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つんく♂×CAMPFIRE家入一真「30人の経済圏を1万人にするにはどうするべきか?」コロナ禍で変化したカルチャーの未来【後編】

つんく♂×家入一真

文=安里和哲 撮影=須田卓馬 編集=高橋千里


つんく♂にオンラインコミュニティの魅力と可能性を聞くインタビュー、後編。

「なりたい自分になる、そんな出会いに」「クリエイターがファンとつながることで創作活動のための資金を継続的に得られるコミュニケーション」を掲げる「CAMPFIREコミュニティ」。プラットフォームを提供する「CAMPFIRE」の代表・家入一真との対談で、その挑戦の真意を聞いた。

【前編】つんく♂×CAMPFIRE家入一真「“いかがわしいもの”から革命が生まれる」。コロナ禍で変化したカルチャーの未来

30人を超えれば、1万人10万人に広がる可能性がある

──前編では、30人ほどの支援者が集まって月々10ドルでクリエイターを応援するコミュニティがたくさん生まれているクラウドファンディングサービス「Patreon(パトレオン)」の話題が出ました。

つんく♂ 30人くらいの小さいコミュニティの話でいうと、僕のアマチュアバンド時代も、「30人動員」がまず最初の目標でした。身内や友達以外のファンをどうやって30人集めるか。チケットを無料で配って30人来てもらうのでなく、あくまで「チケットを買って来てくれる人」が30人です。がんばってると26~27人までは行くけど、30人の壁がなかなか超えられないものでした。でも、ここを踏ん張って乗り越えると次は50人の壁、その次は100人の壁がやってくる。

つんく♂

不思議なもんで100人くらい集まると、最初の30人が「もういいや」って離れていくんですね。結果として、伸びたはずなのにお客さんが70人くらいにまで減っちゃう(笑)。動員が100人くらいで安定すると、次はライブハウスを満杯にする200~300人の壁がやってくる。

ここまでいけたヤツらは、プロになったとき成功する確率がすごく高いと思います。僕らは、この壁をひとつずつ乗り越えて、結果的に数バンド集まっての対バンイベントとはいえ、アマチュア時代に1000人以上動員することができました。アマチュアでここまでいければ、全国的なブレイクが見えてきます。要するにその道のプロのサポートによって1万人10万人というふうに広がっていく可能性があるということです。

家入 なるほど。

つんく♂ 当時の実感としても、いろんなミュージシャンを見てきた経験から言っても、30人の壁を超えたとき、経済圏が生まれてる。たとえ30人でも来たくて(観たくて)チケットを買ってくれたお客さんがいるということは、金銭以上のバリューがありますよね。クリエイターはまずその30人を作る。その30人を1万人にするのを得意とするプロもいますからね。

家入一真

家入 めちゃめちゃおもしろいですね。今のつんく♂さんのお話も“人集め”っていう意味では、CAMPFIREでやってるクラウドファンディングとも似てますね。クラウドファンディングも、最初は身内や友人が支援するんです。そのときはまだ経済とは言えないんですが、その先、友達の友達くらいまで広がって初めて経済が生まれる。

そうすると、クリエイターと無関係な第三者が「お金が集まり始めた良いプロジェクトがあるぞ」と興味を持ってくれる。そこの段階までいって初めて、目標金額が達成できるんです。

つんく♂ クラウドファンディングって、アイデアに対して価値を見出す文化ですごくおもしろいと思うし、日本でも定着してきていいですよね。

教え子であり、愚痴も聞いてくれる身内的な距離感がいい

──つんく♂さんは、どうしてオンラインコミュニティを始められたんですか?

つんく♂ 僕のつんく♂エンタメサロンはコミュニティメンバーが1000人ほど存在するので、ここまで話した“小さな経済圏”とはまた違ってて。エンタメにおける“師弟制度”を考え直す実験をしてるって感じかなぁ。

つんく♂

家入 師弟制度ですか。ファンクラブとも違うんですね。

んく♂ うん。リアルで弟子をつけようとすると、数人しか面倒見れないでしょ? 一方で、「音楽教室」的なことをやると、弟子じゃなくてお客さんになってしまう。じゃあどうしようってときに、オンラインコミュニティがおもしろそうだなと思ったんです。つんく♂エンタメサロンのメンバーは、お客さんとかファンじゃなくて、教え子的なイメージ。でも時には愚痴も聞いてくれる身内的な距離感。なので、「本来だったら企業秘密として教えられないようなテクニックやノウハウも伝授しちゃう」って感覚で。

