egg編集長・赤荻瞳 ストリートから消えたギャルが今いる場所

2020.1.20

構成=いつか床子 編集=森田真規


2014年に休刊した伝説のギャル雑誌『egg』をウェブで復活させたのは、当時21歳だった赤荻瞳さん。まったくの未経験からウェブ版『egg』の運営を軌道に乗せ、雑誌『egg』もクラウドファンディングで資金を集めて見事に復刊させた。
そんな彼女の「クイックジャーナル〜カルチャーからニュースを読む〜」第1回のテーマは、「『ギャルは絶滅』渋谷109のセシルが下した決断」(『プレジデントオンライン』2019年12月24日)という記事を起点にして考えた「ギャルの現在」についてです。

センター街からSNSへ。「絶滅」と呼ばれたギャルの今

ギャルは時代によって変化するもの

年末に「ギャルは絶滅」っていうタイトルをSNSで見かけて、内心「は? ふざけんなよ」と思いましたね(苦笑)。うちのeggモデルもすぐに「ギャル絶滅してないし」ってツイートしていました。私のなかでは「ギャルがいなくなった」のではなく、「今時のギャルが特定のブランドを選ばなくなった」という感覚です。

ギャル系雑誌の編集長をしていることもあって、まわりから「どういう格好をしてたらギャルですか?」と聞かれることがすごく多いんですが、今時のギャルはキャラもファッションの系統もまったく違います。GUを着るギャルもいれば、メイクが薄めのギャルもいる。昔のように、みんながみんな濃いメイクをして、厚底を履いて、ヒョウ柄やアルバ(ALBA ROSA)を着ているわけではないんです。

昔みたいに安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんといった絶対的なカリスマがいない、ということもあるのかもしれません。でも今はインフルエンサーが大勢いますし、ギャルに憧れている人に聞いてもそれぞれ違う人の名前が返ってきます。

私は、今のギャルは個性と自由の象徴だと思っています。自分のやりたいファッションにすごく貪欲で、ブランドはあまり気にしない。海外の通販サイトから人と被らない奇抜なアイテムを見つけてくることもよくあります。この「人と被らない」っていうのは、ギャルにとってけっこう大きなポイントなんです。なので、ファッション業界が今のギャルにターゲットを絞るのは難しいだろうな、ということはうすうす感じていました。

ギャルのほうからSHIBUYA109を離れた

セシル(CECIL McBEE)は私が小6のころ、109で福袋売り上げナンバーワンだったブランドです。「セシル着とけば問題ない」という空気は確かにあって、セシルを着ることがステータスになってるギャルはまわりにいっぱいました。

私も前はブランドありきで、EGOIST(エゴイスト)やMOUSSY(マウジー)みたいな109のブランドしか着たくないって思っていました。小4くらいからギャルに憧れて『egg』や『Popteen』、『Happie nuts』といったギャル系雑誌ばかり読んでいた私にとって、109こそがギャルのすべてであり、最先端でした。

「109ブランドじゃなくてもいいや」と思うようになったのは、H&M(2008年日本初出店)やFOREVER 21(2009年日本初出店)の影響がすごく大きいですね。高校生くらいになると「あれ、フォーエバーやH&Mのほうが109ブランドより種類がいっぱいある!」って。しかも海外ブランドなんで個性的じゃないですか。そして安い。109で1着買う値段でフォーエバーなら3〜4着買える。そのころ私は渋谷のギャルサーに入っていましたが、みんなアウターだけ109のブランドで、隠れてて見えないトップスはH&Mやフォーエバーの1000円くらいのニットを着ていました(笑)。

109はギャルの歴史を作ってきてくれた場所ですけど、ギャルのほうから109を離れたっていう意識があるんです。だから、セシルがかつてのセクシーカジュアル路線から「等身大の女性」を対象にリブランディングしたっていう『プレジデントオンライン』の記事の内容には納得している部分もあります。

ストリートから消えたギャル

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赤荻 瞳

(あかおぎ・ひとみ)平成8年9月6日生まれ、25歳。埼玉県出身。高校1年のころから渋谷の高校生サークルで活動。高校中退後、平成27年に広告制作会社に入社。平成30年3月に『egg』をウェブで復刊させ、編集長に就任。現在は“渋谷女子インターナショナルスクール”という英会話、動画制作など、社会ですぐ使え..

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