NSCはクビ、ソニーで唯一受けた仕事は子役オーディション。ランジャタイの“奇天烈事務所遍歴”と“壮絶なフリー時代”

2021.10.29

文・編集=佐々木 笑 撮影=加瀬健太郎


オール巨人、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンの手作りパネルを振り回し、全国で暴れ回る若手芸人・ランジャタイ(伊藤幸司、国崎和也)。常軌を逸するネタとトークで、先輩芸人も、芸能関係者も、お笑いファンも、彼らから目を離せない状況だ。

数々のお笑い事務所を転々としていた彼らを最終的に射止めたのは、サンドウィッチマンを筆頭とするグレープカンパニー。

自由奔放なランジャタイが、なぜこの場所に落ち着いたのか。過去のあっと驚く事務所遍歴を振り返りながら、その謎に迫った。

ランジャタイ

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お互いの印象。国崎は太陽みたいな人、伊藤はもみあげ

──ランジャタイさんは、今はメディア露出もかなり多くなりましたが、お笑いファンの間では昔から根強い人気がありましたよね。

国崎 ありましたねぇ。

 あったのかな?(笑) 僕はわかんないですけど。

──その人気が、最近特に飛ぶ鳥を落とす勢いといいますか。

国崎 したたかに生きてるだけですよ。

伊藤 したたかに?

──(笑)。謙遜されていますか?

国崎 こういうところで「そうでしょ?」って言う奴は売れないって、モグライダーの芝(大輔)さんに言われて。だから、「そんなことない」って毎回初心にかえってます。毎日初心にかえってます。

──なるほど。この記事でランジャタイさんのことを知る人もいるかもしれません。なので、お互いのことを紹介するかたちで、他己紹介していただけますか?

伊藤 (国崎は)明るいお兄ちゃんというか、いると場が明るくなるような感じですね。

──ムードメーカーのような?

伊藤 そうですね。太陽みたいな人です。

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ランジャタイ国崎和也(くにざき・かずや)。1987年生まれ、富山県出身

国崎 伊藤さんは髪型ですね。これは本当なんですけど、もみあげが目に被さってるんで、横が見えてないんですよ。で、もみあげで歩くって噂が立っていて。近場のほうで。

──(笑)。

国崎 (伊藤の印象は)髪型に尽きますね。14年ぐらい一緒にいますけど、この髪型は彼しかいないですね。

伊藤 以上ですか?(笑)

国崎 でも、どっかで見たことあるなと思ったら、子供のときに見たレゴブロックでしたね。あのカチッってなる部分が、まさにこの人の髪型。

伊藤 (相方への印象を)ちょっと訂正したいです。国崎はクソ野郎、でお願いします。

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ランジャタイ伊藤幸司(いとう・こうじ)。1985年生まれ、鳥取県出身

NSCは、諦めることをわからせる学校

──そんなおふたりからなるランジャタイさんの経歴を深掘りしたいのですが、とにかく移籍が多いコンビですよね。

国崎 移籍多いですね~。最初は東京NSC12期生でした。ジャングルポケットとか(渡辺)直美ちゃんとかと同期です。

伊藤 ジェラードンとかね。

──おふたりも同期として入られたんですか?

国崎 同期です。当時、『エンタの神様』(日本テレビ)とか『M-1グランプリ』がブームで人が多くて、500人ぐらいいましたよ。NSCはすぐに辞めて、次がソニー(ソニー・ミュージックアーティスツ)ですね。

伊藤 とりあえず、すぐどこかに入りたいって思って。

国崎 名前さえ書けば入れたのがソニーで。今は無理でしょうけど(笑)。

伊藤 本当に、履歴書持っていったらその場ですぐ所属、みたいな。

──そのまま吉本興業に所属しなかった理由はなんでしょう?

国崎 僕ら、NSCを卒業してないんですよ。3カ月でクビになっちゃって。卒業しないと吉本は所属できないんですよね。

──クビになる人ってそんなに多くはないのでは……?

国崎 いや、あの時期はけっこういましたね。

伊藤 「この中でスターになるのはひと組ふた組だよ、あとはいかに諦めるかだから」みたいなことを最初に言われました。

国崎 NSCって、たぶんそれをわからせる学校なんでしょうね。全国から「自分が一番おもしろい」と思ってる奴らが集まってくるけど、実際君たちはそんなにおもしろくないよっていうのを。

──ふるいにかけるような。

国崎 そうですね。上には上がいるよって。

──その雰囲気は、あまり合わなかったですか?

伊藤 まったく合わないですね。

国崎 もう怖過ぎて、本当に。すごいのが、卒業できる人数よりも生徒が多く残っちゃって、人数を減らさないとってことで、ジャンケン大会で勝った人が卒業できるとなりまして(笑)。全員で「ジャーンケン!!」って、人生かけた“本当のジャンケン”ですよ。実際に卒業できなかった奴も知り合いにいますけど、いまだに何出したかを覚えてます。「俺はパーを出して、相手がチョキを出した」って(笑)。

伊藤 一生残るジャンケン。

国崎 あのときグーを出しておけば、今売れてるかもしんないって言ってた。

伊藤 でもジャンケンってのも、あながち間違ってはないかもね。

国崎 運だからね。

伊藤 売れる人はそこで勝つもんね。

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記事では全カットせざるを得ない、NSCのとんでもエピソードもお話ししてくれた

ソニー時代、唯一受けたのは子役オーディション


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