演歌は古い、という考えこそが古い。新たな解釈で紡がれた都はるみの9曲

2020.2.22

演歌は古い音楽なのか?

現に改めて原曲も聴いてみると、脳裏に情景が浮かび上がる巧みな音作り、楽曲で歌われる人物像を立体的に浮かび上がらせる都はるみの豊かな表現力は見事というほかなく、曲の背景にあるストーリーにまで自然と思いを馳せてしまうほどだ。力強いこぶし回しという圧倒的個性を発揮しながらも、曲ごとに異なる人物像を歌う都はるみの多彩さ、引き出しの多さには心底脱帽させられた。結局、原曲は都はるみの魅力を、本作は各アーティストの魅力を最大限に引き出すアレンジがされているという違いでしかないのだろう。

都はるみ歌唱のオリジナル曲ダイジェスト試聴

余談だが映像で見る彼女はより魅力的で、個人的には本作タイトルの由来にもなっている「好きになった人」で、<さよならさよなら 元気でいてね>と笑顔で歌う若かりしころの姿は、悲しい歌詞とのギャップが衝撃的なほど印象に残っている。

都はるみの魅力を改めて感じさせてくれたと同時に、演歌には未知の可能性があることを教えてくれた本作は、ただのトリビュートアルバム以上の意味を持っていると思う。演歌を古い音楽と考えている人も多いだろうが、実はまったく逆なのかもしれない。

アルバム『都はるみを好きになった人』ダイジェスト試聴

『都はるみを好きになった人 〜tribute to HARUMI MIYAKO〜』
2020年2月22日発売 ¥3,000円(税別)

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タナカヒロシ

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タナカヒロシ

1980年生まれの松坂世代。横浜市出身。今はなき音楽フリーマガジン「BG MAGAZINE」で、立ち上げから数年間、編集・ライターをしたのち、2008年10月からフリーランスに。邦楽を中心としたエンタメ記事、なりゆきで詳しくなったキャッシュレス関連の記事などを執筆。広めの守備範囲でギリギリ生き残る。..

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