コンビ結成から7カ月で2025年、『M-1グランプリ』で準決勝に進出した大王と、2023年の『M-1グランプリ』でベストアマチュア賞を受賞し、2025年にプロデビューを果たしたナユタ。これからの活躍が期待されるふた組は、現在よしもと漫才劇場の芸歴8年目以下が所属する「翔(かける)メンバー」として、同世代の芸人とともに日々切磋琢磨している。
「翔メンバー」全員集合で、2カ月に1回開催される『Kakeru翔グランプリEAST』では、彼らの“今の強さ”がそのまま試される。2026年度、総合2位が続いている大王。一方、ナユタは新しいことに挑戦しながら、先輩たちに食らいつく方法を探している。ふた組がこの戦いで勝ちたい理由、そして注目のライバルを語る。
大王が1位を撮りたい理由
『翔グランプリ』、ここ最近大王さんが調子いいですよね。(※取材は7月に実施。大王は2026年度、4、6、8月総合2位)
ただ、総合優勝できてないですね。
阻まれてます、イチゴに。2回連続で2位でした。
どうしても1位を獲っておきたいんです。今年は3月にNGK(なんばグランド花月)で1年間のネタバトルのチャンピオンが集まる『THE BEST OF MANGEKI』があって、それに出られたんですよ。ただ、そこのコーナーで『翔(かける)総選挙』のベスト10発表もあって。もし、今年度も同じように『THE BEST OF MANGEKI』があったら、『翔グランプリ』の1位を獲っていないと、総選挙の順位発表のためだけに行くことになりかねない。それが怖すぎる。
そのためなんですか? 貪欲に1位が欲しいだけかと思ったら……。
僕ら前回、『翔総選挙』のためにNGKに呼ばれて、「やったー」でしたけど。
お前らはいいさ。そこでトガってたら嫌な感じしちゃう。
1年目でそれはフレッシュだし、NGK立つのもうれしいでしょ。でも俺たちの芸歴でこの見た目で「ネタつまんないけど人気です」って、NGKに立つのは恥ずかしすぎる。
俺なんて翔メンバーの芸歴でもねぇし、13年目だし。やべえよ。
もし1位を獲れなかったら、お客さんに嫌なことをいっぱい発信して、『翔総選挙』のトップ10に入らないようにがんばります。
それはそれで来年、戦いにくいな!
逆に1位獲れればそのあとは如実に手抜いて、下ネタとかやります。その悲劇を味わう人が減るように、連覇しないようにしてあげたい。
1位が多いほうがNGK立てる芸人が増えていいもんね。
もしくはイチゴのネタに出てくるワードを先に出して、イチゴをスベらすネタをやるかもしれない。第三者が1位を獲るように……。なんにせよ1位獲れたら、よそに道空けてあげるフェーズに入ります。
じゃあ早く獲ってほしいです。

2025年にコンビ結成、2025年の『M-1グランプリ』では準決勝に進出。写真左から山内仁平(やまうち・じんぺい/1996年6月3日生まれ、東京都出身)。渡辺ポット(わたなべ・ポット/1995年4月26日生まれ、埼玉県出身)
今の1、2年目はおもしろさが違う
ナユタさんにとって『翔グランプリ』はどんな大会ですか。
上の人たちが強い中で、ようやく勝つことにちょっとずつ照準を合わせられるようになってきた感じですねえ。
そうですね。急に同期が上位にランクインしたり、「俺らもがんばんなきゃ」と思ったりして、ちょうどいい刺激度合いというか。出るたびみんなネタが強くなってると思います。
大王さんからナユタさんはどう見えてますか。
かわいい……。
もはや一緒のラインに立ててないじゃないですか。
でもめっちゃすごいなって思います。ナユタだけじゃないですけど、自分が1年目2年目のときと比べて、本当に今の子は優秀だなと。
何が違います?
おもしろさが違う。僕なんてライブ月1、2本で、本当にパチンコしかしてなかったんで。
テンポはラタタッタ(※渡辺ポットの前コンビ)のほうがよかったですけどね。
いや、当時はテンポもよかったかわかんないよ。
あれのテンポなしだった……!?
ヤバいだろ?
でも正直、翔の中でも大王さんとかイチゴさんあたりは一個抜けてる感じはありますね。そこにどう食らいついていくかみたいな感じです。
いや、そんなことはない。『M-1』でいったらナユタはアマチュアのときから準々決勝進出してたし。僕らはセミファイナリストだけど、準々と準決勝一個の違いで、そんなに大きな差はないと思っています。

