遅く起きた日曜日に、行けない山形に行った気分を味わう(スズキナオ)

2020.6.7

まだまだ私の山形は終わらない

さて、山菜そばセットとスモークナッツと漬け物とが、ちょうどいいタイミングで一気に届いた。今日は家にいながらにして山形気分を味わい、豪快に飲み食いしようと決める。

まずは出羽屋の「月山山菜そばセット」である。届いた箱を開けると、種類ごとに小分けにされた山菜がギッシリ詰まっている。うるい、ぎんぼ、こごみ、みず、山うど、月山筍などなど。一つひとつの山菜がじゅうぶんな量で、2人前とはいえ全体的にかなりのボリュームに見える。

「出羽屋」から届いた箱の中には山菜がたっぷり

説明書きに従い、特製のつゆを入れた鍋の中で山菜を煮込み、アクを取り、別に茹でてあったそばを入れたどんぶりにその中身をダーッとあける。改めて山菜の量がすごい。まるで盛りのよさが自慢のラーメン屋みたいにこんもりと山になる。

こんなボリュームの山菜そばを食べるのは初めてかも

山のような山菜をひとつずつ味わっていく。シャキシャキした歯ごたえが最高な「あいこ」、つるっとなめらかな「わらび」、少しほろ苦い「山うど」、甘みがあってブロッコリーの茎のほうみたいでもある「ぎんぼ」。どれもこれも違った個性があり、山菜にしかない味わいだ。また、これが山形の土と水で育ったものだと思うとなおさらありがたいじゃないか。希少なものだという「月山筍」の旨みを目を閉じて味わう。いかにも「田舎そば」といった感じの黒っぽくてコシのあるお蕎麦も自分好みである。

コシのある蕎麦もいい感じ

山菜がこんなにおいしいものだなんて、それこそ最近になるまでわかっていなかった。この地味な色合い。渋い味わい。たまらないよ。いつか本当に「出羽屋」まで行ってさらにフレッシュな山菜を頬張りたいものだ。

だいぶお腹がいっぱいになったけどまだまだ私の山形は終わらない。「伊澤商店」から届いたスモークナッツと漬け物がある。伊澤さんの自家製スモークナッツがおいしいことは仲間内でも評判で、私の酒仲間・パリッコさんも「以前送っていただいて食べたんですが、あれはすごくおいしいですよ!」と太鼓判を押していた。

「伊澤商店」から届いた南蛮味噌(左)とスモークナッツ(右)

封を開けるとスモーキーな匂いが漂う。くるみ、カシューナッツ、アーモンドなどに混じってレーズンやバナナも入っている。ひとつ食べてみると、しっかりした香りとほどよい塩味が口の中に広がり、慌てて冷蔵庫からキンキンに冷やしておいた缶ビールを持ってくる。ナッツひと口、ビールごくり。ナッツまたひと口、ビールごくごく。極上の反復である。

サラミの世界の扉が開いた

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スズキナオ

大阪在住のフリーライター。「デイリーポータルZ」「メシ通」等のWEBメディアで記事を書いている。酒とラーメンが好き。パリッコとの飲酒ユニット「酒の穴」としても活動中。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』(スタンド・ブックス)など。

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