吉乃「ODD NUMBER」「なに笑ろとんねん」:PR

歌い手・吉乃が“否定”したかった言葉、「主導権は私にある」と語る理由

2024.10.9

歌い手・吉乃が10月にデジタルシングル「ODD NUMER」「なに笑ろとんねん」を連続リリースし、メジャーデビューする。2024年1月に『1st COVER LIVE”カサブランカ“』を行い、さらに初めてのツアーとなった『2nd COVER LIVE TOUR”爪痕“』を完走した彼女。楽曲によって表情をガラリと変える歌声に魅了されながら、その素顔にも関心を寄せる人が続出中だ。

「自分以外のことを信じるのが苦手なのかもしれません」そう言う吉乃は歌い手としての新たな旅路を前にした今、何を自身の「軸」として歩を進めるのか。

吉乃
(よしの)歌い手。2019年2月より歌ってみたの投稿を開始。活動開始当初からYouTubeチャンネル上で披露しているカバー動画が好評を博し、登録者数は現在13万人を超える。2024年10月スタートのテレビアニメ『ひとりぼっちの異世界攻略』のOP主題歌に加え、同じく2024年10月スタートのテレビアニメ『来世は他人がいい』のED主題歌を務めることも決まっており、10月にポニーキャニオンよりメジャーデビューを果たす。

否定したかった言葉

メジャーデビューを控えて、今のお気持ちはいかがですか?

いいことかどうかはわからないのですが、特に緊張はしていないんです。実感が湧かないとまではいわないんですけど、生きていると不思議なことがあるものだな、と思います。ただ、もともと目の前にある現実だけを見てやってきたので、これからも歌っていきたい、という思いは何も変わっていません。

音楽に対しても、スタンスは変わらず?

音楽に対してはやれるだけのことはやりたいですし、自分が表現したいと思ったものができなかったら悔しい、がんばらなきゃ、という必死さはぶつけられるんですけど……。メジャーデビューが目標ではありましたが、ここがゴールではない。「ここからまた新しいことが始まるぞ」という気持ちですね。

新たなスタートを告げる「ODD NUMBER」が10月4日に、そしてその4日後には「なに笑ろとんねん」がデジタルリリースされます。

この2曲は私の中では“対”になる曲ですね。「ODD NUMBER」では、ロックな曲調に合うボーカルにしたかったのもあって、意識したのは力強さと少年っぽさです。あとは疾走感。拳を掲げて歌う感じや、駆け抜けていくイメージで歌わせていただきました。

一方で、「なに笑ろとんねん」は大人っぽいところに焦点を合わせて歌わせていただいています。作曲者のてにをはさんからも「母性があるイメージで」という説明を事前にいただきました。

「私は私でやらせていただきます」

以前、ライブのMCやSNSで「居ても居なくても変わらないなんてことなくなればいい」と口にしていたのが印象的でした。本当にそうだよな、と。

学生時代、すごく大切な存在だと思っていた友人に「吉乃って居ても居なくても変わらないよね」と言われたのがすごくショックで。とはいえ、誰かに話すこともできなくて。そんな悲しい気持ちを吐き出すために、歌い始めました。だから、当初は今の自分とは対極のバラードやわりと暗めな曲ばかり歌っていましたね。

立ち直るのも大変だったのでは?

すぐには立ち直れないですし、ただ時間の経過に身を任せました。同時に歌い手活動もスタートしていたので、その中で少しずつ「そうじゃない、そうじゃない」と思えるようになっていきましたね。

もうひとつ、吉乃さんは「爪痕を残すことに執着し生きている」ともおっしゃっていました。今年行われたライブツアーのタイトルも『爪痕』ですが、この想いは活動に対してどのように影響しているのでしょうか。

先ほどの「居ても居なくても変わらない」という言葉を自分の中でずっと否定したかったということもありましたし、歌ってみたやオリジナル楽曲もそうですけど、ネット上にずっと残るものじゃないですか。

インターネットという存在が今後消えることはないと思うので、自分の大好きな楽曲たちを自分が楽しんで歌うことをまず第一に、でも自分が生きた証がネットの海にこの先も残ると考えたらすごく素敵だな、という想いで活動しています。

活動をするなかで、ほかの歌い手さんの存在を意識されたところはあるんですか?