学生時代に出場した『M-1グランプリ2023』で、準々決勝に進出し、ベストアマチュア賞を受賞。2025年4月1日より吉本興業に所属。写真左からホリコシ(2003年3月25日生まれ、東京都出身)。おのはら(2001年5月11日生まれ、宮城県出身)
大王の戦術は、あえてブスになる
「これをやっておけば『翔グランプリ』で勝ちやすい」という方法などは見つかっています?
『翔グランプリ』でやる予定のネタは、その前まではあんまりやんなかったりしますね。お笑いライブにいっぱい来る人が来てくれると思うんで、初見のネタのほうがいいかなと。
目の肥えてるお客さん相手にネタをやる難しさがある。
そういう意味では最初の出番のほうが新鮮味あって、ウケやすいとかあるかもしれないです。
あと賞レース用の衣装を着て、お客さんをピリッとさせるという手はあります。「この人たち勝ちたいんだ? 推そう!」となるので。
ポットさんは対策ありますか。
ないです!
潔いですね。
あ、1個ありました。その日、僕のブスいじりが1カ所あるネタをやったんですけど、髪をセットしなかったです。セットしちゃうとカッコよくなって、ウケが減る気がしたんで。「俳優さん出てきた」みたいな空気になるじゃないですか。
どこがですか?
賞レース用のブスの状態にしてね。
普段の寄席はセットするけどね。イケメンで出たほうが喜ぶから。
そんなバカじゃないですよ、見てる方も。
まあ、お客さんからしたら「賞レースみたいに臨んでる」と見えるほうが楽しいと思うんですよ。
ナユタさんは攻略法あります?
大王さんに比べて結果出てないですからね。わかってないです、僕らまだ。攻略できるようになりたい。
何度か『チャレンジバトル』(※『Kakeru翔グランプリ』の下位メンバーと、オーディションライブ『サバイバルステージ』を勝ち上がったメンバーとの入れ替え戦)にも落ちたりもしてますよね。
2回行きました。でも個人的には、新しいことやってあんまりうまくいかなくて、改善点がわかったというか。そこは収穫と捉えて、マイナスで終わらせないようにしてますね。
『チャレンジバトル』は負けると劇場メンバーではなくなっちゃうんで、明確に攻略法を実践してる人もいるんですよ。小虎さんっていう先輩なんですけど……。体調不良で休むという。
インチキじゃねえかよ!
昔のシステムのときは、たしか18回連続くらいで休んでました。コロナ禍でりょうさんが2回コロナにかかると、今度は福井(祐樹)さんをコロナにかけて、そうすると冬が来るんでインフルエンザにかけて。
どんだけ休んでんだよ。そもそもなんだよ、「かけて」って。
攻略というより延命ですよ。
でも小虎さんがそれを繰り返したことで、2回連続休みだと降格というルールができました。
対策練られてんじゃねえかよ。
運営にルールを変えられちゃう。つまり、小虎さんは大谷翔平なんです。
コロナとインフルエンザの二刀流。
いいように言うんじゃねえよ。ネタがんばれよ。
『翔グランプリ』は挑戦的なネタが見られる

