写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
カルチャーが生まれる場所

第98回。
表参道から原宿方面へ大通りを下り、左手に見えたシャネルを越えたらそこはキャットストリートの入口。
おしゃれな生物がしのぎを削り、渋さを極めていく学生時代憧れの地である。
とにかく欲深く、人気の少ない古着屋の門を叩き、時にはポールスミスで背を伸ばし、怯えながら入るストリートカルチャーショップ。
さまざまなジャンルがひしめくこの原宿は数日では追いきれないほどの魅力であふれている。
自分の麺好き志向が育まれたのも、ここでおしゃれにステータスを振りすぎた代償だろう。
いつも滅亡覚悟の買い物を終えては、できるだけリーズナブルかつボリューミーな麺類を摂っていたから。
いったい私は、この通りを何往復したのだろう。
感覚では地球1周分は過ごした気がする。
地球は広いなぁなんてありきたりな感想を抱いた海外旅は幾度か経験したことはあるが、この原宿はもはや宇宙だ。
ほんの一角で生まれたさまざまなカルチャーは世界を股にかけて愛され、根強いファンが何世代も受け継いで熱中している。
この小さくとも強大なエネルギーの根源がここ原宿なのだ。
人間の可能性の発信地なのだ。
ソレガココハラジュクナノダ。
『Myuto Morita Exhibition “SIKI”』
2024.5.8 Wed.-5.13 Mon.
KATA(LIQUIDROOM 2F)東京都渋谷区東3-16-6
open 13:00-close 20:00 ※5.13 Mon.のみopen 13:00-close 18:00

NAOYA(ONE N’ ONLY)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。