総勢100組以上の芸人が所属する、大阪・よしもと漫才劇場、森ノ宮よしもと漫才劇場は、今また変化の時を迎えている。カベポスター、ダブルヒガシらこれまで劇場を牽引してきたメンバーが4月に上京し、7月末には頼れる存在だった芸歴18年目以上のメンバーがそろって卒業する。
劇場の景色がまた変わるタイミングに、『マンゲキカップ2026』が開催される。1日かけて2会場を行き来する“マンゲキの夏の風物詩”。7月25日(土)に開催される今回は、昨年に引き続きフースーヤ、天才ピアニスト、そして新たに豪快キャプテン、ジョックロックがMCを務める。毎回、お笑いライブでありながら、“勝負”としても大盛り上がりの“マンゲキフェス”。「ベテランMC軍」と「新MC軍」、それぞれのチームを代表して、フースーヤとジョックロックがフェスの楽しみ方から注目の芸人まで、たっぷり語る。
目次
フースーヤは世代をつなぐ架け橋的存在

田中ショータイム(たなか・ショータイム)1993年7月10日生まれ、兵庫県出身。写真左
谷口 理(たにぐち・おさむ)1993年5月1日生まれ、兵庫県出身。写真右
まずは漫才劇場の現在について聞かせてください。今年もたくさんの芸人さんが4月に上京されました。さらに7月末には、芸歴18年目以上となる方が卒業されます。劇場の雰囲気はどうですか?
僕らは「翔(かける)メンバー」(芸歴8年目以下)だからあまり変わらないですけど、フースーヤがいる「極(きわみ)メンバー」(芸歴9年目以上)はだいぶ変わったんじゃないですか。
今年上京したのは、僕らが2年目くらいで劇場に入ってからずっと一緒にいた人たちなんですよ。だからシンプル寂しい。カベポスターさん、ダブルヒガシさん、ツートライブさんなんて特に、何も考えずフラッと出るライブで、絶対いつも横にいた人らだから。
それをいったら、翔の俺ら、例えば炎、三遊間、cacaoあたりにとっては、フラッと出るライブに必ずおるのがフースーヤで。フースーヤって世代の架け橋やと思うんですよね。
明石海峡大橋やん。
たしかに、俺らがちょうどずっと真ん中におるんかもしれん。ふたつの輪っかが重なったところに。マスターカードのマークみたいに。
だからもしフースーヤがおらんようになったら、マンゲキ全体がロスになるんじゃないですか。
あと変化といえば、ツートライブさんとか、兄さんらが座ってた楽屋のソファに、最近はスナフキンズの松永ボディが座ってる。
呼び捨てすな!
ボディさんが虎視眈々と次のMC、次の番長を狙ってる気がします。
もうひとりややこしいヤツおるんですけど。センリーズ・テコンドー近藤。

あいつはズルいから、おる人選んで座っててん。吉田たち・こうへいさんがよう言うんですよ。「座るのは別にええ。寝転んでええのは、全国賞レース決勝進出か、関西の賞レース優勝してるヤツだけや」と。で、一回寝転んでた近藤が詰められて、「お前なんか優勝したんか?」って聞いたら「カブトムシ捕り大会で」って。
ほんま『ONE PIECE』みたいに、吉田たちさん抜けたらけっこう生態系変わりそうな気はするな。
吉田たちさんが抑止力になってたからな。
白ひげですもんね。
卒業してしまうのは、ダブルアートさん、吉田たちさん、祇園さん……。背中見てきた人らなんで。きついなあ。
兄さんらからしたら僕らがすべてじゃないけど、僕らからしたら兄さんらがすべてなんですよ。あと4回言いますけど、寂しいっすね。
喪失感あるよな。喪失感、虚無感、悲愴感。ジンギスカン。
オチました!
やっぱり気になる、バトルライブの順位