『翔グランプリ』で「ここに注目すると、さらにおもしろくなる」というポイントはあります?
個人でいうとしんやさんですかね。『翔グランプリ』始まって以来、ずっと同じネタをしている。細かく変わってるのかも?と思わせておいて、細かくも変わっていない。変わっていたとしたらミスなんで。
それでウケてるんですか?
これがウケてもないです。8年間同じネタやってるのに、こないだタイムオーバーしてました。
どれだけウケてないか、生で観てほしいよな。ライブとしては、全員が出る平場はいいかもしれないです。あんな大人数が並ぶの、あんまり観られないんで。
あとネタね。『チャレンジバトル』のような入れ替え戦だと、スベるのが怖いから前と同じネタをやる人はいるんですよ。でも『翔グランプリ』は置きにいくというよりは、みんなチャレンジしてる感じがあって、そこはおもしろいんじゃないかなと。
みんな勝負ネタをちゃんとやってると思うんで。
お笑い好きな人だったら、『翔グランプリ』だけ来てもおもしろいかもしれないですね。2カ月に1回でちょうどいいし。
そういえば僕も、大学生のときは大阪いたんですけど『翔グランプリ』だけ観に行ってました。
現在も大阪で行われている『Kakeru翔グランプリWEST』も気になります?
僕はたまに動画で観てます。同期がどんぐらい上に行ったか、どんなネタやったか気になるので。
僕は毎回配信を観ていて。大阪のほうが急に勝つみたいなことがありますね。たとえば、『チャレンジバトル』で上がってきたばかりのトップバッターが、急にその部の1位を獲るとか。最近だと電気ジュースとか、ちあきとか。
ちあきが同期なんですよ。
東京大阪を問わず、「世にそんなに見つかってないけどおもしろい」というマンゲキ所属の芸人はいます?
僕は彼岸花と銀鬼です。最近、彼岸花がめっちゃ好きなんですよ。ああいう不良みたいな大阪の後輩はいいですね。
東京なんですけど、『チャレンジバトル』にたまに行ってるぐらいの、同期の「序盤に」という男女コンビです。ハーフの女子と高校の同級生で組んでいて、キャラがすごい立っていて。劇場入ってくれたらガラッとカラーが変わりそうな気がする。
違います。こいつ、エロいから選んでいます。
たしかにマジでエロいです。でもハーフのミルクってほうが話すエピソードやふたりの関係性は本当におもしろいんですよ。ミルクが「水」って言ったら、相方のはなまきが水を買いに行かなきゃいけない。完全に上下関係ができているのに、でもそれが普通な状態で、こんなふたりあんまり見たことないなと思って。
今年から大学お笑いの同期がNSCを経て1年ずれて、めっちゃ入ってきたんです。そのメンバーと早く一緒にやりたいですね。
名前を1組もらっていいですか。
ストロングブルジュニアです。僕らを語る上では欠かせない存在で。
彼らなしではナユタはなかったかもしれないぐらいの。
アツいね。トリオだよね?
コンビです。
ポットさんは?
マジでごめんなさい。あんまわかんないな。
ストロングブルジュニアでいいでしょ。
そうします。トリオだろ?
全然わかってない!
あいつらがNSC現役生のとき、俺らライブのMCやってたから。
あ~そうだ! 31期のライブでMCやらせてもらって、全組ネタ観たんです。そこにおもしろいトリオもいたんだよ。
ミックストマトジュース。
そう! それもおもしろかった。みんなおもしろかった。
MCの先輩に「みんなおもしろかった」って言われるの、実はうれしくないんですよ。ピンポイントでこの人たちって言ってほしい。
じゃあ僕のおすすめはミックストマトジュースでお願いします!
お祭りの日、各々の過ごし方

よしもと漫才劇場では、8月13、14日に、大阪芸人も交えて『オールマンゲキ』が行われますね。東西のマンゲキメンバーが一堂に会してのお祭りイベントはどうですか?
僕、こういうのめっちゃ苦手です。大人数の楽屋がめっちゃしんどい。この日ばかりは学生時代思い出すんですよ。クラスの一軍が「みんなでやろう!」「打ち上げ行くよ~」と先導するような……。みんなのためにやってることはわかるし、それに協力できない自分の弱さにも打ちひしがれる日です。自分が大嫌いになります。
ネガティブだな。
それで早めに劇場入りすることは学びましたね。遅く来たら俺みたいなやつが座る場所ないし、話す相手もいないんで。ちゃんと早めに来て、端っこのイスをキープするのがカギですね。
ナユタさんはそういう空気は大丈夫なんですか。
僕らはわりとなんでも楽しめます。でも、僕だけで散歩してる間に、みんながご飯食べに行って取り残されちゃうときがあるんで、それだけ気をつけたいなと。

8月13日(木)『オールマンゲキTOKYO ~東京マンゲキの日~』
<第一部>12:30開場/13:00開演/15:30終演(150分)
<第二部>17:00開場/17:30開演/20:00終演(150分)
■出演者
<東京>
ダンビラムーチョ、蛙亭、滝音、九条ジョー、ケビンス、カベポスター、エバース、エルフ、9番街レトロ、イチゴ、しんや、ゼロカラン、ボブのコーラ、伝書鳩
<大阪>
黒帯、華山、翠星チークダンス、愛凛冴、ぐろう、ライムギ、九ノ段、シカノシンプ、釈迦虎、生姜猫
8月14日(金)『オールマンゲキTOKYO ~大阪マンゲキの日~』
<第一部>11:30開場/12:00開演/14:30終演(150分)
<第二部>16:00開場/16:30開演/19:00終演(150分)
■出演者
<東京>
今井らいぱち、さや香、ダブルヒガシ、ドンデコルテ、ミカボ、太鵬、めぞん・吉野おいなり君、インテイク、ヨネダ2000、金魚番長、大王、兄弟、イワサキ、ナユタ
<大阪>
豪快キャプテン、ドーナツ・ピーナツ、丸亀じゃんご、真輝志、フースーヤ、cacao、三遊間、空前メテオ、ジョックロック、例えば炎
会場:きゅりあん大ホール(品川区立総合区民会館)(東京都品川区東大井5-18-1)

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