いつの時代も恋愛ドラマは、私たちの胸を躍らせてきた。サブスクが主流となった今は、最新作から思い出の作品まですぐにチェックできるように。フジテレビドラマの名作がたくさん配信されている「FOD」も、年末年始のお供として多くの人々へ“ときめき”を届けてくれるだろう。
そこで今回は、普段からYouTubeなどで恋バナに花を咲かせているぼる塾の3人に、フジテレビ恋愛ドラマについて語ってもらうインタビューを敢行! それぞれが挙げた推し作品のラインナップからは、“とある共通点”が見えてきて……⁉
大人になってさらに響く『大奥~華の乱~』
みなさんの、フジテレビ恋愛ドラマの推し作品を教えてください。
あらすじ
江戸時代、将軍に仕える大奥の女性の愛憎を描く『大奥』シリーズ第3弾。時は第5代将軍・綱吉(谷原章介)の時代。大奥の権力は綱吉生母・桂昌院(江波杏子)に集まっていた。側室・お伝の方(小池栄子)は桂昌院のお気に入り。徳松、鶴姫と二児の母である。京は鷹司家から輿入れた正室・信子(藤原紀香)にはまだ子がない。公家出身の信子は出自の低い桂昌院、お伝の方とは敵対関係にあった……。
メインは徳川綱吉と安子(内山理名)なんですけど、私の推しカップルは柳沢吉保(北村一輝)と染子(貫地谷しほり)。この取材の話をいただいて改めて観返したんですけど、とにかく柳沢が悪いヤツなんですよ! 「こんなにも最低かね!?」と。
でも、「じゃあ目の前に現れたら惚れないのか?」って聞かれたら……「やっぱり好き!」と言ってしまう(笑)。“悪い男の色っぽさ”みたいなものが、この作品はすごく出ているんです。
特に私の好きなシーンは、柳沢は出世のために悪いこともたくさん企むんですけど、染子と一緒にいるときだけは安らぐ……みたいなシーンがあって。「染子を愛しているんだろうな」っていう顔が見えて、こちらも安心できるんです。でもその一方で、あんなに大事にしていた染子を、上様にあてがうんですよ!
このふたりの悲しい結末はぜひ観てほしいです。最後はもう、号泣です。私、子供のころからそのシーンが忘れられなかったんですけど、大人になって観返したらより心打たれました。
大人になってから観返しても、やっぱり“柳沢推し”だったんですか?
そうですね。子供のころは「なんで染子はこんなヤツのこと好きになるの?」っていう気持ちもあったんですよ。でも大人になると、逆にちょっと染子の気持ちがわかるというか。染子には柳沢しかいないから、ああいう状況になっちゃうんだろうなって。
私も年末年始は『大奥』を観るって決めてるんですけど、ちょうど『~華の乱~』だけまだ観てなくて、あんりと話が合わないんですよ(笑)。あんりは『~華の乱~』だけでしょ? 私はもっと最初のほうのシリーズを観てるから。
『大奥』ってほかのシリーズと話はつながってないの?
出てくる将軍が違うからつながってないんだよね。だから、そのシリーズだけ観ても話はわかるの。
「ここまでお金かけるんだ!?」っていう映像美も本当に素晴らしいし。あとさ、絶対蝶々が飛んでるんだよね(笑)。
『東京ラブストーリー』に学ぶ、対照的な“いい女”像
私の“推し恋愛ドラマ“は『東京ラブストーリー』です。
あらすじ
田舎から東京の会社にやってきた若者・永尾完治(織田裕二)は幼なじみの関口さとみ(有森也実)が好きだった。しかし関口は永尾の同級生・三上健一(江口洋介)に心惹かれていた。カンチ(永尾)は同じ会社で知り合った赤名リカ(鈴木保奈美)から一途に愛を打ち明けられ、その恋愛は成就するように見えたが……。
私の世代のドラマではないんですけど、短大の授業で見たんですよ。ジェンダーの授業だったんですけど、鈴木保奈美さん演じる赤名リカの生き方にすごく興味を持ちました。
それまでのドラマに出てくる女性とは全然違って、「時代を変えたな!」っていう感じの主人公なんです。いつも元気でストレートで明るくて、バリバリのキャリアウーマンみたいな。でもね、リカとまったく違うタイプの、ゆるふわ系の女性も出てくるんですよ。「みんなに守ってもらいたい♡」みたいな。ちょっと名前忘れちゃったんですけど…。
そうだ、関口! 関口にめちゃくちゃ腹が立ったシーンがあったんですよ。
完治とのデート中にクリームソーダのさくらんぼを食べるんですけど恥ずかしくて“ペッ”って種を出せないから飲んじゃったって。でも完治はそれを「かわいい」って思うんですよ。「かわいいわけないじゃん、種ぐらい出しなよ!」って思いません(笑)!?