さらにそれだけでなく、つんく♂エンタメサロンの場合は時には立場逆転して「○○について詳しい人教えて!」「○○の部分助けてください」とか、僕の知らない部分も補ってもらうという不思議なサロンです(笑)。

その約1000人の教え子の中でガンガン食らいついてくる子には、さらに仕事やプロジェクトを体感してもらって本人のスキルに変えてもらう。僕にとっても何かと手伝ってくれる子がいるのは助かるし、メンバーも通常手に入らない情報や経験が得られる。この「師匠と弟子でも時に逆転」という変なトライアングルでバランスを取ってくれるのが、僕にとってのオンラインコミュニティですね。

ただ、CAMPFIREコミュニティだと、コミュニケーションはFacebookありきですよね。今の若い子ってほとんどFacebookやってないから、学生がなかなか集まらないのは悩みやなぁ。ほかにもっといいコミュニケーション方法がないかな、とは思ってます。

家入 そうですねぇ。もうちょっと自由度の高い、全年齢に対応できるようなツールを用意するのは僕らの課題です。

そういえば、つんく♂さんはコミュニティで「中2映画プロジェクト」(※)も始めましたよね。コミュニティをスピンオフして新たな企画を生み出す動きは予想外でした。

※オンラインコミュニティ発のプロジェクト「超クリエイターズ革命!」の一環で行われている、「中2」をテーマにした青春映画製作プロジェクト。「ヒロイン」や「監督」、「脚本」も募集して一から映画を製作している。

つんく♂ つんく♂エンタメサロンのコミュニティメンバーがいろいろ手伝ってくれてます。正直どこまでいけるかはわからないですが、想像以上のリアクションがあるし、そもそも想定以上のクオリティを持った子たちがオーディションに参加してくれて、楽しみですよね。

今までだったら「これからオーディションやります」ってプロジェクトを立ち上げると、宣伝から何からものすごく予算がかかってめっちゃ大変でしたけど、この体制でもある程度の規模でやれてる実感はありますね。

つんく♂

──おふたりは、コロナ禍におけるクリエイターの資金繰りをサポートするプロジェクト「Dooon!」も立ち上げられています。

家入 CAMPFIRE側は今まで企画を投稿できるプラットフォーム作りに専念してました。でも、いろいろなプロジェクトを見るなかで「もうちょっとやり方を変えたらうまくいくのでは?」と思うこともあったんですよ。なので「Dooon!」では、プロジェクトを立ち上げて一歩踏み出す人と伴走していくシステムとして立ち上げました。つんく♂さんとご一緒できてうれしいです。

家入一真

つんく♂ 「クリエイターのアイデアに価値を見出して支援しよう」ってプロジェクトですよね。「つんく♂がやってるんなら、音楽クリエイター向けなんでしょ?」って思うかもしれないけど、青春感のあるクリエイティブな企画だったらなんでも応援しますからね。マジで「あなたのアイデア待ってます!」って感じです。すでに喫茶店も作れたので。

「こんなおもしろいものがあるでぇ!」って世間に広めたくなるようなアイデアだったら、どんなエンタメでもいいのでどんどん応募してください。「Dooon!」もオンラインコミュニティも、「なんか一緒にやろうよ」って気持ちでスタートしてるから、皆さんも「一緒にやってくださいよ!」って軽いノリで来てほしいです。

さっきも言ったけど、応援団を0人から30人までにするのってとても大変。でも、その30人を1万人に持っていくテクニックを持ったプロは世の中にいっぱいいます。そのプロたちに見つけてもらえる土俵に、才能(アイデアや企画)を引っ張り上げたいって思ってます。僕もそもそもはゼロを形にするところから始めた人間なので、世間のクリエイターの気持ちをわかってるつもりです。待ってますよ!

「CAMPFIREコミュニティ」とは

CAMPFIREコミュニティは、月額制のオンラインコミュニティを誰でもつくれるプラットフォーム。日本最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE」で集まった仲間とつながりつづけたいという思いから生まれた。これまでに4,500件ものコミュニティが作られ、ファンクラブをはじめレッスン、サロンや定期便など、さまざまなスタイルで運営されている。


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安里和哲

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安里和哲

(あさと・かずあき)ライター。1990年、沖縄県生まれ。ブログ『ひとつ恋でもしてみようか』(https://massarassa.hatenablog.com/)に日記や感想文を書く。趣味範囲は、映画、音楽、寄席演芸、お笑い、ラジオなど。執筆経験『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』『Maybe!』..

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