『いいね!光源氏くん』コロナで疲れた心を千葉雄大に癒やされる

2020.4.10


新型コロナウイルスの時代にもたらされる「癒やし」

光源氏について「雅やか」と書いたが、実は「雅」の定義はなかなか難しい。ただ、彼は心のままにスローなテンポで動き、感動したら和歌を詠み、自然を愛でて、疲れたら横になって休む。ひょっとして、それが「雅」なのかもしれない(ぜんぜん違ったらごめんなさい)。

「この地では、急がねば生きていけぬのか? 気の毒に」

あくせく忙しく過ごす現代人にとって、光源氏の雅やかさは疎ましい部分もあるが、やっぱり眩しいものだ。現に彼の和歌ツイートはタイトルどおり、たくさんの「いいね!」を集めている。千葉雄大は光源氏の人となりについて次のように語る。

「目の前で起こったことを素直に楽しんでいて、鈍感な部分もあるけど、柔らかさをもって、切なさもありつつ。僕はそこがすごく好きで、本当に純な人物だなと思いました」(オフィシャルサイトより)。

なお、光源氏といえば、ワイドショー好きの人たちなら間違いなく激怒(あるいはドン引き)するほどのプレイボーイだが、本作での光源氏は女好きではあるものの、プレイボーイ度は控えめ。抹茶ラテフロートのように甘さだけを存分に楽しめるだろう。

2話はライバルの頭中将(桐山漣)も登場。『天装戦隊ゴセイジャー』と『仮面ライダーW』(共に東映)の特撮対決のようでもある(千葉雄大はゴセイレッド、桐山漣は仮面ライダーW。ふたりに挟まれるのはNHK深夜アニメ版『映像研には手を出すな!』の浅草氏、伊藤沙莉)。なお、演出はウルトラシリーズで知られる小中和哉監督が担当している(もうひとは『大江戸ロボコン』(NHK)の田中諭)。

『天装戦隊ゴセイジャー ファイナルライブツアー2011』DVD/TOEI COMPANY,LTD

これまでLGBT、地下アイドル、ワンオペお母さんなど、現代的なテーマを描いてきた「よるドラ」だが、新型コロナウイルスをめぐる状況が悪化して先行きが見えない中で放送された『いいね!光源氏くん』は、ある意味、とても現代的なドラマになっていると思う

ただでさえ仕事などで疲れているのに、さらに鬱々とした日々を家の中でひとりきりで過ごしている人たち、なかでも沙織のような独身女性たちにとって、光源氏のかわいらしさと彼がもたらす癒やしは、この世界を「光」で満たすものになるのではないだろうか。




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大山くまお

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大山くまお

1972年生まれ。名古屋出身、中日ドラゴンズファン。『エキレビ!』などでドラマレビューを執筆する。

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