福本ユウショウ(ふくもと・ゆうしょう)1987年7月15日生まれ、大阪府出身。写真左
ゆうじろー 1998年1月26日生まれ、大分県出身。写真右
翔では最近何か事件はありますか?
翔メンバーであのソファに座るのは例えば炎・タキノルイくらいですけど、三遊間さくらいが、『ツッコミスター』(フジテレビ)の活躍で勢力を伸ばしてきてるので、あいつが座る可能性は十二分にありますね。さくらいは差し馬なんで、先頭は走らず最後に勝つタイプなんですよ。
あえて前走らせてるんや。
稲継(諒/三遊間)が泥だらけで走ってるところを抜いていくんやな。
フースーヤさんは『グランドバトルWEST』、ジョックロックさんは『Kakeru翔グランプリWEST』と、劇場のバトルライブにはどんな気持ちで取り組んでいますか?
降格もあり得るので、緊張します。
おもしろさで負けるとは思ってないけど、ネタが飛ぶ可能性もゼロではないんで。で、順位が下やったら「なんじゃい!」と思うし、ナメられる気もするし。だから上位獲りたいって思いますね。
気負いはないですけど、緊張するし、負けたら気ぃ悪いし、順位が下がったときは順位表を破きたくなりますよ。
強い人いますよね。翔では、ぐろうが異様に強いです。『Kakeru翔グランプリ』の戦い方をわかってる感じがしますね。あと最近だと彼岸花とかミケネ系とか、さらに若い世代がグッときてる感じ。
『グランドバトル』では一時期の20世紀さんすごかったなあ。
あと、マイスイートメモリーズさん。毎回アホみたいにウケてる。
『Kakeru翔グランプリ』より『グランドバトル』のほうが寄席っぽいよな。
空気が全然違う。なんばグランド花月の本公演みたい。
それはそれで戦い方が難しそうですね。
でも、対策を練れるほど我々そんな器用ではないので、やることは変わらないんですけど。
翔メンバーは、極よりもギラギラしてますよ。オーディションから上がって所属したばかりでも、ベスト10入ったら、寄席の出番が増えるので。僕らも劇場所属して初めての『翔グランプリ』で7位に入れて、すぐ寄席に呼んでもらって。この前までお客さん10人とかのライブにしか出てなかったのに、ミルクボーイさんおるぞ、みたいな。それは吉本の強みですよね。
僕ら、『Kakeru翔グランプリ』のおかげで今の立ち位置があると思いますし。
みんな気にしてますよね。貼り出された順位はけっこう見ますし。
たしかに、あれみんなめっちゃ見てるよな。
着替えながらちらっと見たりして。「別に順位なんか気にせえへんて」みたいなフリしながら。貼り出されんかったら待ってたりするし。
4人が今、注目している芸人
今、みなさんが漫才劇場メンバーで注目している人を教えてください。
僕は半年記念日。元スキンケア大学・YOSH!NO。
スキンケア大学の名前を言いたいだけやろ。

「スキンケア大学」が好きすぎて、「半年記念日」まだ好きじゃない(笑)。翔メンバーですけど、みんなから受け入れられてるらしいし、寄席の前説でもよう盛り上げてるし。楽屋でもYOSH!NOが中心になってる瞬間もある。ツッコミのあるともめっちゃ上手で、おもしろい漫才するんで、グツグツと噴火まで来てる感じがする。半年記念日には本当に期待しつつ、一緒にやっていきたいなと思いますね。『Quick Japan』で初めて知った方に調べていただきたい。
そんなに長い時間ボケへんの初めて見たわ(笑)。
逆にボケで言ってると思われるくらい。
僕はオニイチャンがずっとおもしろいと思ってて。去年『キングオブコント』でも準決勝行きましたし、『水曜日のダウンタウン』(TBS)の『30-1グランプリ』でもかなり評価されて、おもしろさが伝わりつつあるのかなと。ネタもおもしろいし、あとはこんちゃんのヤバさも伝われば、活躍できるんじゃないかなと思います。

僕は漫才めっちゃ見てまうし、おもろいなと思うのが、華山さん。にこらすさんが注目されがちやけど、ここにきてやすいさんがおもろなってきてもうて。ずっと努力してはるんやろうけど、マジで何もやってないように見える。
1日にポカリ8リットルくらい飲んではるしな。
一生二日酔いでおるし。にこらすさんも、離婚して何もなくなってからまたおもしろさが増して、やすいさんのポンコツ具合も伝わり出して、漫才もどんどんおもしろくなってきてるんで、華山さんは熟してきた感じがしますね。

僕は清川雄司。
いいねえ!