特にはないですね。その人にはその人のやり方があって、自分には自分のやり方がある、ということは活動を始めたときから徹底しています。

たしかに、軸が定まるまではまわりからどう見られるのか考えることはありました。たとえば、今はXやインスタで人間性を知ることが主流だと思いますが、文字を残すにしても、私が急に文末にハートマークをつけるのは少し違う。

でも、迷ったのはそれぐらいですね。文末に絵文字をつけるかつけないかくらい。もとからつけるタイプではないので、もうつけなくていいや、というのが定まってからは、わりと「私は私でやらせていただきまーす」みたいな感じでしたね。

今、SNSではたくさんの情報や思想があふれていると思うんですけど、そういった言葉に揺らぐことはなかったんですか?

ときどき揺らぎはありましたが、そのたびに自問をしていました。「これは自分に合っているのだろうか」「自分らしいだろうか」って。ポストしてみたものが違ったと思ったらひっそり消したり、ということはあります。たぶん、小さなところでは試行錯誤してきているとは思います。

逆に吉乃さんが「こういう人に歌を届けたい」という気持ちはあるんでしょうか。

本当に、ただただ自分が歌いたくて歌ってきたので、そういうのはなくて。私の中で、悲しい気持ちのとき、うれしいときに聴く曲って、それぞれしっかり決まっているんです。こういう状況の人に届けたいっていうよりは、こういう状況にいる人のその瞬間にハマればいいな、という想いはありますね。

人って、年齢を重ねていくじゃないですか。その中で、特定のフェーズに入る瞬間ってあると思うんです。人生の中でうまくいかないフェーズ、すごく楽しいフェーズとか。そんなふうに世界中の人のその一瞬一瞬に寄り添うかたちを重ねていけたらな、とは思ってますね。それでまた、十数年後にふと思い出して聴いてもらえたら、それはそれですごくうれしいです。

この先も活動の主導権は私にある

お話をお聞きしていると、吉乃さんはすごく軸がしっかりしている人なのかな、と感じます。自分のことをどんな性格だと思われているんですか。

最近、気がついたことがあって、自分以外のことを信じるのが苦手なのかもしれません。

全部自分でやりたくなっちゃうんです、できないくせに(笑)。もちろん、マネジメントの方々やスタッフさんのことは信じているんですけど、頑固なのかもしれません。

だからこそ、軸がブレないのかもしれないですよね。

自分のやりたいことや表現したいことは、自分のためにやる。自分のためじゃないと、きっとブレてしまうと思うんですよね。自分がやりたいからやる、そしてあわよくばその先にファンの方の喜びだったり幸せだったり、楽しさがあればいいなと思いますし、そうなれると信じています。この活動で一貫しているのは、「みなさんのために」というのは違うかな、ということです。私がやりたくてやっているし、だからこそこの先も活動の主導権は私にある、と思っています。

それでみんなが喜んでくれたらいいな、と思いますし、それはファンの方に対してもそうであってほしいと思いますね。今は「推し活」という言葉があって、そういう応援の仕方ってすごく素敵だと思っています。

でも、私は自分の人生を優先してほしいですし、「グッズを買うために消費者金融に行きます!」と言われたら「やめて!」って言います。そういう関係でないと、たぶん、どこかで「あなたのためを思って言っているんだ」とか「自分はこうであってほしいのに、なんでやってくれないんだ」とお互いになってくると思うから。

メジャーデビューがスタート、と言う吉乃さん。次に実現したい目標を教えてください。

街中で自分の歌を聴く機会が増えたらいいな、と思います。みんながみんな歌手を目指すわけじゃないですし、自分のこの先の将来を考えて音楽を辞めるという人もまわりにはたくさんいました。

でも私が辞められなかったのは、あまりにも音楽と生活を切り離すことができなかったから。音楽って、コンビニや有線、街のビジョンでいつも流れているものじゃないですか。もし辞めたとしたら、音楽をがんばって続けていたほうの自分をあきらめきれずに、狂ってしまうかも。

だったら続けよう、と思って今があるので、街中で自分の歌声を聴く機会があったらすごく感慨深いな、と思います。

「ODD NUMBER」

テレビアニメ『ひとりぼっちの異世界攻略』OP主題歌
2024年10月4日デジタル限定リリース

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「なに笑ろとんねん」

テレビアニメ『来世は他人がいい』ED主題歌
2024年10月8日デジタル限定リリース

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ふくだりょうこ

ライター。大阪府出身。大学卒業後、フリーランスとして活動。お酒と小説が好き。

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