2022年で活動休止の氷川きよし、全国ツアーで宣言した「歩き続ける歌の道」。復帰後は“元・きよし君”のデビュー元年に?

2022年で活動休止の氷川きよし、全国ツアーで宣言した「歩き続ける歌の道」。復帰後は“元・きよし君”のデビュー元年に?

※トップ画像=シングル『群青の弦(いと)』より
文=原田イチボ@HEW 編集=森田真規


2022年1月21日、氷川きよしが歌手活動を年内いっぱいで休止すると発表した。新生・氷川きよしとして新たな支持を獲得していたなかでの出来事に、kiina(近年の氷川の愛称)は今どんな想いを胸中に抱いているのか……と世間の大きな注目を集めた。

そして、中野サンプラザで行われた『氷川きよし コンサートツアー2022~歩き続ける歌の道~』の2月1日公演を現場で観たエンタメライターの原田イチボ氏は、「kiinaはこれからも歌い続ける姿勢をステージの上で明確に示してくれた」と感じたという──。


活動休止という名の実質引退の可能性は?

昨年12月に歌手・氷川きよしこと「kiina」のコンサートに初めて訪れて感動し、「2022年はkiinaを追う!」と誓った矢先の活動休止です。1月21日、所属事務所の公式サイトで「氷川きよしは2022年12月31日をもちまして一旦歌手活動をお休みさせていただくことをご報告申し上げます」と発表されました。

「ここで一旦お休みをいただき、自分を見つめなおし、リフレッシュする時間をつくりたい」という言葉のとおり、あくまで一時的なもののようですが、とはいえ活動休止という名の実質解散を多数見てきたドルヲタとしては完全に心穏やかでいられないのも事実。kiinaから直接説明が聞けたらいいのだけど……と思いながら、2月1日、東京・中野サンプラザでのコンサートに足を運びました。

1月27日の全国ツアー初日公演では、「また喜んでくださるなら」と復帰への意思を語ったと報じられていますが、結論から言うと、2月1日の中野サンプラザ公演では活動休止についての発言は一切ありませんでした。しかし、kiinaはこれからも歌い続ける姿勢をステージの上で明確に示してくれました。だから今、自分はなんの不安も感じていません。

MCでの「叶えていきたい夢がたくさんある」発言

コンサートは、美空ひばりの名曲「歌は我が命」のカバーから始まりました。昨年末の『NHK紅白歌合戦』で披露して話題になったという理由もあるでしょうが、こちらが1曲目というのは、休止発表で不安な思いを抱えるファンに対するkiinaからのメッセージだったのではないでしょうか。「あなたがいる限り歌い続ける」と高らかに宣言してくれたことにより、一気に心が楽になりました。

もしも、このまま歌手を辞める可能性もゼロではないのだとしたら、「自分らしく、ありのまま」を大事にするkiinaですもの。この曲をコンサートの最初に持ってくることはしないんじゃないか……。そんなふうに考えたのです。

そのあとのMCでも、拍子抜けするほど活動休止の話題は出てきません。あえて触れないというより、司会者・西寄ひがしとのコミカルなやりとりなど、本当に「いつもどおり」という雰囲気です。一瞬、「休止発表って夢だったっけ?」と思ってしまいそうなほど。

活動休止が話題に出ない代わりに、kiinaの口からは今後の活動への想いが自然と語られます。MCでは、こんな発言が出ました。

「歌のための人生ではなく、人生のために歌う」
「形式ではなく、まず人間の心を歌うことが大切」
「心こそ大切なんだと伝えていきたい。それが私の使命という熱い確信があります」
「叶えていきたい夢がたくさんある」

復帰のタイミングなどを明言したわけではありませんが、「活動休止はそれほど長い期間にはならないんじゃないか」という印象を漠然と抱きました。これほど楽しげに未来について語っているのだから、きっとkiinaは“やりたいこと”が次から次へとあふれ出して、うずうずしているはず。

もしかするとリフレッシュを経たことで、事務所の体制や活動スタイルなどに変化は起こるかもしれません。しかし、kiinaがより自分らしい表現をするための選択であるならば、ファンは楽しみに待つのみです。


復帰後は“元・きよし君”のデビュー元年になるのかも

会場で購入したコンサートツアーのパンフレットには、kiinaのインタビューも掲載されていました。その一部を引用します。

「今年は自分の中での区切りというか、22年なので、ここまで氷川きよしという責任を頂いて、氷川きよしに徹して生きてきて、氷川きよしであるためにということばかり考えていたけど(~中略~)一人の人間としての居場所をきちんと自分で見つけて、自分を探して、歌で人生を謳歌したいと思います」

2000年2月2日にデビューし、今年で22周年を迎えた氷川きよし。本人が「サイボーグ」と自虐するほど、周囲に求められるものに完璧に応えてきましたが、ここでいったん自分自身とゆっくり向き合うようです。

「kiiとかkiinaって呼んでほしい。きよし君だと、ちょっとキャラを押しつけられているように感じちゃう」や「きよし君にはサヨナラ。きーちゃんとして、私らしく」といった過去の発言から、kiinaは“氷川きよし”という存在にかなり複雑な感情を抱いていることが窺えます。これまでの氷川きよし像から解き放たれて、次はどんな世界を見せてくれるのか? ある意味、復帰後は“元・きよし君”のデビュー元年になるのかもしれません。

なお、年明けから始まった全国ツアーのタイトルは、「歩き続ける歌の道」。希望に満ちたkiinaの旅は、まだまだ道の途中です。

氷川きよし / 群青の弦(いと)【公式】

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