.06配信予定】
■2024年11月8日(金)20時~

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奈都樹

(なつき)1994年生まれ。リアルサウンド編集部に所属後、現在はフリーライターとして活動しながら、クオーターライフクライシスの渦中にいる若者の心情を様々な角度から切り取ったインタビューサイト『小さな生活の声』を運営中。会社員時代の経験や同世代としての視点から、若者たちのリアルな声を取材している。

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