当時、好きだった人に「こういう女どう思う?」って聞いたら、「うーん、かわいい」って言われて、「くぅ〜〜〜!」ってなって(笑)。本当に関口って、“ちょうどムカつくイイ女”なんですよね。
恋愛ドラマにおいて、“ムカつく女”が出てくるのって大事だからね。
そうそう、そうなの! 関口がいることで物語が動くから。あと、この時代はスマホとかがないから、すれ違いがとにかく多い!
完治とリカがご飯の約束をして、完治の会社のデスクにメモを置いておくんですね。でもそのメモの上にいろんなものが置かれちゃって、完治はメモに気づかないんですよ。今だったらこんなすれ違い、絶対ないのに。
こういう切なさって、もう体験できないじゃないですか。簡単に人と会える時代だからこそ、私は『東京ラブストーリー』を観ていただきたいですね。
LINEの返信が遅いぐらいじゃ騒がなくなるかもしれないよね。「こんな時代もあったんだ」って。
正直、リカに共感できる人はいないかもしれないんですけど(笑)、元気はもらえます。でも身近にいたら、私は絶対仲よくなれない。
だからこその主人公なんだと思う。ある程度自分勝手じゃないと、あそこまでの恋ってできないから。だから結局、私たちってモブで、ああいう女が憎いわけ。
うわぁ〜、クソッ(笑)! でもたしかにリカに憧れてはいる……!
不倫を美しく描くだけじゃない『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』
私の“推し恋愛ドラマ”は『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』です。
あらすじ
ある日の午後、紗和(上戸彩)はレジ打ちのパート帰りに勤務先のスーパーで無意識のうちに口紅を万引してしまう。その一部始終を見ていた利佳子(吉瀬美智子)が紗和にそのことを黙っている代わりにと持ちかけてきたのは、不倫のアリバイ作りへの協力だった。利佳子はドライに不倫を繰り返す「平日昼顔妻」。「幸せ」を守るために利佳子の要求に従う紗和。その過程で紗和は高校教師の北野(斎藤工)に出会い、次第に北野のことが脳裏から離れなくなり、やがて越えてはいけない一線を越えてしまうことに……。
『昼顔』って不倫のドラマなんですよ。絶対にやっちゃいけないことなんですけど、演者さんの力や撮り方もあって、美しく観えてしまうんですよね。
映像がキレイなんだよね。上戸彩さんと夕方が似合いすぎてて。「あんなに夕方にキレイな人いる!?」っていう。
そうそう。いけないことしてるとわかりつつ、どうしても裕一郎(北野)に惹かれてしまう紗和が、もどかしくて切ないんですよ。
お互いの夫婦同士で急に「お茶しましょう」みたいなシーンがあるんですけど、そのときすでに紗和と裕一郎は関係性があったので、他人のフリをするんです。でも、裕一郎がほかのふたりに見えないように紗和の手を握るんですよ。「大丈夫だよ」って言ってあげたかったのかなって。
私は逆に、あのシーンが大嫌いなの(笑)。紗和ってずっと被害者ぶるんですよ。「手なんか、つないでんじゃねえ!」って思っちゃう。
でも私が『昼顔』を好きなのは、キレイな映像で不倫を描いてるかと思えば、紗和の夫のお母さん(高畑淳子)が不倫について話したりすると、急に現実に引き戻されて、いい意味でキレイじゃなくなるんですよ。その切り替えがすごく好きです。
今まで美しく見えていた不倫が、滑稽に見えてくるというか。この見せ方、めっちゃすごくないですか?
「不倫ってキレイじゃないんだよ」というのを作品の中で見せてくれるからこそ、はるちゃんがさっき言ってたようなシーンがより輝くんですよね。『昼顔』を観て、不倫したいと考える人って、いないと思うんですよ。ちゃんと憧れないようにできてるんだよね。
そうそう! 絶対にしちゃいけないんだって、思わせてくれる。
うまくいかないほうが共感できる
実はこのインタビュー、「恋愛ドラマって胸キュンするし最高だよね!」という内容になるのかなと予想してたんですけど、みなさん胸キュンというよりも、複雑でうまくいかないお話のほうがお好きなんですね。
そのほうが共感できるのかもしれない(笑)。やっぱり私たちって、切ない女が好きなんだよねぇ。
恋愛でもがいている登場人物を観ると、恋してるだけでなんでもがんばれちゃうんだなって。なのに今、恋してないのにがんばれてる私ってなんなんだろう……(笑)?
そうだよね! 恋したら私ってもっとすごいんだろうな。
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