礼賛、崎山蒼志、あら恋、Mega Shinnosuke…日本で最も多忙で、ボーダレスなロック・ドラマーGOTOが、9バンドぶっつづけで演奏するイベントとは?

2023.3.16
GOTO

文・撮影・編集=森 樹 編集=森田真規


3月23日、渋谷Spotify O-EASTで開催される『GOTO Festival』。その名のとおり、ロック・ドラマーGOTOがメンバー/ライブサポートで携わる9バンドが立てつづけに出演。約5時間、GOTOが出ずっぱりで演奏するという、前代未聞のイベントである。

現在は常に10バンド以上の制作に関わり、ほぼ毎日、レコーディング、ライブ、リハに参加する超多忙なドラマーであるGOTOがこのイベントを開催する理由とは? GOTOの経歴、登場バンドの解説と共に聞く!

photo by タイコウクニヨシ
photo by タイコウクニヨシ

GOTO
(ゴトウ)静岡県出身のドラマー、バンド「DALLJUB STEP CLUB」のリーダー。中学時代からドラムを始め、大学進学を機に上京。2012年にダルジャブを結成し、2015年には「あらかじめ決められた恋人たちへ」のメンバーに加入。現在は常に10~15組程度のライブサポート、レコーディング、楽曲制作などに携わる。とても明るい。


『GOTO Festival』とは?

川谷絵音、ラランド・サーヤらで結成された「礼賛」、歌ものの新たな地平を切り開く「崎山蒼志」、作詞作曲のみならず、アートワークや映像にも携わる若きマルチクリエイター「Mega Shinnosuke」、結成25年を超えたDUBバンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」──GOTOがメンバーやサポートとして参加するアーティストを集めた『GOTO Festival』。その特徴は、メジャー~インディーといった枠組みでも、ジャンルや経歴といった枠組みでも括ることができない、まさにボーダレスなかたちでミュージシャン/バンドが集結していることだ。

フェス出演者以外にも、アフターパーティーに登場するあっこゴリラやDJ BAKUといったヒップホップ勢とのコラボ、THE LAST ROCKSTARSへの参加も話題となったMIYAVIのライブサポート、入野自由や鈴木みのりといった声優アーティストのREC参加など、その仕事の幅広さは圧巻のひと言。そしてそれはそのまま、GOTOのドラムがどれだけ現在の音楽シーンにおいて重宝されているかを示している。

そんなGOTOが、9バンドぶっつづけでドラムを叩くというムチャなイベントを自ら仕かけたのは、どのような理由なのだろうか。

「自分がリーダーを務めるダルジャブの制作スタッフから、“参加バンドを集めてフェスをやるべき”と何度か言われていたんです。最初はそこまで興味を持てなかったんですけど、ちょうど去年の今ごろ、“もしかすると人生の中で、このタイミングでしかできないイベントかも”と思うようになって。それは30代後半という年齢的にも、体力的にも、参加バンドの数的にも、祭りにするなら今しかない。それで、いろんなバンドに声をかけたら、みんな快く引き受けてくれました」

『GOTO Festival』が開催される渋谷O-EAST前にて
『GOTO Festival』が開催される渋谷Spotify O-EAST前にて

ドラムと共にあったGOTOの音楽人生

まずはGOTOのドラマーとしての活動を振り返ろう。3歳からピアノを習い始めたGOTOは、進学した中高一貫校でも6年間、吹奏楽部でトランペットを担当するなど、幼いころから音楽と触れ合ってきた。ドラムとの出会いは、中1の夏。吹奏楽部の憧れの先輩が、Hi-STANDARDのコピーバンドで文化祭に出演しているのを観て衝撃を受け、自らもスティックを握るようになった。

「当時はハイスタも知らなかったんですけど、“この速くてカッコいいのはなんだ?”となって。そこからドラムを独学で始めました。学内の友達とバンドを始めたのを皮切りに、学校外でも高校生に混じってやったり。ドラムだけじゃなくて、トランペットでスカバンドに参加していたこともあります」

GOTO
GOTO

高校時代には、現在も活動を共にする盟友BENCH.と共にラウド系ロックバンドを結成。高校卒業後には、「とにかく静岡から上京したかった」との理由で大学に進学するも、半年でドロップアウト。そこから15年以上、ドラムひと筋でここまでやってきた。

「大学に行ってすぐ、“これは違う”と思って。バンドだけでやんないとダメだと思ったし、第一は音楽で食っていこうと。一方で、音楽的な興味はよりアンダーグラウンドでトリッキーなサウンドに向かっていったので、売れる見込みはゼロでした(笑)。上京したてのころはもっと“売れたい”という気持ちもありましたけど、途中から、自分の趣味がそうじゃないとわかったし、そのへんはどうでもよくなりましたね」


よりドラムと向き合うきっかけになった3.11

上京後に組んだTHE DACOTA SPEAKER(のちにメンバー脱退に伴ってDACOTA SPEAKER.に改名)も当初はラウド系サウンドだったが、やがてダブや変拍子が混在したよりオルタナティブなサウンドへと変化。そのころ、KEYTALK(当時のバンド名はreal)とライブツアーを行うなど、インディーシーンでの知名度は徐々に高まっていた。GOTOにとっても20代の大半を費やしたバンドであったが、2011年に解散を選択する。

「3.11の地震(東日本大震災)が大きかったですね。あのとき、新宿にいたんですけど、今までにない恐怖を感じて。そのタイミングで、これはもっとやりたいことをストイックにやっていかないとマズいなと思って」

コロナ禍で激変した、ドラマーとしての仕事


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森 樹

(もり・いつき)編集者、ライター。編プロ勤務を経て2019年に独立。『クイック・ジャパン』本誌ほか、カルチャー誌、アニメ誌などに寄稿。映画やアニメ作品のプレスリリースやパンフレットの編集も手がけている。映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』にも宣伝協力で参加。

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