ずっとおもろいし、新しいことしてる。平場もめっちゃおもろい。
常に努力してるもんな。やすいさんの逆や。
逆やすい(笑)。
めっちゃトガってもいる。けっこう全部兼ね備えてるんちゃうかと思います。
あとは整えばって感じやね。でもほんま、スナフキンズさんの『NHK上方漫才コンテスト』(2023年)優勝と、清川くんの『UNDER5 AWARD』(2024年)優勝は忘れられてるよな。
あと華山さんの『ABCお笑いグランプリ』(2019年)優勝な。
それもめっちゃ忘れられてる!
全部俺らが拾うから好きにやれ
7月25日(土)には所属芸人をふたつに分けた対戦形式のイベント『マンゲキカップ2026』が開催されます。ジョックロックさんは「新MC軍」として豪快キャプテンさんとともに初めてフェスのMCを務められますね。
2年前、初めてフェスに出たときには自分たちのYouTubeで後悔と反省をしまくってた僕らがまさかMCをする日が来るとは。
そうですね。本当に光栄なことでございます。
かしこまりすぎやろ。
ここで満足せずにより精進して参りたいと思います。
リーゼントが言う口調やないやろ。七三にせえや。
ただ、心の底では僕らでもきっとできるんじゃないかと意気込んではいたので、そのプラシーボ効果で実現したと思います。
どういうことや、思い込みがよかったって意味か?
一方、フースーヤのおふたりは、天才ピアニストさんとともに「ベテランMC軍」チームを率いるかたちになりますが。
ベテランMCとしての背中を見せたい。と言いつつ、今回初MCのジョックロックさんと豪快キャプテンさんは、ゆうじろー以外全員先輩なんで。ふた組に甘えるところは甘えて、引っ張れるところは引っ張って。あとは、後輩たちよ、全部俺らが拾うから好きにやれよと。
僕の気持ちは、谷口と一言一句一緒です。
うそやろ!? だいぶ長くしゃべったで?
ベテランとか新米とか関係なく、おもろいこと言ったヤツ、やったヤツが勝ち。だから楽しみつつ、しのぎを削れたらと。切磋琢磨。呉越同ちゅう。
呉越同ちゅう!?
呉越同舟。霹靂一閃。
『鬼滅の刃』の(我妻)善逸のやつや!
画竜点睛。
もう意味わかってないやろ。まあ、僕は今ショータイムが言ったことと、一言一句同じ気持ちです。
マンゲキの武尊vs天心、二大スターのぶつかり合い
せっかくなので、フースーヤさんからジョックロックさんへ、フェスのMCについてアドバイスを。
ぜひ聞きたい。
ずっと出っぱなしやし、体力とか大丈夫かなって心配です。
ほんまに、気づいたらもう終わってる。休憩あると長く感じるやろ? 繁忙期のコンビニバイトと一緒。
もしくはクリスマスのピザ屋か。
ああ、たしかに。
MCいうてもただ笑ってるだけなんで。ただ、かつのぶさん(オーサカクレオパトラ)には気をつけなあかん。後半になってきたら、とんでもなく口臭くなるから。ベテランは早い時間に出しといたほうがええ。
福本さんはかつのぶさんとそんな歳変わらないんじゃないですか?
同い年や。勉強になるな……。
今回の『マンゲキカップ』の見どころは?
これはもう、「マンゲキ歌合戦」のナナ大二vs半年記念日YOSH!NOに尽きますね。ユウショウさんの親友である大二さんと、僕の親友であるYOSH!NOくんの対決なんで。
マンゲキの「武尊vs那須川天心」、『THE MATCH』。相当なメインコンテンツですよ、これは。谷口と俺、どちらが覇権を取るかの代理戦争。
マンゲキ二大スターのぶつかり合い!
大二さんは『大晦日大祭典2025』で大ハネした実績があるんで、ここがどうなるか。

最初のチーム分けではこのふた組が逆やったんですよ。それをわざわざトレードして、フースーヤさん側に半年記念日さん、僕ら側にナナさんが来た。
異例の措置含めて注目ですね。
ま、あとは総合的な見どころを説明しますと、一進一退。一騎当千。日進月歩。画竜点睛。霹靂一閃。
だからそれ『鬼滅』やって。
あと、勝ったチームには賞金もあるじゃないですか。俺、今まで一度も勝ったことないんですよ。
それはあなたのチームに毎回ネイビーズアフロがいたから。主にみながわがキングボンビーなんで。
ネイビーズアフロ、今年どっちや!?
(チーム分けを確認する4人)
ぃよっしゃ!
ああ……。
終わった……。でもうちのチームは「例えば炎がいるチームがずっと勝ってる」って田上(例えば炎)が言ってましたから、そこに賭けます。
勝ち負けにこだわる、お笑いを超える真剣勝負の場

