写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。
月曜日は、加賀翔(かが屋)が担当。コント師として知られる一方で、芸人仲間などを撮影した写真の腕前にも定評があり、インスタグラムのフォロワーは10万人以上を誇る。そんな彼が、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
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体調がわかるトリックアート
第15回。知らない人がふざけている写真を見て笑えることはあるし、逆にめちゃくちゃ知っている人ではあまり笑えないこともある。それと同じように僕のこの写真を見て笑う人はいるのだろうか。他人がふざけている写真はどのくらいの距離感だったら笑えるのだろうかと考えさせられた一枚。
先日、ロケで伺った建物のワンフロアが丸ごとトリックアート展になっていて、僕は恐⻯に食べられそうになっているように見えるトリックアートを楽屋として使わせていただいた。
トリックアートを楽屋として使わせてもらうというのは緊張する。なんかの拍子に飲み物をこぼしたり汚したりはいけないと思い立っていると、係の人がとても親切にしてくださり、同時にトリックの説明もしてくれた。
トリックアートを貸していただいている状況でトリックの説明を受けてしまったら、もう写真を撮らないわけにはいかない。賀屋がいればさっと撮れるのでまた話も違ったのだけど、このロケは僕だけだったのでかなり気まずかった。
ひとりでは難しいのでマネージャーさんにカメラを渡して撮ってもらう。おそらくこの位置この角度というポイントがあるのだろうけど係の人はバタバタとしていたし、僕とマネージャーさんで工夫しながら撮影したのだけどこれが精一杯だった。
全然ダメなのもあったりしてそれはそれでおもしろいなと笑っていたのだけど、ロケの合間というのもあり、カメラを構えるマネージャーさんのうしろを忙しそうにスタッフさんが通ったときは全然ウケてなかった。
誰がやってるかももちろん大事だけど、見る人の状況や気分で楽しさや何を感じるかは変わるし、これはいい判断基準になるなと痛感した。
恥ずかしかったのを自分の中で言い訳して納得させる。でも家に帰ってからパソコンに取り込んだとき、恐⻯に食べられそうな僕がずらっと出てきて笑ったし、もう少しおもしろくならないかとトリミングしたりコントラストを強めたり工夫している時間はとても楽しかった。相性がいいかもしれない。
いろいろ試した結果、この写真はドアップにしてひっくり返すのが一番おもしろかった。もしこれを見て全然おもしろくなかったら体調がよくないかもしれない。今日は大丈夫そう。
加賀翔(かが屋)、前田こころ&平井美葉(BEYOOOOONDS)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、林田洋平(ザ・マミィ)が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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