お笑いのフェスやライブでの勝ち負けはかたちだけの場合も多いですが、マンゲキのフェスではみなさんかなり勝ちに本気なんですね。
以前のフェスで、テコンドー近藤さんとライムギのれんぺいは2カ月くらい引きずってケンカしてましたからね。
ポイントが決まるとこでボケるヤツにマジでムカついたりするもんな。
始めのほうはみんなお笑いなんですけど、中間発表のあとはもう「勝ち」しか考えなくなってくる。
そういう勝負のときのボケってほんまにウケんしな。お客さんも真剣に見守ってる。
歌合戦の判定に対してめちゃくちゃ盛り上がるし。
仕事ないヤツらからしたら、勝ち負けの賞金がバイト2日休めるかどうかの分かれ道だったりするから。マジな対決も醍醐味ですよね。
今回『マンゲキカップ』やけど、ワールドカップみたいになるかもな。誰かの1ミリが出るかもしれん。
ワールドカップさながらの熱が見られるんじゃないですかね。
それぞれのチームの注目株は?
こっちにはなんてったって苺ちゃんがいますから。
あとビーンズがいますから。
ビーンズは、道頓堀のライブで鍛え抜かれた英語漫才で、何年か前大ハネしたからな。
僕らのチームは……。
そっちにはひらがな2文字“しげ”がいますから。
(コンビ解散後、すぐに6月に劇場所属を果たして)フェスに体をねじ込んできたな。
ひとりでフェス出るんすごない? もう今のしげはタガが外れてるから。
ひとりになったしげさん、どうなるんやろ。
相当なヒーローになってくれるかもしれない。
毎年、フェスでハネる人が必ずいるんですよ。それまでそんなに注目されてなかった人がドカンとウケたりするんで、今年はそれが誰になるか楽しみですね。
毎年、絶対スターが出ますもんね。
去年の夏フェスではMVPをライムギのれんぺいに決めてもらったんですよ。「れんぺい、今日のMVPは?」と聞いたらドラムロールのあと「俺~!」って言って。えぐいぐらいスベったけど、1秒後に「なんかおもしろいんちゃうん?」となって、えぐいぐらいウケた。
史上初の遅れ笑い。一回笑いが潜ってん。
どうなっても最後に笑いになれば
ジョックロックさんとしては、初MCに際して、チームのメンバーにどう振る舞ってほしいですか?
どっかで場を自分のものにするんだという意気込みを持っておけば、うん、どこかに絶対チャンスが転がってくるんで、そこを逃さない。僕はかなり逃してきたんですけど。
そんなことないよ!
その意気込みだけは持っといたほうがいいんじゃないかなと思います。
で、俺が決めると?
そういうことでございます!
僕はまったく違う意見です。それぞれなんかええ感じでがんばってください。エゴを出さず、和を尊(たっと)んでほしい。
この、ジョックロックのチグハグさも楽しんでいただければ。
MC中にケンカしてしまうかもしれない……。
一緒にMCを務める豪快キャプテンさんとのタッグはどうですか?
僕は普通におふたりと仲睦まじくしゃべります。僕とベーやんさんにかかってるかもしれない。どれだけ愛嬌で乗りきれるか。
でも、ギャンゴリ(山下ギャンブルゴリラ)さん、べーやんさん、ユウショウさんにゆうじろーが詰められてる姿も容易に想像できるんですよね。
まあ、どうなっても最後笑いになればいいですよ!
全部そうや。
笑いにするためにみんながんばってるんや。
僕はこれを機に豪快キャプテンとチームワークを育んでいけたらうれしいですね。ギャンゴリは歳ひとつしか変わらんのに、いつも俺をジジイいじりしてくるので。
まあ、ユウショウさんジジイですからね。生で新撰組見たことあるんでしょ?
俺、池田屋におらんねん。
(坂本)龍馬の刺客じゃないんですか?
額斬ってないねん!
詳しいな!


公演概要
『マンゲキカップ2026~余った具材でチャーハンって、夏フェスっすよね~・・・んんん?!どのように?このように!山下さんもそう思うじゃろ?~』
2026年7月25日(土)
■劇場観覧
<第一部>13:30開場/14:00開演/17:00終演
<第二部>17:30開場/18:00開演/21:00終演
■オンライン配信(第一部・第二部セット)
<第一部>14:00開演/17:00終演
<第二部>18:00開演/21:00終演
※2会場からのリレー配信
会場:よしもと漫才劇場(大阪市中央区難波千日前12-7 YES・NAMBAビル5F)、森ノ宮よしもと漫才劇場(大阪市中央区大阪城3-6クールジャパンパーク大阪 SSホール)
MC:豪快キャプテン、天才ピアニスト、フースーヤ、ジョックロック
出演:大阪・よしもと漫才劇場メンバー
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